ネット世代の雑評論

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「進撃の巨人」の魅力とは何かを考える

別冊少年マガジンで連載中の漫画、進撃の巨人。
まだまだ序章という段階ながら、様々な方面から高い評価を受けている漫画である。
ついこの間には第35回講談社漫画賞の少年部門を受賞した。まあ講談社の雑誌連載の漫画だから有利なのかもだけど。

賞を取った漫画が、売上の高い漫画が、人気のある漫画が必ずしも面白いというわけではないが、判断の基準にはなるだろう。
少なくとも私が感ずるところでは進撃の巨人は相当面白い、読む価値のある漫画である。

しかし、「何が面白いか」という問いに答えることは難しい。一種の究極の質問である。
何が面白いかわかっていれば誰も苦労しない。
とはいえ、後からよくよく考えればわかる事もあるだろう。


まず一つ、単純に考えられる魅力として、謎多き世界観が挙げられる。
どうやら地球のようだが、何がどうなってこういう事になったのか。そもそも巨人とはなんなのか。王族や憲兵団といった人間側にも謎がある。壁の存在や世界の歴史、キャラクターの詳細も非常に気になる。
謎の解決を餌に続きへ続きへと読者を牽引するのだ。
最近の漫画では常習手段だが、それ故効果的。だが、多くの漫画で使われている手法だけに、これが「進撃の巨人の魅力」とは言い切れないだろう。

その世界観を形作るのは、異質な気味悪さを持つ「巨人」である。これもまた進撃の巨人には欠かせないもので、そしてそれでいてこの漫画に固有のものである。
人間を被食側にする強力な影響力を持ち、人間型でありながら非常に非人間的である。不気味の谷にあえて落ちたようなその存在はこの漫画の中で非常にシンボリックである。

そして、その「人類の敵」である巨人と戦う戦闘描写も高評価されている。
公平に見て、この作者はただの立ち絵よりも動きのある描写のほうが上手い。作者がプロレス好きであることと関係あるのだろう。
体長15mにも及ぶ巨人が縦横無尽に暴れまわり、人間達は「立体機動」を用いて華麗に宙を駆け巨人を討つ。

だが、巨人と人類との差は絶望的だ。その絶望感の描写がこれまた凄まじい。
巨人は非常に大勢やってきて、それぞれ大きさや顔、体つきが違うが、基本的には大きく能力の差は無く(超大型や鎧の巨人、最新話(22話)に登場した女型の巨人等は別として)、あえていうなら量産型という印象も拭えない傾向もある。
しかし、一匹一匹の巨人を脅威として描く事で、話の緊張感を高めるとともに、巨人全般への存在感を与えているのだ。
一匹の巨人の存在により壊滅状態になる。これほどシビアな世界観も珍しい。
また、その絶望感があるからこそ、人間達が成功したときのカタルシスも比例して大きくなる。

キャラクターの魅力も日本漫画を語る上で外せない。
感情移入しやすい「普通」の熱血という側面と、狂気的な巨人への憎悪といった側面を併せ持つ主人公エレン。
クールでスレンダーで超人的な強さを持ち、主人公を愛するミカサ。
弱気に見え、体力も無いがその頭脳と知識で大きな活躍をするアルミン。
アホっぽいコニーにさらにアホっぽいサシャ。複雑な心理描写が為されているジャン。「人類最強」のリヴァイ兵長…
キャラという側面から見ても中々魅力的なところがある。

こういう意見もある。ピアノ・ファイアというブログの記事だ。
乱暴に要約すると、構造として「王道少年漫画」である、という事を重要視しているようだ。
非常に面白い意見である。一見「王道?」「少年漫画?」と疑問に思ってしまうが、それはバブル時代のジャンプ漫画を基準とした考えで、他の世代のそれも含めて考えると王道であり少年漫画であるとか。
特にエヴァとの類似と相違点が顕著に作品に表れているらしい。
エレンは良く見ると、王道少年漫画主人公だし、ミカサは無条件で主人公を愛する(それにより主人公を反射的に描写する)王道少年漫画ヒロインである。
私なりにその辺を噛み砕いて考えると、その王道少年漫画的な物語構造、21世紀の王道少年漫画、つまり21世紀の世相を反映した王道が、我々が潜在的に求めている物であるという事か。
確かに、非常に前向きの考えで押し出す漫画である。




世界観の謎、巨人の存在、戦闘描写、絶望感の描写、キャラ、物語構造…
様々な理由が考えられるが、本当に何が「進撃の巨人の魅力」なのかはわからない。
恐らく、理由は一つではなく、複合したものであるのだろう。

漫画は総合芸術だ。決して一つの要素、絵やストーリー、台詞だけでは成り立たない。
様々な要素が組み合わさって初めて作品が出来る。
それぞれの魅力があって、相乗効果を引き起こし、作品を昇華させる。
あえていうなら、そういった意味での「漫画の完成度」、魅力の絡み合う形が進撃の巨人の面白さの理由、人気の理由、魅力であるのかもしれない。


ここまで書いたが、まだまだストーリーは始まったばかり。
これからの進撃の巨人に期待したい。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2011/06/11(土) 02:53:24|
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