ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

幼女戦記、物理書籍最新七巻までと漫画最新二巻まで、アニメ最新二話までとWEB版最後まで読んだので感想

幼女戦記 - Wikipedia
Arcadiaによる小説掲載ページ

幼女戦記アニメが始まると聞いて、物理書籍のカバーがかっこよくて気になってたので一冊買って読んだら面白過ぎてとりあえず出てる分全部読んだので感想。
ああ、WEB版は物理書籍でまだの分から読み足したけど、大分設定とかキャラとか状況とか物理書籍で変わってるからまた違うんだよね。

幼女戦記。現代日本の、エリート意識の高い非情な人事課のサラリーマンがリストラした相手に逆恨みされて線路に突き落とされたら、神を名乗る存在Xに信仰心がないとかケチをつけられた挙句、言葉尻を捉えられて非科学的な魔法の存在する世界でドイツに相当する帝国に幼女ターニャ・デグレチャフとして生まれ、第1.5次世界大戦相当に従軍して、望んでもいないのに大活躍させられる羽目になる話である。

まあ、まず主人公、ターニャ・デグレチャフ(ファンによる愛称:デグさん)がすごくいい。中身はまあおっさん(隠れミリオタ疑惑アリ)で、書籍で活字ばかり見ていると幼女であることを忘れかねないほど幼女してないが、だからこそ良い。
帝国において、関東軍式出世ドクトリンとか抜かして、保身と出世の事しか考えず勇ましく口八丁を使い、それでいて実績を残し後方配置を望むが、上官や部下からは完全に戦争狂だと勘違いされてそれとなく最前線に送られるよう配慮される。
サラリーマン時代首切り業務(懲戒解雇ではなく依願退職という形で…… ってとこが最高に厭らしいよね)をやっていた男(幼女になったが)なだけではあり、冷徹、冷酷であり無能な部下は死ねと思っている。実際に直接処刑しかけたことも多々あり。WEB版ではやってたか実際。
経済至上主義者であり、人間を人的資源としか思っていない。無神論者であり神を自称する存在Xを憎み、共産主義を敵視している。論理、知性・理性を重視し敵が愚かなことをしていると混乱しながら殲滅しだす。
損得でモノを考える利己的な性格であるのにあまりにも苛烈な自意識を持っていて、肉体・精神どちらからも揺さぶられつつもブレないから読んでいると肩入れしてしまうんだよね。
主人公に求められるのは正義であることではなく、ただ好かれること。それを果たしている。
主人公こそがテーマであり、主人公を描くがための作品である。
漫画版では常に幼女としての姿を描かれることもあり、幼女となったサラリーマンとしてのキャラクター性もうまく出ている。

幼女。まあ、ややサブカルくさい要素ではある。とはいえ、実際には架空戦記であり幼女要素はいうほど多くない。
はっきり言って、所謂TS的な、エロ的な要素はほとんど(あるいは完全に?)皆無。幼女という要素はハンディキャップ、肉体的、軍隊の中で舐められる容姿的第一印象ハンディキャップとしての要素が大きい。子ども扱いされて怒り狂う要素には需要がある。アルコールも飲めないがカフェイン中毒でコーヒーは飲みまくる。
むしろ、幼女が歴戦の軍人をしている違和感、幼女が卑劣極まりなく保身と出世を考えるサラリーマン的思考で動くギャップにこそ見るべき点がある。

戦記。架空戦記である。架空の軍事モノであり軍事的、軍政的リアリティでまとめられている。
ファンタジー的魔法要素もあるが、この作品での魔導士は攻撃ヘリぐらいの立ち位置である。魔法を使う兵隊、兵器が現実の兵器と等価、その時代設定にしては未来の兵器のそれとしても、という立ち位置は皇国の守護者を想起させる。そういう類の架空戦記である。
デグさんも、幼女になった新城直衛(皇国の守護者の主人公)と形容されるぐらい近しいものがある。まあ、新城直衛はそこまで出世には興味なかったが。

魔法少女モノとして。まあ少女の魔導士はデグさん(幼女だが)除けばヴィーシャと、ラスボスでありデグさんのアンチテーゼであるメアリーしかいない。他は全員男。ヴィーシャもアレだよね。WEB版から物理書籍にする時に追加されたキャラだよね?
同じ軍事魔法少女でいうとストライクウィッチーズがまず想起されるが、まあ幼女戦記は人対人であり陰惨さが違い過ぎる。まあ軍事魔法少女モノで化け物相手に戦ってるストライクウィッチーズの方がやや変という感もあるが。
むしろ終末のイゼッタに近いという。イゼッタ見てないから知らんが世界観とか雰囲気とかはそれっぽい。

Arcadiaで連載されたWEB小説であり、同じArcadia組というとオーバーロードなんかが思いつく。
まあ転生チートものといえばそうである。なろう系とも総称され、実際ArcadiaもWEB小説だし似たようなものと言えばそうかもしれないが、幼女戦記はもうメタなろう系、ポストなろう系ぐらいなのかもしれない。
デグさんを転生させる存在X(そういえば存在Xとは著者カルロ・ゼンの別名義でもある)はこれ見よがしなぐらい即物的な神であり、あまりにも神であるため全く信用できないのはデグさんと同様読者も感じる辺りであろう。
デグさんは前世の知識と経験を有効に活用して戦争で活躍するわけだが、前世での経験で深読みしたあげく妙な回答をして勘違いされた挙句貧乏くじを引く羽目になるというギャグめいたパターンなども多い。
WEB版のエピローグ的外伝では概ね歴史が元の世界と同じ具合に推移することをいいことにインサイダー取引モドキを繰り返していたりするのも笑える。

メディアミックス。漫画版は完璧と言える。作品の魅力を完璧にヴィジュアル化し、さらに漫画という媒体ならではの魅力も追加している。活字にされないような細かい描写もよく出来ている。コントラストの強い画風も苛烈な作風に合っている。
漫画版が完璧なだけにアニメ版は粗が目立つ。いや十二分に面白いし新たな魅力も多く、わかりやすくするように努力しているのだろうが、デグさんのキャラクターをもっとしっかり描くべき(あまりに戦争狂に見える、声は色々意見はあろうがやや想像と違う)だとか、存在Xを超常の存在として描きすぎ(アレは俗な、非論理的な、不条理な神性として描くべきであろう)感もあり、魔導士の装備なんかも……
まあ、まだ2話であるしこれからに期待ではある。見るに値する作品ではある。

色々褒めてきたが、あえて欠点も挙げるならば、WEB版を見る限り消化されていない伏線も多いということ。
特に存在Xとの最終的な決着、精神汚染がどうなったかなど重要な軸も語られずに終わった(メアリーは死んだが)のはどうなんだとは思った。
その辺りは今後の物理書籍に期待か。実際、WEB版とはかなり変わっている。この調子では戦争の結果すら変わりかねない。ニンジャスレイヤーなんかも物理書籍での加筆が著しいが、幼女戦記はもはや別物という感すらある。

そうそう、WEB版でのデグさんの最終的な立ち位置も結構好み。長編にはハッピーエンドが必要で、そして作品性を損なっていない点が上手くて後味が良かった。



なんにせよこれからの作品でもある幼女戦記。物理書籍第8巻は2017年春、漫画版第3巻は2017年1月26日発売らしい。
アニメもこれからだし今が入り時である。興味を持ってくれたならばぜひ手に取って見ていただきたい。
非常に楽しめる作品である。
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テーマ:ゲーム - ジャンル:サブカル

  1. 2017/01/18(水) 13:48:26|
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