ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

「ホモ・デウス」読んだので東方鬼形獣をその方向から解釈していく

ユヴァル・ノア・ハラリ - Wikipedia

東方projectの作品群は結構色々調べて作られている。神主は様々な事を調べて設定を練ることにゲーム制作の時間の多くを割いているらしい。
東方天空璋の種本が「闇の摩多羅神」らしいというのは結構有名な話であろうか。

巷の噂によると、東方鬼形獣の種本はイスラエル人歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリによる世界的ベストセラー「サピエンス全史」と「ホモ・デウス」であるらしい。
本当かどうかは知らんがともかく「ホモ・デウス」を買って読んだ。サピエンス全史はだいぶ前に読んで面白かった記憶があるが具体的にどういう事が書いてあったかはいうほど覚えてはいない。どこの本棚のどこに置いたかも定かではないのでちょっと確認できていない。

いやまあ天空璋ほど話は集約されておらず、古墳だとか埴輪だとか吉弔だとかそういった話は別個に拾ってきたモノな感じがあるが、鬼形獣の人間霊が呼び出した神とそれが作った埴輪兵士によって虐げられるという話の流れはなるほど「ホモ・デウス」を下敷きにしてるなーって思わなくもなかったのでちょっと解釈していってみよう。

とりあえず私の理解した限りのホモ・デウスの内容から。変に要約とかしてたり自分の感想とか入ってるので間違ってたらごめんね。というか間違ってると思うのでいいから本買えよな。私は夜中にわーっと一気呵成に読んだだけなので内容は理解してない。


ホモ・デウスでは二十一世紀に住む我々人類はそれまでに常に悩まされ続けていた飢餓・疫病・戦争の脅威から脱し始められていることから話が始まっている。もちろん今現在でもそれは巨大な問題ではあるのだが制御し得る問題となってきていることが様々な例を挙げて語られる。

古代の中国や中世のヨーロッパでは気候変動で国の数割が飢餓で死んだが21世紀では過食による健康被害で死ぬ人の方が多くなった。
未だにSARSやエボラ出血熱、あるいはエイズという疫病は恐怖の対象だが、SARSもせいぜい千人単位で人を殺しただけだしエイズは持てる人には慢性疾患の類でしかなくなった。
核兵器の相互確証破壊のため大国同士の全面戦争はありえないものとなった。

細かい話はさておき、ヒトはこのまま進めば他の生物と同様に恐れてきた3つの死の要因について克服してしまいそうだ。
なんならば究極の死の要因である老化でさえも今世紀中に解決するという学者も存在する。今世紀中はともかく後1000年の間には達成しても何ら不思議ではない。
ヒト(ホモ・サピエンス)は弱肉強食・あるいは適者生存というジャングルの法則に縛られた生物というあり方を超えて新たな存在(ホモ・デウス)になるのではないか、という具合が導入である。

んで、意識のハードプロブレムだとかに色々話がより道して、現在信じられている資本主義という宗教ではこの世界がより成長していくという前提があることが描かれる。資本主義と科学主義と人間至上主義のなかで人間は常により大きい幸福を追求する。欲求される幸福はインフレーションしていく。そしてそれは個々別の人間によって止められるものではなく大国の元首もその中で右往左往するだけだし政府という単位、あるいはグーグルやアップルといった国際企業も例外ではなく、そういった中でテクノロジーもまた発展し続ける。

その中で作られ発達した意識の無い知能であるAI・ビッグデータが人類を支配することになる。コンピューターが人間よりも一定分野で優れている事は事実であり、人間よりも優れた領域は加速度的に増えていっている。
もちろん古いSFのようにAIが私利私欲のために人間を利用するだとかそういうアレではない。AIには意識がなく欲求もなくただプログラムされた通りに動く。AIは生物のように自らの種を増やそうとするものではない。ただ人類は幸福になるように全てをデータとして扱うだろう。知性というのはアルゴリズムであり人間も当てはまる。
かくして人類はデータ教に支配されることになる。AIは人間よりも上手く人間を管理し、アルゴリズムである人間をデータとして処理する。それが実際的にどのような世界なのだろうか、ともかく人間が人間の自由意思で世界を動かす時代は終わりを迎える…… と予想できる。


と言った内容だ。まあもし合っている部分があってたとしても要約しすぎで意味が破綻しているはずなので本買って自分で読んでね。
で、ようやく本題に入る。東方鬼形獣とはどういった関連性があるのか。
やはり弱肉強食が支配する畜生界の人間霊が祈り願って得た偶像信仰によって自らが支配されたという点であろう。

畜生界は弱肉強食・ジャングルの法則に支配されたディストピアである。そのビル群は袿姫たちが来る前からあるはずで、弱肉強食の論理によって奴隷化、いや社畜化された人間霊によって作られたものであろう。
SF的ディストピアというともうちょい秩序だった管理社会を想起させるが、弱肉強食という論理もまた皮の剥がれた秩序であり、力あるものの序列により秩序が成立している。サバンナの食物連鎖は外界からの侵入が無ければ安定した一つの秩序とも言える。

人間は力が弱い(つってもまあ大型の哺乳類なのでカワウソやワシぐらい素手で何とかなりそうな気もしないでもないが)が手先は器用だったりやはり特殊な能力を持つ動物である。
それが作った革命的な信仰が鬼形獣では袿姫であり埴輪兵士であるという具合だ。

アニミズムが一神教に敗れたように、一神教が科学啓蒙主義に敗れたように、あるいは共産主義が資本主義に敗れたように、もしくは人間至上主義がデータ至上主義にこれから敗れ去るのではないかというように、新しい概念である埴輪兵士は古い弱肉強食の論理に従う動物霊を駆逐していく。
人間霊は埴輪兵士、偶像を盲信した結果、偶像のために人間霊が生きるようになってしまった。
もちろん埴輪・偶像は人間霊のために作られ人間霊のために動くものなのだが、偶像のために生きることが人間霊のためになるという構造が出来たため、霊長園の奥に向かう霊夢たち自機を止めるために人間霊は最終局面で特攻を仕掛けてくる。そこに人間霊の自由意思はあるのか。


多分そういう話なのだろう。
弱肉強食と言うくびきを経てばまた新たなくびきを得る羽目になる。
信仰を入れ替えたところで結局は奴隷のまま。
埴輪・AIに人間を害しようという気はなく、むしろ磨弓は生身の人間の強さに感嘆しているほどなのだが、その存在が人間の尊厳を守るものであるかと言えば疑わしいものである。意識の無いAIはがらんどうの偶像である埴輪と上手く合致している。自我が無いからこその強さ?ディープブルーも波立つ感情があればカスパロフに負けていたかもしれない。

吉弔が生身の人間を使って袿姫を倒そうとする策はAIの入ったコンピューターをハンマーで破壊する類の行為とでもいえようか?



まあいうて委託勢なのでEDも見てねえし話が覆る可能性もある気はするが、なるほど当てはまる点はありそう。
実際5月の段階で神主が「サピエンス全史」と「ホモ・デウス」を読んでいることは確からしいので、少なくともいくらかの影響を受けたことはありえそうな話である。
人間はその知性によって地球の霊長の座に立ったが、あるいはその知性によって不幸になっているのやもしれない。鬼形獣はそれに対する皮肉だろうか。
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テーマ:東方 - ジャンル:サブカル

  1. 2019/08/16(金) 20:20:11|
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コメント

私は人間というのはいつの時代も未知の技術に対して過剰に警戒心を抱き敵意を抱いて知性のある人ですらラッダイト運動で暴れた暴徒と同じ根っこを持っているのは面白い人って良くも悪くも頑固な生き物なんだ
それでも発展していくことは否定しないのは面白い生き物だなとおもいました。
  1. 2019/08/19(月) 00:26:30 |
  2. URL |
  3.   #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 私は人間というのはいつの時代も未知の技術に対して過剰に警戒心を抱き敵意を抱いて知性のある人ですらラッダイト運動で暴れた暴徒と同じ根っこを持っているのは面白い人って良くも悪くも頑固な生き物なんだ
> それでも発展していくことは否定しないのは面白い生き物だなとおもいました。

まあ人間ってのは自分が思ってるほど知能が高い訳でもないんでしょうね。
とはいえそれでも今地球を支配しているのは人間であるというのも事実で……
  1. 2019/08/19(月) 01:46:59 |
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  3. たていと1 #-
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