ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

「紅茶スパイ 英国人プラントハンター中国を行く」読んだので感想

プラントハンター - Wikipedia
ロバート・フォーチュン - Wikipedia


たまにはやや硬めの本の紹介をしよう。ここで言う硬めとはハードカバーという意味である(この種の事柄に精通してない人のために書いておくと、冗談である)。

アヘン戦争。中国(清)とイギリスの戦争であり、教科書にも載っている歴史的事件。麻薬であるアヘンの密輸を取り締まられたイギリスが中国に攻め込んだという話。
はっきり言って現代の我々の目線から見ると完全にキチガイじみているようにも思える開戦事由である訳だが、当時のアヘン、麻薬に対する認識、そしてイギリスの中国に対する多大な貿易赤字を鑑みなければならない。

さてイギリスは中国の何を買っていたのか?陶磁器や絹などもあるが、やはり一番は茶である。
当時、茶の技術は中国(そして同じく鎖国された日本)で独占されていた作物であり、樹そのものはもちろん技術や知識までヨーロッパではほとんど不明であった。にもかかわらず茶はヨーロッパ、特にイギリスで流行、文化として定着し消費地となった。

アヘン戦争が終わったのちもやはり茶の製法は神秘のベールに包まれたまま、ヨーロッパの学会では紅茶と緑茶の樹が違うという説が定説として論じられていた。

大航海時代。世界が一つに繋がった時代。ヨーロッパ人は世界各地を旅して様々なものを収集した。それは金銀財宝や工芸品の類だけではなく動物や植物もまた同じである。
当時イギリスの植民地政策を担当していた東インド会社が非常に重要な資源である茶を中国から盗み、インドのヒマラヤへ植えて自分のモノにしてしまうため、プラントハンターを中国に派遣した。それがこの本で描かれる話である。ちなみに当時の法律でも産業スパイである。


割かしこの時代の旅行記、オリエンタリズムを当時のヨーロッパにもたらしたそれは残っており、最近では幕末や明治期に日本に来た外国人の手記の文庫の類は結構売れているようだが、この本は茶という文化のテーマが興味深く、日本の話は大体知ってるが中国、清の話という事で興味深く手に取った、

事実、読んでみるとかなり面白かった。
普段茶など真面目に飲んでないが、食文化の一端を担う飲料、その原料の植物というのはそれほどまでに世界に影響を与えるものなのか、と驚く。
なるほど飯を食わない人間は私は寡聞にして知らない。食文化、その中でも日常的な食文化というのは国家同士を揺るがすほどの大事となり得るわけだ。

中でも、フォーチュンが外国人向けの緑茶に色付けのため有害な顔料を混ぜているのを発見したことがイギリスでの茶のスタンダードが紅茶となった発端だというのが一番面白い話であった。いつの時代も変わらないのは情報の力か。



茶。私はどちらかというとコーヒー党だが、やはり茶にも深い文化があり、様々な種類の茶があり、飲み方があり、歴史がある。
また色々知りたいことが増えて行くようだ。好奇心は更なる好奇心を呼ぶ。
スポンサーサイト

テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2016/09/21(水) 00:35:18|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0
<<ヤングジャンプ連載漫画「うらたろう」第七話感想 | ホーム | 2016年秋アニメのPV集動画を見て行く>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://tateito1.blog48.fc2.com/tb.php/2289-22f0c693
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)