ネット世代の雑評論

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京極夏彦「虚実妖怪百物語」読んだので感想

京極夏彦 - Wikipedia
作品の公式ページか何か


京極夏彦。まあ、現役の日本の小説家の中では著名なほうであろう。
異常に分厚い小説を大量に出しており、確固たる推理小説でありながら幻想小説ともいえる独特の作風にはファンも多い。ファンが多いから著名なんだが、コアなファンが多いというか。
妖怪という分野でもトップクラスの知名度を持ち、ある種ご意見番的な役割にすらなっているかもしれない。

私もファンなので書店で京極夏彦の新刊、「虚実妖怪百物語」、序破急の三分冊、B5サイズ、総ページ数は422+480+480で計1382ページ(広告ページなど除く)、が平積みされているのを見てつい買ってしまった。ちなみに一冊税別1400円。
奥付によると『怪』で2011年3月から2016年3月までに連載されていたものの単行本らしい。


まあ内容としては、現代日本に妖怪(?)が現れて、妖怪関係者たち(小説家とか研究者とか)がやばいことになったりして日本が滅びそうになる話ということになる。

最大の特徴は、実際に、妖怪関係者たちが実名で出演しているところだろう。
作者である京極夏彦は百鬼夜行シリーズの京極堂のような立ち回りだし、荒俣宏は學天則ジャイアントに乗って歩き回るし、水木しげるは水木しげる大先生である。それほど有名でない面々もこれでもかと言うぐらい登場する。未完少女ラヴクラフトとか書いてた黒史郎は頭の上にクトゥルーが憑いて困り果てるし、編集者なんかも結構出る。

妖怪の類も、作者別作品の主人公である豆腐小僧から先に言及した學天則、クトゥルー、及び怪獣の類や鬼太郎、犬夜叉やらとらといった創作、手洗い鬼やら朧車といったマイナーメジャー連中まで大量に出てくる。
尤も、妖怪の類は実在しないモノとして出てきて、その辺りのフィクションとリアルの錯綜がこの作品の肝であるわけだが。



まあ細かいことは読んでねってことで書かないが、とにかく実在の人物がわらわら出てきて馬鹿してるのは中々面白みがある。妖怪が出てきたのにだからこそ妖怪で無いとか、そういった込み入った論理などもその辺りで増幅されるのだろう。
オチはメタフィクション的であるが、そうであるからこそ結局マジカルアイテム的なものが存在するというのはどうかなとは思ったが。まあそういう事を言い出すと話が動かない訳だが。
お得意の薀蓄祭も読みごたえがある。流石は三分冊である。

連載終了前に水木しげるは鬼籍に入ったわけだがそこも上手く使っているのは好感である。
オチ周りは作者別シリーズであるどすこいレベルのギャグ落ちにもなりそうなところを上手く踏みとどまった感じで、危うい所もまた面白いという二重のメタフィクション要素も感じられる。


総じて良好な作品であった。京極作品の中では別に一番とは言わないが、上位に入る良作と言えよう。
実際作中で言及されているように京極夏彦先生の作品は厚くて読みづらい訳だがそれでも多くのファンがいるという事はそれだけの価値があるという事であるのだ。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2016/12/25(日) 08:04:35|
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