ネット世代の雑評論

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「機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島」第一巻感想

公式

そういえば単行本が出てて、買って読んだので。


ククルス・ドアンの島。テレビ放送時の初代ガンダムの一エピソードである。
話としては太平洋の島に武装をしていないザクがいて、ジオンからの脱走兵ククルス・ドアンが島を守っている中、アムロがコアファイターに乗ってその島を訪れて…… といった具合であろうか。

しかしテレビアニメを再編纂した劇場版機動戦士ガンダム、及びアメリカで放送されたバージョンのテレビアニメでもこのエピソードは省かれている。
何故かというと、エピソードが独立しており省略が可能であったこと、そして作画のクオリティが著しく低かったことが理由として挙げられる。
ではなぜそういうことになったかというと、これは制作時から織り込み済みであり、クオリティが悪いとわかっているスタジオを使うことで他のエピソードのクオリティを高めるため、つまりはククルス・ドアンの島は捨て回だったということである。

しかし、その妙に崩れて味のある作画、やや設定的におかしなところはあるものの抒情感のあるストーリー、そして魅力あるキャラクター、何より偉大なガンダムシリーズの初代の一エピソードだったという点から一種カルト的な人気を持つエピソードであった。


後年、機動戦士ガンダムのキャラデザ、作画監督を務めた安彦良和が漫画雑誌ガンダムエースにて機動戦士ガンダム THE ORIGINを連載。大ヒットした。
しかしその中にもククルス・ドアンのエピソードは含まれていなかった。物語全体のストーリーに絡まず、そもそもからナンセンスな点も多いからだ。


このまま忘れ去られてしまうのか。ORIGINも劇場版アニメになる中、一つの漫画がガンダムエースにて連載される。
それが「機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島」である。
ちなみに、どう見ても安彦絵に見えるが著者はおおのじゅんじ。機動戦士ガンダム外伝ミッシングリンクを描いた人である。ORIGINということで絵を寄せているのだろうが、絵だけでなく微妙な作風や間まで完璧なのがすごいところ。

脱走したククルス・ドアン、及び彼が指揮した開発訓練Y-02小隊の面々の過去と一年戦争時現在の話となっている。
ドアン自身だけではなくドアンの指揮下で働いた部下たちがどのような影響を受けたのか、という具合で周辺から探っていく形を取っている。そこからドアンがなぜ脱走したのかというのも考えることもできる。
ドアンの脱走によりY-02小隊の人員はバラバラに各戦線に送られており、一作品で一年戦争を楽しめるともいえる。

開発訓練小隊ということで、設立当時はORIGINで示されたモビルスーツの原型たるYMS-03ヴァッフやMS-04ブグなんかを扱っているところも非常に楽しい。モビルスーツ自体のテストパイロット共という訳だ。
個人的には、まあモビルワーカーもそうだがデザイン的に原型というにはザクに寄りすぎていてもっと原始的な機構、形状が欲しかったなと常々思っているのだが、まあわかりやすいところもある。
この辺もゲームで出ないかなぁ。Gジェネはコスト、あんま関係ないのもなあ。安い奴は安いだけの価値があるようなのがいいんだが。EXVS系も大雑把だし。


感想としてはかなり楽しめた。
やや奇抜な、過去と現在を行ったり来たりするような内容であるがその効果が上手く出ている。ドアンという人物がどれほど大きな影響を小隊各員に与えていたのか、それがなぜ脱走などしてしまったのか。過去と現在の往復回想にてそれぞれの登場人物がわかってくる。
マイナーなモビルスーツマシマシであり、この辺もORIGINで過去のMSが確定されたことで色々出しやすくなったものであろう。その中でマイナーなガンダムなんかも出てきて賑やか。ゴッグも出てくる。ORIGIN本編でもやったモビルスーツ開発史をより穿って描写しているとでも言おうか。
派手な面白さで読者を振り回すタイプの漫画ではないが、既にある機動戦士ガンダムの前提を深く知っている人にこそ感動されるものであるように思える。

ククルス・ドアン。テレビバージョンでもやや浮世離れしたところがあり、求道者めいていた感じもあった。実際作画崩壊により彼のザクはスリムに描かれ、それが清貧さの象徴であるとかアホみたいな説もあった。
脱走は軍における最大の罪である。それをしたククルス・ドアンは何を考えていたのか。それを周辺から完全に描き切ろうという作品であるように感じた。
テレビアニメに一エピソード、それも捨て回をよくもここまで膨らませるものだという感じもあるが、やはりあのエピソードには不思議な魅力を感ずる人も多かったということだろう。私も好きだ。
今現在一巻が発売されていて、ガンダムエースでは未だ連載中。テレビアニメでやった島でのエピソードもやるとすれば最低でも3巻、長ければもっといくらでも?まあ5巻ぐらいが妥当だろうか?まあ面白ければ何でもいいが。

一年戦争ものばかり人気なのは良い兆候とは言えないが、やはり良い作品は評価したい。
ククルス・ドアン。殆ど必然性なく生まれたキャラクターだが、今もこれからも語り継がれる魅力を持っている。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2017/02/26(日) 14:49:09|
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