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「武林クロスロード」第一巻~第四巻感想

武林クロスロード - Wikipedia
アニヲタWiki(仮) - 武林クロスロード

武侠小説 - Wikipedia


2007年から2009年に小学館、ガガガ文庫から刊行されたライトノベルだが最近読んだので感想、紹介などを書く。

最近読んだとはいえイラストのRebis先生が全年齢向け商業小説のイラストを担当したという話は当時から知っていた。
Rebis先生と言えば同人界隈で活躍する18禁成人向け作品絵師として有名である。成人向け同人にも色々ある訳だが、Rebis先生はその中でもディープな作品ジャンル、ふたなり、筋肉娘というのが専門である。

ふたなりというと、まあ簡単に言うと女性器と男性器が両立している人間の事で、現実でいうところの半陰陽で、成人向け創作でのそれは女性に男性器が付いているというものを特に指す。

Rebis先生、全年齢向けの仕事もするんだ~とその時は思っていたが、最近になって、その小説、「武林クロスロード」の主人公がふたなりであるという話を聞いた。
おいその設定大丈夫か!と思って興味を持って買って読んでみた。

大丈夫ではなかった。ダメだった。ギリギリセーフでもギリギリアウトでもなく、普通にアウトであった。というかエロ描写普通にRebis先生が同人でやってるレベルのド過激な奴じゃねーか!?
これが刊行されて問題になってないのはたまたま規制とかする人が見てないからではないか。そういうレベルの描写であった。官能小説(というかジュブナイルポルノ、所謂エロライトノベル)の領域である。

しかしそこまでエロに特化しておりながら、非常に完成度の高い武侠小説でもあり感心した。


武侠小説。中国大陸で盛んな小説の一ジャンルで、任侠の精神で武術を以て勧善懲悪を行う武侠達について描かれた小説である。まあ概ね中国の時代劇ぐらいに受け取ってもらっても構わない。武侠達が超人的な武術を以て戦う。
気功だとかなんだとかそういう話で、その辺さえ押さえていれば他の要素が色々混じっている場合も多い。

武林クロスロードは、武侠小説にはよくあることだが架空の中国風の世界での話である。
武林というのは文林、文学界という意味に対応させた武術界、武術を身に着けたものが属する社会といった具合の意味。
クロスロード、分かれ道。タイトルは二人の主人公のうち一人、レイ・シュンライが要所で使う、降伏を勧告する時の決め台詞「ここが武林の分かれ道」を意味する訳だ。

ストーリーとしては、主人公であるリョウカが大陸最強の武術家「双天武王」を目指して、たまたま命を助けた拳神雷の異名を持つ超一流の武侠レイ・シュンライを師匠として、所々で巻き込まれる騒動に力を貸していったりする、といった具合である。

その辺の設定はまあ武侠ものといったところだが、リョウカが龍凰双具、要するにふたなりで、シュンライが筋肉達磨の大女といったところで話は違ってくる。
作品には男の武侠も何人かは出るが、基本かませ犬であり、そうでなくとも概ね殺される運命である。そして、女の武侠はどうなるか?端的に言うと犯されるのだ。
女性の登場人物ほぼ全て(というか完全に全てなのかもしれない)に性描写があり、概ねアブノーマルなセックス描写である。たいていの場合同性愛、レズ(摩鏡と言う)であり、割かし簡単に薬などで男性器を生やせる世界観なので、つまりはそういうことになる。しかも乱交やら媚薬を使ったなんやら、本当にこのライトノベル大丈夫かと笑ってしまうほどである。
一応、第2巻の口絵(局部こそ描かれてないが当然のごとくドエロい)後に、「この小説には暴力シーンやその他過激な表現が含まれています。未成年の観賞の関しては、周囲の大人、保護者の皆様のご配慮をお願い致します。」とかなんとか書かれてるが、遅すぎだし過激な表現とぼかしてるのもなんというか。
暴力シーンでいうと普通に人間がボロ衣のようになぎ倒され死んでいくのはある。グロ描写もまあある。


こんな刺激的な内容で溢れているのに、作中人物は皆好漢(漢?)であり、武侠の美学が描かれ、キャラクターの関係性の辺かも楽しめ、リョウカの善性、武侠としての成長、リュンライとの師弟、恋愛関係も好ましい。
著者の深見真先生は手掛ける多くの作品で同性愛描写を書いているという話だが、ここまで衒いの無く、自然な同性愛(いや一人は男性器ついてるけども)描写は貴重であると感ずる。
戦闘描写でも、例えば第4巻のクライマックスであるシュンライの師匠、火雲邪神クバンカサと大将軍ユゴ(珍しく男性)の戦いはまさに手に汗握るそれであった。クバンカサははっきり言ってチートくさい再生能力を持ってるのにそれにきっちり戦えるユゴはまさに強者の貫禄がある。
時折挟まる武侠小説風の断定的な地の文も何か面白くて好きである。

また、世界観も感心する。第4巻の後書きで書かれているが、魔法の類が存在するならば恋愛、結婚観も違うはずである。であればこそやたら性に寛容で、男性同士女性同士が普通とされているような世界になる訳だ。
便利なガジェットがあるならば、軍事や戦闘に限らず日常生活に至るまで全てが違うはず。その考え方は納得いくものである。

そういう世界観を描くうえで、Rebis先生のイラストは必要不可欠であったのかもしれない。Rebis先生ほど筋肉と言う男性的要素と身体の女性的要素を融合させて上手く描く人物は寡聞にして知らない。全ての欲望を体現した人物画とでも言ってしまおうか。



流石にライトノベルでこの性描写はヤバイと思われたのか、第4巻までを一部として、二部以降はまだ刊行されていない。
しかし第一部でしっかり話はまとまった感はあるし、性描写暴力描写を飲み込めるならばとりあえず読んで見て頂きたい作品ではある。
2部以降の予定があるのかどうかは定かではないか、期待したいところである。こういう作品が許容される世の中であってほしい、いやあるべきだと感じるのだ。
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  1. 2016/08/06(土) 22:43:19|
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コメント

私も当時読んでからずっと2部まってるんですけど全然出る気配がなくて残念
  1. 2017/06/08(木) 02:27:13 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> 私も当時読んでからずっと2部まってるんですけど全然出る気配がなくて残念

良い作品なんですが、やっぱり描写が問題視されたんですかね。
というか刊行できていたこと自体が奇跡だった可能性も・・・・・・

まあいつか情勢が変われば2部もあり得るかもしれませんね。
  1. 2017/06/09(金) 01:38:54 |
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  3. たていと1 #-
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