ネット世代の雑評論

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Wikipedia探訪「インディアン・カジノ」

インディアン・カジノ - Wikipedia
インディアン - Wikipedia
カジノ - Wikipedia


インディアン、今回書く意味ではアメリカ先住民の大半を指すアメリカ・インディアンの事を指す。ネイティブ・アメリカン(≒アメリカ先住民)という言い換えもあるが、ハワイ人やエスキモーなども含まれてしまうので現在の感覚ではアメリカ・インディアンという言い表し方がポリティカルコレクト的にも最も丸い呼び名であるようだ。
ちなみに本来のインディアン、南アジアのインドに住む人々をイースト・インディアンと呼ぶ場合もある。あえて区別しなければならない場合のレトロニムという奴である。

そもそもアメリカ・インディアンが何故インディアンと呼ばれているかというと、コンキスタドールの代表であるところのコロンブスが、地球が丸いことを認識したはいいものの地球の大きさについて計算を誤ったため自分が着いた土地、後のアメリカをインドだと死ぬまで勘違いしていたことに端を発する。
侵略者である白人達は先住民を殺し、奪い、迫害し、差別し続けた。その凄惨な歴史はとても一記事では語り切れない。わざわざアフリカから黒人奴隷を輸入して働かせたところやら、その他の移民の流入も含めアメリカという国は非常に危うい地盤の上に成り立っていることがわかる。アメリカの差別問題を門外漢が語る事の難しさは察せられるところである。

まあアメリカだけの話ではない。オーストラリアではアボリジニを似たような目に合わせている訳だし、日本だって例えばアイヌに対する処遇は劣悪なものである。
近代という時代がいかに暴力的であったのかがわかろうというもの。いやまあ中世や古代だって酷い話はいくらでもあるのだが。


まあそんなこんなで中々厳しい立場にあるインディアン達な訳だが、インディアン達の主要産業としてカジノ経営があるのはご存じだろうか。
カジノと言えばラスベガスを思い浮かべるだろうか。第二次大戦前からカジノの街として有名である。
最近では中華人民共和国の特別行政区マカオがラスベガスから世界最大のギャンブル都市の座を奪った。
ヨーロッパにも格式の高いカジノは多い。

で、アメリカでは州ごとにカジノが認められてたり認められてなかったりする訳だが、インディアン保留地、自治区では州の禁止には従わなければならないが規制には従わなくてもいい、みたいなよくわからん法の抜け道を通って連邦政府が公式認定した部族(絶滅認定されていない部族)が州との交渉をもってカジノを開くことが認められている。

大凡1980年代頃からアメリカの各地にあるインディアン保留地でインディアン部族がカジノを開いている。もっとも州が頑なに禁止しているところも多いし、カジノ開催を拒むインディアン部族もある。

カジノというのは上手く経営すれば儲かるモノで、実際インディアン諸部族を大分その収益で潤している。とはいえ何故カジノが禁止されるかというと治安悪化などが理由にあげられるわけで、事実そうした問題も大きくなっている。
道徳的観点からインディアン・カジノの運営禁止を掲げる州も多いが、しかして道徳の事を言うならばインディアン達がそもそもされてきたことは何だったのかという話に立ち返ってしまう。
インディアン・カジノの収益でインディアン達がこれまで失ってきたものを取り返しているという事もある。インディアン達の福利厚生や文化保護にもつながるし、非インディアンの雇用も潤す。概して今のアメリカからは取り除くことのできない存在となりつつある。

こうして見ていくと誰が意図した事でも無かろうが、インディアン・カジノはインディアン達をアメリカ白人達の「共犯者」にさせるという効果を持っているようにも感じる。
カジノは道徳的なものではないがやはり求められるものである。インディアンがインディアンであるままにアメリカ合衆国の中で存在し続けることは大きな摩擦を生み続ける。はっきりいって勝手に侵略した白人達に問題がある訳だが、だからといって今更ヨーロッパに帰ることが出来ようはずも無く、実際に権力を持っているのは白人達、というか資本家・金持ちである。
カジノという、ある種汚いが社会に必要で多額の収益を上げられる仕事をインディアン部族がすることで、白人側も道徳的呵責から逃れられ、インディアンも誇りをもって人生を生きることが出来る。
なるほど上手くできた仕組みなのかもしれない。不当に奪われたインディアン達に与えられたささやかな特権とでも言えようか。保障の一つとしては気の利いたモノとも言えよう。どのようなことをしても金さえあればインディアンもインディアンとしての個性を保ったまま存在できる。同じように資本主義の競争者となりうるのならば差別という摩擦は産まれにくい。資本主義という悪徳・社会悪にインディアンを連れ込んだとも言えようが、ある種文化的な適応とも言い換えられよう。



地球上のどこもかしこもいつ爆発してもおかしくない差別や偏見、紛争に満ち溢れている。
アメリカはその中心地である訳だがだからこそソレに対するスマートな解決策も産まれうるということだろうか。今後どうなっていくかはわからないがインディアン・カジノ、興味深い事象である。
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テーマ:雑記 - ジャンル:サブカル

  1. 2019/03/20(水) 22:16:01|
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