ネット世代の雑評論

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施川ユウキ「銀河の死なない子供たちへ」上巻読んだので感想

コミックウォーカー 銀河の死なない子供たちへ
施川ユウキ - Wikipedia

施川ユウキ先生といえば4コマ漫画界ではもはやビックネームと言っていいだろう。
日常的なギャグを基本とするが、かなり示唆に満ち溢れた内容や、非常に象徴的な話や形而上学的とさえ言えるような展開を見せることも多い。
作品によって色がかなり違う作家である(例えばツモっ子どうぶつの森などは麻雀に絡めて回りくどいダジャレばかり連発している)が、「銀河の死なない子供たちへ」はかなり考えさせるSF作品である。


まず主人公の女の子、パイ。よく見る天真爛漫なアウトドア派少女のようだが、不死である。
不死。死なない。不死身。不老不死。
猛獣に踏まれたりハイエナに食われても再生するし、首を吊っても平気で、何も食わなくても大丈夫だし、少女の姿のまま何千年と生きている。

ちなみに家族もいる。兄か弟かわからないが兄弟のマッキ。インドア派で本の虫である。
そして母親の「ママ」。子供たちのことを想っているようだが……

不死なだけではなく、不死だからこそか、時間感覚も酷く通常の人間とは異なっている。
寝っ転がって空を延々と見続ければ星空が回り、昼夜が目まぐるしく変わり、季節が変わり、時代が変わる。ちょっとした昼寝気分で芽が大木に成長してしまう。数十年~数百年を寝て過ごす。
ママなどは鍾乳石を見ていたら落ちてきて刺さって、そのまま天井と繋がったなどというほどである。1cm成長するのに70年とかだっけ?ものによるらしいが。2400年とかの場合もあるんだっけ。
ちなみに人間(他の人間と書くべきか)は地球からいなくなった世界らしい。どうやら宇宙に脱出したようだが……

もう一つ不死ゆえに普通とは違う点としては、知識量などが挙げられるか。
パイもマッキも、絵柄のせいもあり7歳ぐらいの幼児にさえ見え、実際性格は子供っぽいものであるが、延々と何千年も生きているからかいきなりドープなライムを即興で作ったり、普通に英語を喋ったりもする。円周率の数字を延々と書き続けたりも出来る。
無為に生きていたとしても不死は強大だというところか。

そして本質的な違い。死生観。不死に生まれついた人間に死はわからない。
パイとマッキに対して、ママからの唯一の言いつけに「ペット禁止」がある。
マッキはこの言いつけを盛大に破って、何百匹ものペットを飼って、ペットが寿命で死ぬのを見届けて、墓を作り、永遠に続くお墓の世話をやっている。お墓もすぐに
パイは触発されて犬を飼い、世話をして、死ぬのを見て強いショックを受ける。
埋めた犬もすぐに化石になってしまう。

ママは人間のいた時から生きているらしいが、パイとマッキは人間を知らない。人間の死を知らない。
その後色々あって、人間の赤ん坊、ミラをパイとマッキで育てることになるのだが……



不老不死。人の目指す究極目標の一つである。
とはいえ、目指すことが愚かだともされる究極目標でもある。
しかして、実際不老不死の人間はどのような存在でありうるのだろうか。

SFは、ファンタジーと比較するならば、現実世界の延長線上にあると私は考えている。
人間の死という要素を取り除いた存在から、人間の死、そして生というものを窺える。
様々なことを考えさせる良いSFである。


これは上巻。WEBで続きが読めるが、今後どのような展開になるのか。施川ユウキ先生は今に至っても進化を続けているのが凄まじい。
生と死、そして不死。不死の行く末についてどういう結論を出すのか。来年春の下巻に注目である。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2017/11/08(水) 01:20:37|
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