ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

「シン・ゴジラ」見てきたので感想

シン・ゴジラ公式


余裕でネタバレ書くので注意。
私はネタバレ気にしない人間だが気にする人も多そうなので。



エヴァの庵野監督が総監督するとは聞いていたが、まあゴジラシリーズについてそこまで造詣は深くなく、興味は必ずしも高くなかった。
予告のゴジラのデザインなんかは「おっ」とは感じたがまあそれだけであった。
しかし公開直後からネット方々での評判が非常に高かったため、興味が出て見てみた。そして評判通り凄い作品であったので感想を書く。


まずこの作品の一番の魅力、特徴は圧倒的リアリティであろう。
ゴジラ自体のリアリティというよりも周辺、人間側のリアリティである。むしろゴジラという虚構に対する人間、あるいは日本の現実らしさとでも言おうか。

本作はとにかく会議シーンが多い。内閣が会議、自衛隊が会議、災害対策本部が会議…… 上映時間の7割8割は会議シーンなのではないかとまで思わせる。まあ会議ではなくても人間達のシーンは多く、ゴジラが暴れるシーンは派手で目立ち重要であるがだからこそ?時間的には短い。
政治家や自衛官たちの服装、会議室の内装、専門用語、あるいは命令系統の流れまで完璧にリアリティを重視して作られている。
細部に神は宿る。
ゴジラが行う破壊に対し人間、政府関係者がどう動くか。そこが本作のメインであり、ゴジラという怪獣の恐ろしさを引き立てる。本当らしい世界が崩壊してゆくのが非常に絶望的である。

リアリティと何度も書いたが、真に現実に即することが重要なのではない。本当らしく観衆に感じさせることが重要なのだ。
例えばゴジラの遺伝子量がヒトの8倍で最も進化した生物だとか言い出すシーンがあるが、ゲノムサイズのことを言ってるならハイギョとかユリとかなんぼでもでかいゲノムサイズを持つ生物はいるし、染色体数でも、たんぱく質がコードされた遺伝子の数でも同じような話だろう。
最後の方でなんかゴジラのたんぱく質か代謝系かなんかの複雑なイメージ図があったがあんなもん見て何かわかる生物学者などいるのだろうか?
しかし問題はそういう現実との差異ではなく、そういう描写が現実らしさを産むという事なのである。70%というよりも70.486%とか適当に小数点付けた方が科学らしいとかいう話と似ているがまあそういったところである。
とにかく細部まで作り上げることでリアリティが生まれるのだ。

ゴジラをどうにかした後も盛り上がるのではなく、一段落しこれからどうするか、という感じなのも映画で描かれるシーン以上のことを想像させ、映画の外の世界を映画の中に作っており、現実味を二重三重に増幅させている。


で、ゴジラ。今回のゴジラは災害か。
3.11のように物理的被害を及ぼす津波であり、人災という面も含まれそうな放射能を含む原発事故でもある。
はっきり言って形態の変化を個体進化とか言い出すのはポケモンも含めやめてもらいたいのだが、まあゴジラは所謂変態というよりも環境変化に対応するという点でまあわからなくはない。
米軍の攻撃に対しついに炎を吐き、熱線を放射し始めた時の迫力と絶望感は最高であった。東京駅周辺で、あれだけの人間の現実味のある避難描写がある中で、人知を超えた怪獣としての本領を発揮する。戦闘機だろうが首相の乗ったヘリだろうが周囲のビルだろうが一瞬で壊してしまう。怪獣王の面目躍如とでも言おうか。
最終的に特注の毒薬で薬殺される訳だが、最後のシーンで何やら思わせぶりな描写があるのも面白い。

デザインも奇形生物的というか、病的というか、噴火する直前の火山の赤熱するマグマかあかぎれた血の滲んだ皮膚かを思わせる肌に意思疎通の可能性の無さそうな目、異常に長い尻尾。かなりキレている。



子供が始めに見る怪獣映画としては良いかどうかは別として、教養ある大人には見るべき映画として薦められる出来である。
細かい演出でエヴァの空気が強い感もあるが、流石庵野監督とも感じられるか。
シンエヴァにも期待である。エヴァQのあとまた鬱になってたらしいが。
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テーマ:雑記 - ジャンル:サブカル

  1. 2016/07/31(日) 21:53:37|
  2. アニメ
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  4. | コメント:4
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コメント

No title

>で、ゴジラ。今回のゴジラは災害か。
>3.11のように物理的被害を及ぼす津波であり、人災という面も含まれそうな放射能を含む原発事故でもある。
今作のゴジラは人間に甚大な被害を出しているにも関わらず、人間に対して敵意や害意が無さそうなのがまた不気味な感じですね。
積極的に破壊を行うわけではなく基本的にただ移動しているだけで、東京を大炎上させた放射熱線すら単なる自己防衛でやっただけという。
「私は好きにした。君達も好きにしろ」と意味深な言葉を残して本編中では行方不明(死亡?)となった牧博士もそうですが、
何を考えているのか分からないという怖さがあります。
  1. 2016/08/02(火) 08:29:09 |
  2. URL |
  3. tule-ta #nvbI.9j2
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> >で、ゴジラ。今回のゴジラは災害か。
> >3.11のように物理的被害を及ぼす津波であり、人災という面も含まれそうな放射能を含む原発事故でもある。
> 今作のゴジラは人間に甚大な被害を出しているにも関わらず、人間に対して敵意や害意が無さそうなのがまた不気味な感じですね。
> 積極的に破壊を行うわけではなく基本的にただ移動しているだけで、東京を大炎上させた放射熱線すら単なる自己防衛でやっただけという。
> 「私は好きにした。君達も好きにしろ」と意味深な言葉を残して本編中では行方不明(死亡?)となった牧博士もそうですが、
> 何を考えているのか分からないという怖さがあります。

ですね。どれだけ強くとも意思疎通が可能(あるいは可能性がある)な相手ならば如何様にも方策はありますが、行動目的も知能があるのかすらわからない、巨大で危険で理解できない存在という恐怖であり脅威というところでしょうか。
立ち向かう側としてはもう大変な訳ですね。
  1. 2016/08/02(火) 21:31:06 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

No title

初めまして。自分は初日に朝一で観に行ってきました

今作を観終わった時には、「これは凄いものを見せられたな…」と感じていましたが、同時に「これはかなり人を選ぶ作品だろうなぁ…賛否がバッサリ二分割される問題作になるだろう」とも思っていました
実際、自分より少し後ろにいたオバサン組は「つまらなかった」「期待外れ」「やっぱり昭和やな」なんてことを話していた半面、自分の横にいた20代半ばと思わしき男性はスマホで「ヤバかった!」「絶対に映画で観るべき!」と熱く語っていたのが印象的でした(しかし世間でここまでこの映画が受け入れられたのは正直予想外だった)

最近では神主もご覧になられたようで、作品に影響がでかねないなんてツイートをしていたのですが(神主が虚構に侵食されてる…)、東方にシン・ゴジラ要素が混ざったら一体どうなるんでしょうかね?(笑)
  1. 2016/08/07(日) 00:48:06 |
  2. URL |
  3. 名無し怪獣 #Y0X80MZ.
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> 初めまして。自分は初日に朝一で観に行ってきました

それはそれは。私は反響を聞いて見に行きたくなったタイプです。
信頼できる人の声というのは重要な口コミですね。


> 今作を観終わった時には、「これは凄いものを見せられたな…」と感じていましたが、同時に「これはかなり人を選ぶ作品だろうなぁ…賛否がバッサリ二分割される問題作になるだろう」とも思っていました
> 実際、自分より少し後ろにいたオバサン組は「つまらなかった」「期待外れ」「やっぱり昭和やな」なんてことを話していた半面、自分の横にいた20代半ばと思わしき男性はスマホで「ヤバかった!」「絶対に映画で観るべき!」と熱く語っていたのが印象的でした(しかし世間でここまでこの映画が受け入れられたのは正直予想外だった)

ちらほら不満の声も聞きますが、やはり合う人には徹底的に合うんでしょうね。
旧来のVSゴジラが好きなゴジラファンは辛辣な評価を下す人もいたようですが、創作界隈の評価は概ね良いように思えます。災害ドキュメンタリー的な部分もありますし、ある程度の教養も必要かもですね。
個人的に興味があるのは海外受けですが、日本の政治家、官僚描写がどこまで受け入れられるか……

> 最近では神主もご覧になられたようで、作品に影響がでかねないなんてツイートをしていたのですが(神主が虚構に侵食されてる…)、東方にシン・ゴジラ要素が混ざったら一体どうなるんでしょうかね?(笑)

いうて全然違う作品ですけど、あるいは意識してどこかに影響が出るかもですね。逆の道を行くかもしれませんし。
  1. 2016/08/07(日) 22:26:38 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

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