ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

角川つばさ文庫版「キノの旅(1) the Beautiful World」 買って読んだので感想

電撃文庫版持ってるのに、短編一話書き下ろしだから買った。


角川つばさ文庫、文庫と名づけられているが新書版の児童書レーベルである。
2009年3月に創刊し、毎月15日に定期刊行。
刊行ラインナップとしてはオリジナルのものもあるが、国内外の古典やライトノベル、ノベライズといった物が中心となっている。

角川グループの有する出版レーベルは多岐にわたり、様々な作品が角川つばさ文庫に子供向けにルビとか振ったりして刊行されている。
例えば走れメロスや、不思議の国のアリスといったものから、星新一のショートショート、ライトノベルの名作としてスレイヤーズや涼宮ハルヒの憂鬱まで、そのジャンルは多岐にわたる。

とはいえ、小中学生向けとなっている。
子供騙しではないけれど、子供にも読みやすいものが重点的に選ばれるのだろう。

そして、角川つばさ文庫で時雨沢恵一のキノの旅が刊行された。
これはその小説の性質を現しているのかもしれない。

と、言うわけで感想に入る。
まずは電撃文庫版との違いから。電撃文庫も角川グループなのよね。

本の大きさ。新書版。でかくなってる。本棚に並べるのがめんどくさい。

表紙。新表紙に。若干かわいい感じのキノ(胸は無い)。「カノン」と「森の人」のホルスターがちゃんと描かれている。
全体的に、角川つばさ文庫という事を意識したかかわいらしい感じ。
表紙をめくるとキノの旅っぽい文章が。
電撃文庫版で表紙後のカラー口絵の後にあった「世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい」とかなんとかいう文章は口絵の前に変更されている

挿絵は新短編のタイトルページの挿絵以外追加は無いようだ。

カラー口絵の中に電撃文庫版での口絵を流用した目次らしきものがあるが、それとは別に目次がある。まあ何ページとかは口絵のほうには書いてなかったけど。
キノとエルメスの簡単な紹介もある。

本編の変更としては、新短編「偉人の国」を第四話として入れる代わりに電撃文庫版での第四話「コロシアム」は取り除かれている。
これから先レギュラーとなるシズが出てくるなど物語的には重要な話なのだがいかんせん残酷な描写や戦闘描写が多い。児童書レーベル向けではなかったという事か。それで短編を入れ替えたと。それを言ったら大人の国とかもアレだと思うけどね。というか全体的にアレか。戦闘描写がいかんのかね。あまりにもライトノベルしていると?スレイヤーズはいいのか?まあアレはアレで影響力大きいからアレなのかもだけど、アレアレアレレ?

「偉人の国」以外は昔から何度も読んでてまともな感想を搾り出すのが難しいが、やっぱり流石だよね。一巻にはキノの旅のエッセンスが凝縮されている。


で、書き下ろし短編「偉人の国」。
たまにキノも読書してる描写あるよね。観光だけが趣味というわけではないようで。
政治とか揶揄した内容だが少し不思議なところがあって面白い。
本は本でしかないからねえ。山海経とかどう考えてもアレだし。


で、あとがき。あとがき作家だけど4ページ。
キノとエルメスの対話形式をとっている。
基本的にふざけて終わり。あとがきを最初に読むってどうなのかね。




全体として、やはりキノの旅は小中学生の心によく響く作品であるように思えるということ。
であるからして電撃文庫で一番初めに児童書レーベルである角川つばさ文庫で刊行される事になったのであろう。

やはり読書は子供の頃からするべきだということ、子供のときに読んだ本はその人間に大きな影響を与える。
要するに、「キノの旅」という作品は人の人生にとって最も重要なものと成りうるものであり、更にレーベルを変える事でそうなるのにふさわしい形をとったということだ。
キノの旅を読んで育った世代が大人となる。その世代が子供に買い与える本になった。
それ故、所謂「古典」と呼ばれる作品の性質を帯びてきている。
キノの旅の今後に期待である。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2011/07/15(金) 22:18:48|
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コメント

No title

キノの旅はほんの一部しか読んだ事がないのですが、その時に受けた印象は『ラノベ版星の王子さま』でした。ですので児童書レーベルとしては相応しいのかもしれませんね。
  1. 2011/07/16(土) 01:19:42 |
  2. URL |
  3. TNK #zzqP9CMg
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> キノの旅はほんの一部しか読んだ事がないのですが、その時に受けた印象は『ラノベ版星の王子さま』でした。ですので児童書レーベルとしては相応しいのかもしれませんね。

キノの旅はライトノベル的じゃないところがありますよね。何も知らなくても読めるように書かれているというか。
いつだったか書きましたが、ライトノベルというのは、それまでのライトノベルやゲーム・アニメ・漫画文化、ファンタジーやSFを下敷きに、それらの知識を前提に書かれているところがあるんですよね。スレイヤーズとかが典型例ですし、ドクロちゃんなんか何も知らずに読んだら気が狂います。
そういった意味で、短編毎で説明的描写を(儀礼的とはいえ)入れているキノは、ライトノベルというよりも児童書レーベルに近いところがあるようにも思えます。

ライトノベルという言葉はまさに罠です。それで何かしら説明できるような気がして、結局言葉として曖昧すぎてそれは何も示さない。
確かにライトノベルと呼ばれる作品群にはそれなりに似た点があったりするのですが、それはまやかしとしか思えないほどライトノベルの内容は多岐に渡っています。
レーベル毎に特徴があったりするけれども、結局例外もあります。

ライトノベルと区切られるとその中でしか活躍できないのかもしれない。
そこから抜け出してこそ得られる可能性もあるのかもしれませんね。
  1. 2011/07/17(日) 01:58:19 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

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