ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

新・銀河ヒッチハイクガイド(上下巻)、買ったので感想書く

なんだこりゃ。関係ないけど。


銀河ヒッチハイクガイド。ダグラス・アダムスによるスラップスティックSFの傑作シリーズ。42というごく平凡な数字に強烈な意味を持たせた。
とにかく遅筆で、人気を博したこのシリーズも5巻で未完のまま作者死去。
5巻、「ほとんど無害」は、その作品の雰囲気に違いBADENDで終わった事で有名である。

そして今回私が読んだ「新 銀河ヒッチハイク・ガイド」、原題「And Another Thing...」は別の作者、アイルランドの作家、オーエン・コルファーによって引き継がれて架かれた6作目にして最終話として2009年に出版された。日本では2011年5月に翻訳されて出版されたようだ。
原題を見てもらえばわかるかもしれないが、ダグラス・アダムスの本編のおまけというか蛇足というか、そういった謙虚な意味合いが込められている。物語としてはアレで終わりで良いかもしれないがやはりもう少し救いのある終わり方が望まれていたというわけだ。蛇足が必要な事もある。

私はこのシリーズが非常に好きだった。ジョークのセンスや荒唐無稽なSFギャグ、ちょっぴり苦い皮肉。全てが一級品といって良いだろう。
SFとして見ても馬鹿馬鹿しいガジェットが心躍らせる働きを見せたり、時間軸移動を扱った興味深い話もある。

作者を変えての継続という手法には若干忌諱感を感じるところもあったが、やはりBADENDの続きを見たかったし、どうやらちゃんとした作家のようだし買ってみた。
若干高かったけどいい買い物をしたと思う。


あらすじ。詳しいことはWikipediaの記事でも見れば載ってるので三行で。横が短くて折り返すのはノーカン。

前回のラストで死にそうだったけど助かったけどそれは仮想現実で、でもどうにか助かった。
不死人ワウバッガーの自殺幇助のため神、トールを呼んでくる。
色々あってワウバッカーも不死性を失い、地球の入植地の人々もその他のキャラもそれなりに幸せに。

こんなところ?もうちょっとごちゃごちゃした話ではあるけど、まあごちゃごちゃ書いてもアレだし。


で、感想。
全体の感想としては、冗長なところもあったが面白かった。銀河ヒッチハイクガイドの最終編として十分に役割を果たしている。

キャラ。ダグラス・アダムスの生み出したキャラクターをうまく動かしている。非常にそれっぽい。
特に5作目で初登場のランダムは描写がかなり少ないのだが、中々うまく補完されている。
初登場のキャラであるヒルマンもアイルランド人である作者の特色を生かしてる、気がする。ヒルマン関係のエピソードはあまり面白くなかった気もするが。
まあマーヴィンは出なかったけど。4巻で大往生したし。

設定。これまでのシリーズで、あるいはその場限りで作られたかもしれない設定も多用して、まさにファンのための作品として出来上がっていた。最終巻こそファンのために作るべきである。

ガイドによる注という形で訳のわからない脱線があるのも、物語を進めながら銀河ヒッチハイクガイドの雰囲気を味わうためにうまく機能していた。

特に好きなシーンは、ヒルマンとクトゥルフの面接の場面。
地球人の入植星、ナノ星の神を選ぶための面接にクトゥルフが来たというシーンだ。
まずクトゥルフが出てくるという時点で出オチで面白いのだが、会話内容が非常に馬鹿馬鹿しい。
前日の晩に「名状しがたきものハスター」と面接の練習をしていたとか、5年後の成果としてこの惑星を完全に破壊しつくして頭蓋骨を高く積み上げて云々…とか。
まあクトゥルフを大統領にっていうネタと被る面もあるが面白い。諸外国ではクトゥルフは完全な邪悪の象徴とでもされてるのかね。サウスパークにクトゥルフでた回というのを見たときもそう思ったけど。
でもクトゥルフ以外にしょぼいところあるのよね。その辺もいじられてて笑えた。

とにかく、ダグラス・アダムスは無神論者だったし、神を結構馬鹿にしてたけど、その点から神というものの扱いを色々工夫していたのが良かった。
トールも中々面白いキャラだ。凄いのか凄くないのか良くわからない辺りとか。


色々欠点や原作との違いを言い募る事は出来るが、それを無視できるほどの面白さ、原作へのリスペクトが感じられた。ファンは大満足であろう。それが重要である。
特に、「銀河ヒッチハイクガイドの完結」として見ると非常に美しく収まっている。一つ一つのギャグはダグラス・アダムスほどの威力はないかもしれないが、ストーリー性では素晴らしいものがある。

他者の書いた物語を引き継ぐのは難しいものがある。
だがそれを可能にする事もできなくはない。
ある意味では二次創作。原作者と同じぐらいその作品に触れれば、あるいは真の「物語の続き」を書くということも可能なのかもしれない。
二次創作と一次創作の違い。それを乗り越える奇跡。確かにこの作品にはあったように思える。
スポンサーサイト

テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2011/06/07(火) 21:01:23|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0
<<連続更新、第70回動画紹介回 | ホーム | 今週ジャンプそれなりに面白かった、第69回動画紹介回>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://tateito1.blog48.fc2.com/tb.php/558-4ad59f5e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)