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「とある飛空士への誓約」9巻出て飛空士シリーズが完結したので感想

「とある飛空士」シリーズ、追憶・恋歌・夜想曲、読んだので感想
今更だが「とある飛空士への誓約」第6巻感想
「とある飛空士への誓約」七巻感想


大長編の終わりには大ハッピーエンドがふさわしい。

とある飛空士シリーズも計17巻。結構刊行間隔長いからかなり昔からやってる感がある。ええと追憶が2008年か。
とある被りで禁書目録と勘違いされることの多い本作だが、同じライトノベルだと言うだけで作品の毛色はかなり異なる。どっちも人気シリーズだけどね。


さて、ここから何を書くべきか。はっきりいって原作が大完結したおかげでなんというか、作品が完成されてしまった感があり、私が何か書くよりも原作を読んでもらいたいという感じではある。つまり、それほどまでに良い完結であった。完璧に満足してしまった。これほどまでに長く、死んだキャラも多く出たシリーズの終わり方として今回のような躁病的なハッピーエンドは最高である。

長編作品は、特に本当に長い大長編はハッピーエンドで終わるべきである、というのは私の持論である。短編や一冊二冊で終わるぐらいならばゲロを吐きそうなバッドエンドも効果的であるが、キャラに完全に愛着を抱かせてしまうほど長く描いた作品では、それが故にそのキャラの死は読者の感情を動かすが、物語の終わりには何かの決着がつかなければ後味が残る。
作品性の強い短編ならバッドエンドでその後に思いを馳せたり延々とテーマについて考えたりもいいものだが、キャラを巡る物語という要素の強い長編は全ての問題が解決して終わるべきなのだ。そして全ての問題が解決された世界というのはハッピーエンド以外の何物でもない。

という訳で、ほぼ全ての主要キャラクターのその後が書かれたエピローグはハッピーエンドの演出として、派手過ぎず幕を下ろすのに良いものである。
悪役は皆滅び、世界はこれから始まる。勧善懲悪で陳腐とさえいえる結果だが、人間というのは皆そう言うモノを望む。人が望むモノを一種のリアリティを持って描いた犬村先生の技量、精神には脱帽する。


キャラクター一人一人について語りだすとキリが無いので気に入ってるキャラ二人だけ。二人というのも中途半端だが。

まず、海猫こと狩乃シャルル。
まあ、キャラ造形的には特に特筆するほどの何かでもないと思うのだが、追憶から恋歌、夜想曲、誓約と重要人物として出てきている「空の王」。
シリーズ最初の主人公が伝説級の超エースになっているというのは感慨深いというか、最終的にもう有無を言わせないほどの最強になっている。そりゃ最後の「空の王」は清顕だが、印象としてはシャルルの方が強い。それを上回った千々石はもう何なんだよって感じだよね。夜想曲の最後の空戦は読んでるこっちが卒倒しそうなほど極限を超えた闘いであった。

で、バルタザール・グリム。
このシリーズのキャラクターの中では突出して好みである。傲慢も傲慢で毒舌も毒舌。しかし本当に有能で、リアリストな皮肉屋を気取りながらも作中でもトップレベルの熱血漢な面を隠し持っている。
人を罵倒するときの語彙は豊富であり、他人を評価するときは常に失礼なことばかり考えている。実に有能で好きなく相手を追い詰めるが自分が脆いところを突かれると途端に挙動がおかしくなる。
行動のスケールも段違いで出世のスピードは努力の甲斐あり、実績も積み重ね参謀総長となり最後の戦争を勝利に導く。
冷徹であり感情豊か、邪悪であり人情家、有能でありポンコツ。作中で最も色々変化があった人物であろうか。しかし全く変わらないところもある。
余りにも特徴的な天才かつ変人。主役では無いが主役以上に注目を集めるキャラクターだったと言えよう。



こんなところか。物語として最高級であり、キャラクターとしてはバルタザールが素晴らしかった。記憶に深く大きく残っていく作品である。

ガガガ文庫の中で飛空士シリーズは一時期最大の看板作品であった。
いまでこそはまちやら下ネタやら俺ツイやらが一線を張っているが、それ以前のガガガを支えたのは飛空士シリーズが大きな役目を果たしたと言っても良いだろう。
著者の犬村先生は新作を書く予定があるらしいが、それはライトノベル界にどういった意味を与えるのか。今から注目である。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2015/11/21(土) 02:41:13|
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