ネット世代の雑評論

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風雲児たち、ワイド版20巻と幕末編29巻、出てる分全部読んだので感想

風雲児たち - Wikipedia

まあちょっと前に2巻までの感想記事みたいなの書いたけど一応。


風雲児たち。幕末の風雲児たちの群像を五稜郭陥落辺りまで書く、と言うテーマの漫画作品である。
しかし幕末の状況は江戸時代の成立に事を発するという作者の判断により関ヶ原の戦いから連載を開始するという暴挙に出たのがこの漫画である。一応ギャグ漫画なのだが、この事実が一番凄まじいギャグである。一・二巻ならともかく普通のコミックス換算で30巻たっぷり江戸時代をやったというのが信じられない。しかも編集部の圧力(さっさと幕末編はじめろという)によりジョン万次郎辺りの話など刈り込まれて30巻である。


なぜそこまでする必要があったかというと歴史において全ては繋がっているからであろう。

関ヶ原の戦いにおいて、謀略をもって勝った東軍家康は、それが故に無傷で引き返すこととなった西国の大名、島津、毛利、長宗我部の一党を殲滅できず、それが薩摩藩、長州藩、土佐藩となって幕末において討幕を導いた。

水戸黄門こと徳川光圀、御三家であり副将軍とも言われる立ち位置の人間があろうことか尊王思想の水戸学なんぞ起こしたから、幕府の権威が落ちた際に皇室の権威が上昇し、幕府も朝廷に強く出れなくなり、水戸家の血筋である徳川慶喜も皇室を尊重しまともに戦わなかった。

徳川家光の異母兄弟、会津松平家初代にして四代将軍徳川家綱の補佐をした保科正之が家訓として将軍家を保護せよと固く命じたために幕末において最後まで悲惨な戦いをつづけた。

前野良沢、杉田玄白らのターヘルアナトミア、解体新書の翻訳から始まる蘭学の流れがあったからこそペリーらの開国要求からの日本の適応が素早く植民地にされなかった、ともいえるかもしれない。


こうした歴史的なつながりが、しっかりと、延々と描かれているからこそわかってくる。歴史の奇跡を感じることができる。
登場人物にやや贔屓や思想的なクセなんかも見られるが、しっかり最新の資料を読んで、その上で自分で考えて描いているのも好感である。流行り廃りに左右されない魅力がある。
ギャグもシリアス過ぎる内容を程よく緩和している。
歴史漫画として素晴らしい出来だと言えよう。


問題は、ちょっと長くなりすぎているというところか。
幕末編第29巻の時点で新撰組のしの字も出てない、というと言い過ぎだが本格的な登場は無くせいぜい3コマぐらいしかでてないんじゃないだろうか。サービス出演みたいなもんで。
作者は確か今70歳ぐらい。連載開始が1979年。作者の寿命が先か完結が先かと言う話になってくる。
そもそも幕末を江戸時代にまでさかのぼったマンガが本当に幕末で終わるのかどうか。五稜郭陥落ぐらいで終わるという約束が果たされるのかどうか。果たせるのかと言った方が近いか。

やはり、完結して終わってほしい。その時こそ作者のライフワーク、人生を遂げた仕事が終わり、幕末史の一つの再解釈が為るわけである。
NHKで正月だかに蘭学編あたりがドラマ化するとも聞く。風雲児たちの今後にも注目していきたい。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2017/11/26(日) 18:30:03|
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