ネット世代の雑評論

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AAAタイトルの恐竜的進化とインディーゲームの破壊的イノベーション

【今日のゲーム用語】「AAAタイトル」とは ─ ゲーム業界の活性化には欠かせない重要な存在 INSIDE
インディーゲーム ニコニコ大百科


昨今のゲーム業界、特にコンシュマーゲーム業界は二極化が著しい。
かたや大会社が高予算、大人数で作り上げるAAAタイトル(トリプルエータイトル)、
かたや個人、もしくは小規模な開発チームで作られるインディーゲームである。


AAAタイトルというのは元々ゲームメディアによって使われてた用語で、今では開発者やプレイヤーにも広く使われているが、実は厳密な定義はない。
あえて日本語化すると「超大作」、といったところか。AAAというのは何の頭文字という訳でもなく格付けにおいてAクラス(大作)を超える大作という事を指し示すそれという訳だ。
例を挙げるならばコールオブデューティー、グランドセフトオート、アンチャーテッド、HaloやFallout、The Witcher、スカイリムなどが思い浮かぶだろうか。日本のでいうとFF15や、あるいは予算面だけでいえばスマブラなども含まれるだろうか。錚々たる面々である。

世界的に売れるゲームだとか、大ヒットゲーム、大ヒットが予期されるゲームだとか、メーカーの顔となるゲームだとか言われるが、ここは予算に着目した方がよいだろう。金をかけて作りたくさん売って回収するという戦略だ。
無論、金をかければかけるほどクオリティは高くなり良いものが出来る、はずである。他のゲームと比較される以上出来うる限りクオリティを高いものとしなければ売れない、故に競争するようにゲームは高予算となっていくという構図だ。


一方でインディーゲーム。これは個人や少人数のゲーム開発者が作るゲームを指す。いわゆる同人ゲームとは似通った領域にもあるが商業ルートに載せることを前提としている点で異なるか。
少人数故に予算は大きくなりにくい。だがそれ故稚拙な作品も多くなるか。近年ではSteamの存在やキックスターターなどの支援によって多くのインディーゲームが生まれている。
例を挙げるならばUndertale、クリプトオブネクロダンサー、Stardew Valley、ショベルナイト、LIMBO、Plague Inc、Hollow Knightなどが思い浮かぶか。Minecraftもインディー出だし、洞窟物語も元はフリーゲームだが今はインディーの扱いで良いか。広義では東方projectも含みうるか。個性的な面々である。

予算を掛けないが故にそれほど多く売れなくても商売になる。それ故にコア層向けの商売、濃く狭い層へ刺さるような作品が成り立つ。
ある程度クオリティに粗があっても、大企業が埋められないニッチを占有できる。そういう構図になるか?


実際にはこれらの構図は必ずしも成り立たない。まあタイトルで半場結論を書いているようなものだが、AAAタイトルとインディーゲーム。この二つを対立軸として考えると、予算の違いを主な起点として様々な差異が目立ってくるのがわかる。タイトルの議題を結論まで行ってしまうと、AAAタイトルは進化の袋小路に入りつつあり、インディーゲームがその前提を破壊しこれからますますの繁栄、適応放散が見られるだろうというまあ書いて見ればどこでも聞くような話である。
実際今後のゲーム業界がどんな形になるかはわからないしAAAタイトルもまだまだ生き残り得るだろうが。

この記事で書きたいことはAAAタイトルが嵌った沼の名前でありその正体、詳細である。それをインディーゲームを対照として説明していきたい。ここまで書いといてなんだがクソ長い前置きである。たぶん本題はこれより短い(追記:そうでもなかった)



AAAタイトル、最新鋭の、最前線の、最高予算のゲーム。ゲーム会社もかなり多いがその中でもトップクラスの会社のみがそれを作ることが出来る、とはいえトップクラスの会社だって少ない訳では無い。EA、ベゼスダ、アクティビジョンブリザード…… 昨今のゲーム業界は常に一社独占であったことはない。
AAAタイトルを幾ら作っても購買層であるプレイヤーのパイは(ほぼ)変わらない。特にAAAゲームのような作品は高ボリュームであることも求められ、プレイし始めてからクリアするまで時間がかかる。中々全てのゲームを買うプレイヤーは少ない。
そうであるが故に他社のAAAタイトルより優れたAAAタイトルを作りパイを奪い合わなければならない。そのためにはより高い予算をつぎ込みより高いクオリティのゲームを作らなければならない。
そうした戦略のためAAAタイトルはより高予算へ高予算へとエスカレーションしていく。

しかし、高予算であればあるほど高い商品価値を持つゲームが出来るのか?金を掛ければ面白いゲームが出来るのか?
そうした単純なものではないことは誰だって知っている。しかしどうしても良いゲームを作らなければならないとしたらどうするのか?
天才的なゲームプロデューサーやディレクターを雇う?やはりそうした人材は限られている上、天才が作れば必ず良いゲームが出来る訳では無い。もちろん出来るだけ良い人材を使う訳だが。

ではどうするのか。金をかければかけるほど良くなる部分に金をつぎ込む。そうした戦略がある。
例えばグラフィック。グラフィックは良いに越したことがない。良いグラフィックを作るには金がかかる。かければいいのだ。現在のAAAタイトルはフォトリアル、つまり現実で写真に撮ったようなグラフィック、を謳い文句にしている。
ボリュームも多ければ多いほど良い。様々なシナリオ、アイテム、敵キャラ。おおよそ大作と呼ばれるゲームは平均クリア時間が50時間を超えるものが多いが、クリアしてからコンプリートまでの時間は更に膨大になるものである。これもある程度は人海戦略によってなんとでもなり得る。
音楽に関しては何が良いというものではないが、音質については良いに越したことはない。音楽自体についてもオーケストラを起用する形で豪華なやり方もある。
インターネット環境も重要だ。強力なサーバーは金で用意できる。

しかしそれで本当に面白いゲームが出来るのかというと、結局のところ必ずしもそうではないと言わざるを得ない。
もちろんゲームシステムやらなんやらも強力な人材により素晴らしいものが用意されるわけではある。とはいえ実際にAAAタイトルを見ていくとどうにも保守的なシステムのそれも多い。
そこらへんにAAAタイトルの、高予算の罠がある。

まず第一に、高予算が故に失敗が出来ないということ。
高い予算を掛けて作ったものが失敗するとその反動も大きくなる。それ故になるべく失敗しないような方策を取らざるを得なくなる。
それは冒険しにくいという事と同義である。ゲーム業界というのはどうしても当たり外れが大きいものだが、AAAタイトルで外すわけにはいかないのである。
そうなると人気作品の続編ということで既存のIP(知的財産)を使い、システムもそれのアップグレードバージョンという形が手堅い。
逆に言えば新規IPは作りにくくなり(もちろんAAAタイトルとは別に作る訳だが)、冒険的なシステムの作品もまた作れなくなる。大予算で大規模広告を出しで新しい事をするのはリスクが大きすぎるのだ。

第二に、高予算が故に個人の才気が発揮されづらいということ。
まあ半分同じことを繰り返しているようなものだが、高予算で膨大な仕様書のあるゲームを作るのには当たり前だが大人数がひつようであり、それ故ワンマンでゲームを作ることなどできない。どこか折衷案のような作品になり、一種の芸術性は失われがちだ。
まあ個人の暴走で大失敗も生まれにくいが。

第三に、高予算が故に上層部や株主などの横やりを受けやすいということ。
金をかけて失敗は出来ない。また同じことを繰り返してる気はするが、予算が大きければそれだけ影響を受ける人物も増え、そこから多大な影響を受けがちだという事。もちろん正の影響もあろうが。

第四に、高予算が故に納期がしっかり決まっているということ。
ゲーム制作というのはどうしても完成品が見えにくいというのがある。それ故に作っているものが制作終盤になって上手く行かないという事も少なくはない。しかし納期は絶対だ。予算があるが故に長時間残業やら人員を増加させるなりでカバーの仕様もあろうが、例えばインディーゲームならば完成すなわち納期ということで良いものが出来るまで作り続けることもできる。AAAタイトルでの延期は会社が傾く恐れもある。

第五に、高予算が故の強力なグラフィックや演出がハードに強く負担を掛けるということ。
金をかければかけるほど良いものが出来る。否定はしないがそれが収まる器があるかどうかというのも重要である。
現行のコンシュマー最新鋭機はPS4、XBOXONE、そしてスイッチがあるがスイッチはスペック争いから離脱しており、スイッチマルチまでするとなるとAAAタイトル側に様々な問題が出てくる。最適化で何とかなる場合もあるがそれをするのも負担がかかる。
そしてAAAタイトルの最たるものはPS4やXBOXONEでさえ収まらず、その3倍以上の価格であるゲーミングPCを前提に作られている場合もある。
ゲーミングPCを持つゲームプレイヤーは必ずしも多くはない。もちろんハード側の進化を見越してという戦略もあろうがタイミング的な商機を喪っていることには違いはない。



グラフィックのように、金をかければかけるほど良いものが出来るものも確かにある。それが逆に枷となってAAAタイトルを縛りつけている。
逆にインディーゲームならば、例えばグラフィックは昔懐かしの8bit風ドット絵にでもして、他もゲームとしての十分なソレにして、後はゲームデザイナーのアイディア勝負ができる。
もちろんそれでの失敗も多いがやはり成功例も多数見えるのはAAAタイトルよりも数でインディーゲームが多いからだろう。これもまた予算の量による一側面である。


トップレベルのゲーム会社でいうと任天堂などは、まあ他の大会社のAAAタイトルほど金をかけていないという話もあるが、膨大なキャッシュ、内部留保を抱えて失敗時のリスクを低減し冒険的な開発を行い、更に自社の作るハードのスペックにあわした作品を作るだけなのでだいぶん上手いことやってる印象もある。求めるクオリティに達しなければ延期も断行するし。

まあ色々書いたが、AAAタイトルのように高予算でしか作れないゲームがあることも事実である。
今後のコンシュマーゲーム業界はAAAタイトルとインディーゲームを対立軸として見ると興味深いものがあるかもしれない。
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テーマ:ゲーム - ジャンル:サブカル

  1. 2018/08/26(日) 12:19:52|
  2. ゲーム
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