ネット世代の雑評論

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「VA-11 Hall-A ヴァルハラ」全グッドエンド見たので感想※ネタバレあり

VA-11 Hall-A ヴァルハラ 日本公式 PLAYISM



スイッチ版出たのでやって滅茶苦茶良かったので感想を書く。一応2周目で全グッドエンドは見た。バッドエンドは見てない。

サブタイトルに「Cyberpunk Bartender Action」と付いている訳だが、このゲームはサイバーパンクなディストピア、グリッチシティにおいてバー「VA-11 Hall-A」にて働くバーテンダー、ジル(27歳女性)が主人公となり客の話に耳を傾けつつカクテルを出すアドベンチャーゲームである。

アドベンチャーゲーム。このジャンル表記が出るたびに書いてる気もするが、別にアドベンチャー、冒険をするという訳ではない。要は会話劇・小説にゲーム的要素を載せたようなものを言う。まあ実際の定義はもうちょい複雑だがテキストこそが重要なゲーム群である。何故アドベンチャーゲームというかというと最初期の作品にアドベンチャーというゲームがあったからだとか。洞窟探検のゲームでなるほど冒険ゲームである。

サイバーパンクでディストピア。思えば現実も徐々にサイバーパンク的なガジェットが普及してきており、社会は警察の権限が大きくなり常に監視されているようでありながらも犯罪が増えていくようなディストピア的な雰囲気が漂ってきている。
SFは時に未来予想の体を示すが今現在想像される未来はまさにそういうところであり、であればこそのリアルがある。
制作者の住むベネズエラは結構やばいことになってるわけだがまさに作中の世界観、グリッチシティのような不条理と暴力に溢れる国家となっているとも聞く。それが故に描ける世界なのだろう。
個人的には最初の方で出すビールが他のカクテルと同じく様々な材料から作られる模造品だというのがビビッと来た。真の酒というのは高級品である。地味に一番安いカクテルでさえ80ドルもするというインフレ状態もイイ。「VA-11 Hall-A」、ヴァルハラと読ませるが、無機質な店舗番号とホールAで北欧神話の天国を意味する言葉にするというのが作品感があっていい。ディストピア中のオアシスらしい。

そのグリッチシティの中でジルは様々な人々と出会う。キャラクターの魅力は最高に素晴らしい。
リリムの美幼女ことドロシーは底抜けに明るいセックスワーカーである。リリムとは人型アンドロイドのことで、自我を持っておりロボット三原則などはすでに撤廃されている。基本的に明るい彼女だが、彼女にも様々な過去があり、ノイローゼ染みた気分になっていることもある。

すとり~みんぐチャンは24時間365日自分を配信しているストリーマーで、なんなら入浴やセックスすら配信している(プレミア会員限定)。彼女が現れると音楽が変わりニコニコ風の字幕で画面が埋め尽くされる。

ヴァージリオ・アルマンディオは意味の分からない詩的な言動と共に訳の分からない謎掛け注文をしてジル及びプレイヤーを激怒させるが後半で実は全部演技だったことが判明する。グッドエンドルートまで行くとその正体が判明するが初印象とは全く違う人物であるとわかる。

セイは街を守るホワイトナイトの一員で、腐敗している組織の中にいながらも裏表なく正義感に溢れた女性である。中盤の事件後は装甲服を着ていない訳だがその筋肉質な腕がまたなんとも。
ステラはセイと友人のキャットブーマ。キャットブーマとはグリッチシティ住民に行われる監視用ナノマシンの注入によって拒絶反応を起こした胎児に執り行われる遺伝子治療を受けたもので、頭に猫耳状の突起が特徴的に残る。
この二人の友情も中々に素敵である。

他にも色々いるがやはり主人公のジルも言及しておきたい。
酒飲みで(まあバーテンダーだし珍しくないだろうが)、喫煙者の女性。こういう類の悪癖がある女性は結構好みだ。ちなみに作中で確認されてる限り唯一の喫煙者である。誰かと一緒に休憩に行くたびに煙草を進めては断られるのは何とも言えない。一応バイセクシャルだがグリッチシティでは同性愛者など全然珍しくもなんともない。せいぜい上流階級では疎んじられるぐらいだろうか。
かなり過去が複雑で、その解決がエンディングに繋がる訳だが、まあクールなバーテンダーというイメージとは裏腹というか結構気分の上下も多い。結構複層的な人物ではある。割と単純な下ネタですぐ笑うし。オタクなところもあり、家では猫に腹話術をさせて一人で会話してたりも。

制作者の他のゲームにも出るデイナなども面白いし、やはりキャラこそはアドベンチャーゲームの肝要でありそこが成功している。
全員肩書は色々なんだがそれとその人個人はまた別というか、典型的な何、というキャラクターが出てこない。不安にさいなまれた都市の中でそれぞれがどう生きているか。キャラ描写は緻密を極め、世界観描写に深くつながっている。


アドベンチャーゲームとしては、よくある会話の選択ではなく提供するカクテルによって話が変わるというのがシステム的に変わったところか。
とはいえまあ、雰囲気付けというところが強いか。基本的に言われたカクテルを作る、あるいは推測する。時たま難しいのもあるがそういった意味でのゲーム性が高いというほどではない。
しかしカクテルを作るのは中々面白いか。それぞれのカクテルにそれぞれの意味がある。常連には好みのカクテルがあるし、いつものとか言われたらちゃんと出さないといけない。ノンアルコールにしたりLサイズにしたりと、考えるほどでもないが楽しさはある。
一応、ゲーム中に情報の無い(別のゲームで明かされる)隠しカクテルなんかもある。隠しカクテルによって隠しキャラが出たりもする。



「VA-11 Hall-A」、総評としては最高な雰囲気ゲーであった。
その世界観を堪能するゲームである。カクテルバーに行きたくなった。
真に迫ったディストピアであるからこそ人々の情はより厚くなっていくのか。



※追記
書き忘れてたけどセーブ画面のエモさといったらないよね。
笑えるぐらいのエモさ。というかかなりふざけているというか。意味は分からんが最高。いやまあなんとなくモチーフというか、昔のゲームはこんなだったなという感はわかるんだけど。変なゆるさ。
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テーマ:ゲーム - ジャンル:サブカル

  1. 2019/06/03(月) 03:42:43|
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