ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

「応天の門」5巻まで読んだので紹介および感想など

応天の門 - Wikipedia
今年もやります! 「このマンガがすごい!」にランクインしなかったけどすごい!2016 (1/3) ねとらぼ


虚構新聞という嘘ニュースサイトの「社主」をやっているUKさん。
虚構新聞はネット界隈でも割かし著名だが、それとは別にUKさんはかなりの漫画読みでもあり、ネットライターとして漫画を紹介してたりもする。

センスがいいのか私の感覚と合うのか、あるいは単純に大量に読んでるのであまり有名でない面白い漫画を多く知っているのか、紹介された作品ではお気に入りになったものも多い。メイドインアビスとか。


で、だいぶ前に「応天の門」が紹介されてたが、5巻が新刊として発売されててそういえばと思い出して買って読んでみたらだいぶ面白かったので一巻から揃えてので感想など書く。


応天の門の背景設定は平安時代初期の京都。主人公は歴史的人物である菅原道真(と在原業平)。元服したばかりの若き道真が検非違使在原業平と知り合うところから物語は始まる。
この頃の道真は文章生と言って……いやまあその辺説明するのはいいや。要するに引きこもり系天才学生の道真が、検非違使、現在で言うところの警察みたいなアレ(平安京エイリアンでエイリアンを穴埋めにしてたのが検非違使と説明するとよりわかりにくいか)である業平を通じて京の都の珍事件を解決していく名探偵系ミステリ仕立ての物語である。その中で朝廷の闇にも否応無しに関わりあっていくことになる。
この時代で事件が起きるとやれ鬼やら、やれ怨霊やら、やれ呪いやらといった話になりがちだが、唯物論者である道真は論理立ててその怪異、もとい事件を解き明かしていく。しかし平安貴族社会の中でそのままそれを公表していいものではなかったりする。そうなってくると、やはり怪異のせいにしたりするが、それでもその中で人を救ったりする。

まあ何が良いって、まずはきっちりとした時代考証が出来ている点。監修には東京大学史料編纂所の本郷和人が担当しているとのことだが、中々行き届いた描写が為されている。
そもそも歴史ものというと、まず一番多いのが戦国時代、その次が幕末、で江戸、その次が時代ものと言えるか微妙だが明治大正昭和あたり、平安時代というとその次かもう一個(鎌倉時代とか)次辺りか?長い期間があるが実際政権としては平安なので派手な話が少なく創作に向いていないというか?南北朝時代が一番少ないと聞くがあの辺はややっこしいからでまた違うか。
かなり昔で文献資料も限られてくるわけだがよくぞここまで仕上げたといった感があり、人一人の服装習俗にも拘り抜いている感がある。

で、そんな平安時代の中でミステリみたいなことをやっているというのがまた面白い。その時代に何があるか、それをミステリやることでモノが出てきて面白い。道真は半場オーパーツじみた現代的な思考もしだすがそこはそこ。

キャラクターも役割に割り当てられたようなキャラではなく、一人一人血が通った人間のようで、道真の偏屈さや業平のプレイボーイ感、その他貴族たちも個性豊かでありながら政治絡みではかなりシビアな判断をする。



ミステリ仕立てて読み流していても面白いが、細やかなところを見回してもかなり味わい深く二度三度四回五回と読み返してしまう。こういった読み応えのある作品こそもっと評価されるべきだと感じる。
歴史ものであるが、そう気構えせずに読めるし、歴史を知っていればよりよく楽しめる。間口が広く奥が深いのは最高の作品の条件である。
菅原道真の生涯は知っての通り。応天の門というタイトルも色々示唆される。これからどのような展開になっていくのか、今から楽しみな作品でもある。注目していきたい。
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テーマ:雑記 - ジャンル:サブカル

  1. 2016/03/17(木) 02:16:24|
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コメント

No title

コミック@バンチで連載しているこの漫画、
ネットカフェで「エリア51」や「最後のレストラン」の
ついでで読んでいたら面白くて
気が付いたら単行本を買っていました。
しかし、理路整然とうまいこと魅力を説明されますね
いちいちうなずけることばかりですごいです。
  1. 2016/03/23(水) 20:06:18 |
  2. URL |
  3. バルタザ #CJdjnU9E
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> コミック@バンチで連載しているこの漫画、
> ネットカフェで「エリア51」や「最後のレストラン」の
> ついでで読んでいたら面白くて
> 気が付いたら単行本を買っていました。
> しかし、理路整然とうまいこと魅力を説明されますね
> いちいちうなずけることばかりですごいです。

最近の青年誌(バンチの分類青年誌だったか忘れましたが)は良作が多いですよね。
理屈っぽい文章ばかり書いてしまう性分なのですがそれを面白がっていただけているようで幸いです。
  1. 2016/03/24(木) 01:07:23 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

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