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マジック:ザ・ギャザリング。何故プロ達もハイドロイド混成体の強さを見抜けなかったのか

ハイドロイドcardimage

マジック:ザ・ギャザリング(MTG)。世界最古にして世界最大のトレーディングカードゲームである。デジタル版ではマジック・オンラインが主流であったが最近オープンベータが始まったMTGAはだいぶん好評であるようだ。
毎年数個のセットが新発売され、1セットに200枚ぐらい新カードが含まれる訳だが、もちろん強いカード弱いカードというものがある。
トレーディングカードゲームというだけあって、強いカードは人気がありカードショップでの価格も高くなる。

で、このハイドロイド混成体。最新セット「ラヴニカの献身」のトップレア、最も高いカードである。
しかし発売前は評価が高くなかった。

ハイドロイド混成体価格グラフ
1月25日発売で、それ以前から予約が為されている(先物取引みたいだ)が大体1000円ぐらいの評価。神話レアとしては中程度の評価だろうか?
それが発売後、つまり使用為されてから、正確にはプレリリースイベントがあった19日ぐらいからガンガン評価が上がり続け1月28日には最高値が7000円を超えた。だいたいこういうのの最高値は安定供給がなされる大手のネット販売値段な訳だがそれでも7倍。株券:ザ・ギャザリングである。
実際、こういう高騰するカードを見極めて大量に買って上がった時に売るみたいなことする人もいるようだが5chの高騰するカードスレで見抜けていた人はいなかった。まあ見抜けていたとしてそれを書いたら需要が高くなって敵が増える訳で書かない方がいいわけだが。



というかプロたちも見抜けていなかった。
お約束として強いカードを5枚上げろみたいな記事をプロたちが書いたりするのだがまあ外れまくったようである。まあ当てた人もいないではないのだろうが、プロキシかなんかで試した結果とかだろう。

まあ、たまにある話ではある。だからこそカードの高騰とか千枚買え枠とかそういう話がある訳である。
有名なのはタルモゴイフなどであろうか。



何故百戦錬磨のマジックプロたちもハイドロイド混成体の強さを見抜けなかったのか。
その理由を考えていきたい。


まず一つはテキストの勘違いか。

唱えたときXの半分切り捨てのカードとライフが得られる訳だが、「唱えたとき」、つまりキャスト誘発なのが一つ罠である。
大体はこういう類の能力は「戦場に出たとき」という記述が多い。通称ETB能力。
唱えた時能力はエルドラージ、クトゥルフ神話の怪物めいた大物がよく持っている能力だが最近出てないし、緑のカードではたまにあるようだが余り存在感がなかった。

「戦場に出たとき」と「唱えたとき」では違う点が二つほどある。
一つはカードの能力など特殊な方法で戦場に出た場合。リアニメイトなどで有名だが、例えば墓地からETB能力を持つカードを釣って戦場に出した場合「戦場に出たとき」では能力が誘発するが、唱えては無いので「唱えたとき」では効果は誘発しない。
たまにある、「マナコスト無しに唱えても良い」みたいなのだとどちらでも誘発する。
基本的に「唱えたとき」能力は、ただでさえデカいクリーチャーを、変な手段では無くマナを揃えて唱えたご褒美として記述されている。初代エムラクールとか唱えたとき能力(追加1ターン)を無視してでも無理やり出せばまあ大体勝てるもんな。

もう一つ重大な違いは、カウンターカードで打ち消された時の挙動である。
例えば唱えたとき、キャンセルといったカードでそのカードが打ち消された場合。戦場には出ないのでETB能力は誘発せず墓地に直行する。しかし唱えてはいるので「唱えたとき」能力は誘発する。
「打ち消されない」とは違い、例えばハイドロイド混成体ではクリーチャーは出ない形になるが、ドローとライフは得られる。Xで払うマナをデカくすると対処せざるを得ないからドローとライフに目をつぶって打消しを使わされることになるのだ。

Xマナカードはマナコストを払って唱えざるを得ないので唱えたとき能力との相性が良いと言えよう。
カードイメージギャラリーで公開された時、いつものETB能力か、と勘違いした人は少なくない。

それに、Xの半分切り捨てはドローとライフにしか掛かっていない事にも注目したい。
パワータフネスはXの数値そのままに出るのだ。これを勘違いした人も何人かいるようだ。
ついでに言うと、ハイドラは大体緑で、緑は基本的に飛行とか持ってないのだが、これは青緑のカードで飛行トランプルという抜群の回避能力を持っている。除去耐性の類は持っていないもののチャンプブロッカーでしのぐことは難しくXを大きくすればマスト除去という具合になる。飛行を見逃した人もいるらしい。


二つ目の理由は、テキストがやけに長く能力が多すぎることか。

テキストの長いカードは初めて見たときめんどくさくて読み飛ばす可能性もある。読んでもじっくり読まなかったり、検討を放棄したりする場合もある。

特にライフを得られるというのが余計な能力が入って他が弱くなっているんじゃないかという感覚を強くさせる。
基本的にMTGでは少ないライフを得られる能力というのは、初心者はありがたがるが弱いものだ。1点2点のライフではゲーム終了までのターン数が変わらない事も多いし、ライフで大幅上回っていたとしても戦場がどうしようもなければいずれ殴られまくって敗ける。例外は赤のバーン相手か。アレは相手のライフからターン数を計算してギリギリで攻めるものなのでライフの変動には敏感ですぐカードが切れたりする。

とはまあいっても、ライフは得られるに越したことがない。ドローもするし、得られたカードを使える時間も伸びるかもしれない。ドローを進めれば2枚目のハイドロイド混成体を得られるかもしれない。

余計な能力が入っていて弱く感じるというのは前のラヴニカでもあった気がする。到達は相手が飛行でもブロックできるという能力だが飛行の下位互換であり、飛行が入ってない相手だと効果を発揮しない。それなのにマナコストに計算されるとなると弱く感じる、という具合だが別に到達入っていようがいまいが強いカードに入っていたので強かったという話。でも弱いと感じられた。


三つ目の理由は効果を考える際にXを特定の数字で考えてしまいがちなことか。

Xマナカードは柔軟にマナコストを支払える。なんならX=0の青緑の2マナで直接墓地に落としても良い。あんま意味無いが。
とはいえ、Xの半分切り捨てなだけもあって固定的に考えてしまいがちなのも事実か。
基本的に使いやすいのはX=4か。2ドロー2ライフ4/4飛行トランプル。6マナ使ってコレは強いのか?という疑問もある、まあ強い気もするが絶対的に強い気はしない。
しかしX=6、合計8マナで撃つ場合もあろう。3ドロー3ライフ6/6飛行トランプル。6/6という数字は中々に致命的だ。
そこまでは考えるだろうが、今のスタンダードは結構マナを出しまくれるカードも少なくない。X=8や10で飛び出てくれば、これはもう除去するしかないがそれでも4枚5枚のドローから次の脅威が現れる。ついでにライフも回復してる。コレは中々危険だ。
そしてX=2、1ドロー1ライフ2/2飛行トランプル。これはかなり貧弱に見えるが選択肢として実際ありなのもカード全体としての強さを押し上げる。土地を引けてない時に土地狙いで使う場合も。
場合によってはXを奇数にしてもよい。ドローライフは非効率になるがあまり変わらないし、一点の違いがゲームを左右することは良くある。まあ奇数のマナがあってもドローでカードを構えるために偶数にしがちだろうが。

人はデッキを考える際、理想的な展開ばかりを考えてしまう。しかし実際のゲームではマナばかり揃ったり、あるいはマナが余り伸びなかったりという場合もある。そのどの場合でもハイドロイド混成体は強力なのである。


四つ目の理由はカードが馬鹿っぽいという理由だろう。

カードタイプはクラゲ・ハイドラ・ビースト。シミック連合お得意の生体改造によって生まれた生物である訳だがまあアホっぽい。
カードにネタ臭が強くするとどうしてもそのカードが競技シーンで活躍するシーンを思い浮かべにくいというのはある。
変なフレーバーテキストもそれを加速させる。何を思ってクラゲとハイドラを合わせたのか。そもそもクラゲってだけで浮かぶのか?

こういう理由で強さを見逃されたカードとして有名なのはタルモゴイフであろう。
タルモゴイフは墓地にあるカードタイプの種類の数でパワータフネスが上昇するのだが、注釈文に見慣れないカードタイプ、その当時登場していなかったプレインズウォーカーカードという記述があった。
登場した未来予知というセットは未来のMTGで出得るカードという無茶なテーマがあり他にも頭のおかしいカードで満たされていた訳だが、まあ変な記述があると変なカードだなと思ってしまうのが人の性質というものである。
始めのタルモゴイフの値段は500円ぐらいだっけ?一時期1万円とか超えてたっけ?今は再録も多く5000円ぐらい。


5つ目は普通の事だが、入るデッキがわからなかったという理由か。

どうしても既存のデッキに入りそうなカードは素直に評価しがちである。
しかして、一個前のセットと今回ので2色地形、ショックランドがスタンダードに揃い、緑青のハイドロイド混成体が唱えられるデッキも増えた。これを軸にするデッキも多くなった。中にはこれのために色を足したデッキさえもある。

中々新デッキまで想像して、というのはプロでも難しいものである。



カードで株券の様な事をやるのは不健全極まりないが、しかして楽しいものである。
こういった予想は、出来そうでできない難しさこそが面白みとなっているのだろう。プロの予想を上回れればそれは爽快といえるかもしれない。
これもTCGの面白さの重要なところか。カードの評価は人それぞれである。であればこそ人はカードをトレーディングするのだ。
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テーマ:ゲーム - ジャンル:サブカル

  1. 2019/02/02(土) 23:44:48|
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  4. | コメント:2
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コメント

遊戯王で高騰しそうなカードを予想して所謂転売していた友達がいますね
けっこう昔に自分はデッキに必要なあるカード三枚(一枚100円)だけ買ってもらったのですがそれが一ヶ月ちょっと先には2000円近くまで高くなってました
カードゲームでこういうのもなんですがホント株ですね
ちなみに友達はそのカードが高くなることを見抜けていなかったので自分のついでということで一枚だけ買ってるだけでした、残念

このカードの転売っていうのが一時期相当流行って、本の付録に有能なカード(要するに雑誌がオマケ)が付いてたりすると何処の書店に行っても売り切れてたりするんですよ
わりと田舎の方なんですけど完売してて驚異的な何かを感じましたね
本来こういう雑誌が欲しいであろう子供達に行き届かないっていうのは何というか大人の事情…?カードゲームの裏の世界って感じがしますね
  1. 2019/02/06(水) 17:12:24 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 遊戯王で高騰しそうなカードを予想して所謂転売していた友達がいますね
> けっこう昔に自分はデッキに必要なあるカード三枚(一枚100円)だけ買ってもらったのですがそれが一ヶ月ちょっと先には2000円近くまで高くなってました
> カードゲームでこういうのもなんですがホント株ですね
> ちなみに友達はそのカードが高くなることを見抜けていなかったので自分のついでということで一枚だけ買ってるだけでした、残念

たまによくわからないカードを高騰するとか言って何十枚も買う人もいますよね。
大概ボロクソな結果に終わるんですが。MTGではゲートウォッチの誓い後のウギンの目のモダン需要を見抜いて20枚ぐらい買った人が5chで晒してましたっけ。


> このカードの転売っていうのが一時期相当流行って、本の付録に有能なカード(要するに雑誌がオマケ)が付いてたりすると何処の書店に行っても売り切れてたりするんですよ
> わりと田舎の方なんですけど完売してて驚異的な何かを感じましたね
> 本来こういう雑誌が欲しいであろう子供達に行き届かないっていうのは何というか大人の事情…?カードゲームの裏の世界って感じがしますね


雑誌付録はやべーですよね。そういう入手手段が限られるやつは異常にプレミアついたりしますし。
TCGカードの価値というのはやっぱり馬鹿にできるモノではなく、だからこそ刷る側も考えて販売するべきなのやもしれませんね。
  1. 2019/02/06(水) 23:40:15 |
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  3. たていと1 #-
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