ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

インターネット探訪 「爆発音がした」

「爆発音がした」まとめ 上
「爆発音がした」まとめ 下

このシリーズは、爆発音に振り返るという趣旨の文章を、様々な文体で表してみて比較するというものである。
普通の小説とケータイ小説の比較から始まったと思うが、これが結構面白い。
それぞれの作品・作家などの文体の特徴をよくとらえている。

幾つか見ていこう。冒頭のまとめより引用。

引用
小説
「後ろで大きな爆発音がした。俺は驚いて振り返った。」


基本形。これを題材に肉付けされる。これが一番分かりやすいのかもしれない。
分かりやすい事が一番いいのかどうかはアレだが。

引用
ケータイ小説
「ドカーン!俺は振り返った。」


ケータイ小説は非常に簡潔。効果音とかそういう安直なのもガンガン使う。
まあ振り返ったなら後ろで爆発したって事は分かるか。

引用
ライトノベル
「背後から強烈な爆発音がしたので、俺はまためんどうなことになったなぁ、とかそういや昼飯も食っていないなぁとか色々な思いを巡らせつつも振り返ることにしたのである。」


これはライトノベルってかハルヒって言った方がいいような気もするが、確かにこんな感じなのも少なくはない。
心情描写が重要なのかな。あと形容詞も特徴的。

京極夏彦のは長いから引用したくないからしないが、それっぽい。一々一つの事書くのに滅茶苦茶長く書くのもそれか。ねじくれた内容も特徴。京極堂シリーズは代表作だけど、固有名詞書くのはどうかな。

引用
志賀直哉
「背後で轟音が鳴った。自分は振り返った。」


これはかなり元に忠実。

引用
司馬遼太郎
「(爆発--)

であった。

余談だが、日本に初めて兵器としての火薬がもたらされたのは元寇の頃である…」


確かにこういう感じ。分かりやすいタイプ。というか元寇は関係ないだろw

引用
筒井康隆
「あっ。爆発した。今爆発しました。
私がここであなたとこうしている間に爆発しました。爆発。
きっとこれから火がでます。げほっ。出ます。火が出ます。
さあ逃げましょう。逃げなくてはなりません。げほごほ。げほ。」
おれは彼女の手を引くと半裸のまま髪を振り乱して走った。
歩道の通行人どもが白い目をしておれたちを見た。


非常にそれっぽい。文体だけでなく内容も。厭世的というか、独特の嫌らしい感じが。
結構毒多いよね。レポーターの口調もこんな感じ。

引用
星新一
「おめでとうございますまことにけっこうなことで」
エヌ氏が振り返ると愛想笑いを浮かべた小柄な老人が立っていた。その声を聞きエヌ氏はため息をついた。
「やれやれ、なんてことだ。あれほど苦労したあげく手に入れたのが、のろわれた爆弾とは」


ショートショートの神。これもショートショートのオチ部分を模している。エヌ氏は固有名詞であってそうではない。かなり読みやすいよね。筒井と違って毒がない。結構文体は似てる気もしなくは無いんだけど。
時代を超えても通じる書き方をしてるんだよね。100万円とかじゃなく大金って書いたり。

引用
村上龍
「後ろで爆発音がした、汚い猫が逃げる、乞食の老婆が嘔吐して吐瀉物が足にかかる、俺はその中のトマトを思い切り踏み潰し、振り返った。」


非常に退廃的。作風。こういう冗長な描写の辺りが文体というか、こういうのを特徴付けるのかな。
爆発音シリーズでも名作とか。

引用
時雨沢恵一
「エクスプロージョン。燃焼などで気体が急激に熱膨張を起こす現象で、僕のエンジン内部でも起きてる奴だよ。托鉢ってやつさ」
「……爆発?」
「そうそれ」


キノの旅の恒例の掛け合い。モトラド(バイク)のエルメスがわざと?間違った事を言ってキノが訂正、エルメスは「そうそれ」となる定型分染みた会話。
こういうのがあるのはいいよね。わかりやすい。シリーズ読んでて楽しい。
かなり読みやすいよね、ミリオタ臭けっこうするのに。

引用
竜騎士07
ドカァァン!!!後ろで大きな爆発音がした…!
瞬間的に頭の中に冷たい液体が満ち…俺のまわりの風景は動作をやめ凍りつく………………
ッッ!!!!
俺は自分の置かれた状況を整理した…。
一人…だだっ広い道…後方で爆発………ッ!!
爆発物の正体は分からないが…音は遠くから聞こえていた…。
炸裂した破片の危険はないだろう。
脳内に満ちた液体が取り除かれ、時間が動き出す…………ッッ!
即座に俺は後ろを振り向く…ッ!


同人の雄、竜騎士07の文章。ひぐらしうみねこはノベルゲーだかんね。
まあ、控えめに言っても非常に「濃い」文章。文体の基礎は漫画かな?こってり。
でもそれでも読ませる臨場感があるんだよね。章の終わりの盛り上がりは逸脱している。
要するにこういう文章を面白く読ませる腕があるんだよね。BGMもあるし。

引用
荒木飛呂彦
「背後から『爆発』だアァァァッ!これを待っていたっ!
振り返ると同時にッ!すかさず叩きこむ!」


ジョジョの人。言わなくても分かるか。非常にテンポがいいというか・・・特徴的。
『』とか使いまくるのも特徴か。「ッ!」とか。

引用
空知英秋
「おぃぃぃぃぃ!!やべぇ、やべぇよ絶対これ!後ろで爆発?あ、あれだ、多分アバレンジャーの撮影かなんかだ!そうに違いない。」


焦ってる描写がそれっぽい。現実逃避しだすのも。
題材が爆発だからね。物語の転機として使える。

引用
アンサイクロペディア
「後ろで大きな爆発音がした。俺は驚いて振り返った。hydeは156cm。」


関係ないところにもこのネタを挟んじゃうのがアンサイクロペディアのノリっぽい。実際にそんなことしても削除されそうだが。
定番ネタ。

引用
痛いニュース(ノ∀`)
痛いニュース(ノ∀`):「若者の爆発離れ進む」・・・ネットで祭りに


すっげーそれっぽい。あえていうなら~離れ進むとネットで祭りにが繋がってないような気もするが。

引用
ニュース速報+板
「後ろで大きな爆発音がした。きっと工作員の仕業に違いない。」


それは確かにそういうのかもな。

引用
ニュース速報(VIP)板
スレタイ:なんか後ろで爆発音がしたんだけど
本文:もしかして俺の屁?


スレタイ、本文ネタ。
爆発の正体が屁というオチの物も結構ある。
文章は単独で面白いのが良いかもね。

引用
有野晋哉
有野課長「(爆発を起こしたボスに対しポーズを押しながら)うわー、絶対強いやん…」


ゲームセンターCX風ネタ。
趣旨が違ってきてる感があるがそれっぽい。
人気あるからね。



といった風に大量にある。抜き出したのは極々一部なので、他にも見たい人は冒頭のリンクから飛んでほしい。

文体は著者を特徴付ける。むしろ特徴ある著者の文章における発現というべきか。
文体は作品を修飾する。作品にはそれに適した文体があるといってよい。
文体とストーリーは密接に関係する。

顕著なのは(まとめになかったが)ラブクラフトとかか。非常に読みにくく、文体によるデメリットは大きいが、それに勝る作品世界との調和がある。調和って言い方もラブクラフトらしくないが、つまりコズミックホラーを書くのに適合した物々しい文体である。

つまり、多くの文体には理由がある。
その理由を考えてみるのも一興であろう。
作品の新たな側面を理解できるかもしれない。
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テーマ:雑記 - ジャンル:サブカル

  1. 2010/10/11(月) 18:55:03|
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