ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

「みなクズ with 男子校系男子」買って読んだので感想

ハトポポコ - Wikipedia


常々思うが、ハトポポコ先生はもっと評価されても良い。平成生まれもけんもほろろもアニメ化せずに終わったし、どうにも早過ぎるのか。
作風としてはみなクズの帯にも書いているように「ポスト日常系」というのが正しいであろう。

日常系、女子高生だとか一般人の日常をただ日常として描く漫画(アニメだったりもするが)で主に4コマ漫画で多い。日常系の系譜はかなり遡れる(あずまんが大王など)が、近年でいう日常系の大成者といえる作品はやはり「けいおん!」であろうか。
4コマ漫画でいうならば起承転結のはっきりしたギャグ4コマとの対比としての言葉というのが大きいが、漫画全体でみるとシリアスな、バトルとかしたりするストーリー漫画と対と言えるかもしれない。セカイ系との対蹠とも、まあそれはあまりにも言葉としてハマりすぎて反論したくなる部分もあるが。

ただあるがままの日常、激しい興奮は無くただ凪いだ精神が保たれる、あるいは郷愁に包まれた、もしくはかつて望んだ・ありえた生活。そう言ったモノが求められるのが現代という時代である。
いや、あった、というべきなのかもしれない。大成者である「けいおん!」は同時に金字塔でもあった。完璧すぎるそれに抗し超えるには違いを出さなければならない。日常系とはいかに日常系ではありえないものを作る歴史にあった、と言ってしまってもいい。

翻って、ハトポポコ先生の作品はどうだろうか。
フォーマットとしては、概ね女子高生の日常会話に焦点を当てている典型的な日常系のスタイルである(男子高校生だったりもするが)。
だが奇妙なことに女子高生らしくない女子高生ばかり配置している。いや基本的には女子高生の範囲であるのだが、精神性の面で相当な逸脱がある連中がかなりいる。そして、そうした彼女たちを可愛く描いてしまう。日常系のスタイルで。
「平成生まれ」の佐藤などは中々に興味深い。ひたすらウザく四村や中川に絡み、洒落にならないようなことを言いはなったりとんでもないクズ行為をするが、可愛い女子高生がそれをするから魅力となる。

逸脱の範囲が大きすぎるためギャグ4コマ漫画への回帰のように見える場合もあるだろう。しかして、むしろその逸脱をこそ愛でるという点で「ポスト日常系」の立場を明確なものとしていると言えよう。
ねじけた花にこそ妙味がある。完璧なヒマワリや桜は美しいかもしれないが、それをも超える魅力がありうるのだ。


前置きが長くなったがそれを踏まえて「みなクズ」と「男子校系男子」を見てみよう。

「みなクズ」は女子高生(いちおうお嬢様学校らしい)達の会話する日常系漫画だが、主要登場人物が全員「クズ」である。みんなクズだから「みなクズ」という訳だ。
過去作品でもよくクズを描くハトポポコ先生だが、今回は四人の異なるクズを描いて、クズをテーマにしている辺りが極まっている感がある。

露悪的なクズ長谷川が問題提起をし話が始まりまともそうに見えるが自分に甘い安藤がツッコミ、才色クズ兼備の小泉やウザく直線的なクズ山川がオチを付ける。
みな自分の生きたいように生きている、人の迷惑など考えずに、むしろそれを楽しみとして。
クズ、大悪党ではないが世間の厄介者。それを肯定するからこそ多大な安心感が生まれるのだ。

40手前のおっさんをLINEらしきアプリで煽って穏やかに笑う女子高生。それが許される世の仲であってほしかったという願いすら感じられる。日常系だが感動的にまでアウトローだ。理想の世界を描くという意味でまさに日常系でありポスト日常系である。

一番好きなのは安藤かな。まともそうに自分では他人を叱るくせに自分の事となるとだらしがない。何回も他人の約束に遅刻するはカンニングで入試に受かってるわ。真面目系クズとかいう言葉もちょい前流行ったっけ。


「男子校系男子」はそのまま主要登場人物が男子校の男子である。
別に対象層を変えるわけでもなく男性同士の会話となると日常系というジャンルからあまりに逸脱しすぎる、日常系ではないのではないかという疑問もあり得るだろうが、果たしてそうではない。

ハトポポコ先生の他作品の女子高生ほどの逸脱はこの作品の主要登場人物にはない。
割とどこにでもいそうな、ちょっとアホな三人組の男子高校生である。であればこそ、その行動のヘタレさ、アホさ、情けなさが愛おしい。

日常系の大前提を覆しながらまさに日常モノを行う。なるほどポスト日常系だ、という具合である。
ただ人物設定を女性から男性にしたという訳では無い。ジェンダーフリーが叫ばれる昨今の世の中だが人間には、哺乳類にはどうしようもなく男性性・女性性というものがある。それをしっかりと認識した中でそれを入れ替えて日常系たる可愛い登場人物たちの会話を成り立たせている。これは驚異的である。

男性の、男子高校生の可愛さというのも確かにある。それに目を付けたのはハトポポコの慧眼と言えよう。
一番好きなキャラはサブキャラだが美甘の姉だろうか。可愛らしく、弟からしてみればめんどくさい「お姉ちゃん」である。



日常系の最先端を超えた先を突き進むハトポポコ先生。
これから先、彼は漫画文化・創作文化に何を残していくのだろうか。今後も注目していきたい。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2018/01/27(土) 17:28:41|
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