ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

ニンジャスレイヤー、「サンセット・アンド・ヘヴィレイン」が笑えたりしたので感想など

「サンセット・アンド・ヘヴィレイン」
「デス・オブ・バタフライ」
「ザ・フォーチュン・テラー」
全てニンジャスレイヤーwikiより


ニンジャスレイヤー、最近アニメもやってたtwitter連載のサイバーパンクニンジャ小説。
概ね二本のエピソードを同時期に連載する感じなわけだが、超強敵スパルタカスとの対決エピソード「ローマ・ノン・フイト・ウナ・ディエ」の裏で、一つの短編エピソードが始まった。それが「サンセット・アンド・ヘヴィレイン」である。

話としては一部の頃の話で、暗黒メガコーポの物資輸送トレイラーを犯罪者達が襲撃したら、それは保険金目的の偽装でトレイラーの中からニンジャ「サンセット」が現れて犯罪者達を一網打尽にするもニンジャスレイヤーが現れて……
といった割かしシリアスな具合なのだが、ニンジャスレイヤーに敗れそうになったサンセットが逃げ込んだトレイラーの中は、
シュギ・ジキであった。

これは「デス・オブ・バタフライ」、「ザ・フォーチュン・テラー」で見られたもので、シュギ・ジキが出てから、トラップ部屋にニンジャスレイヤーが翻弄されてセンセイのインストラクションが思い浮かび打開するという展開が固有名詞を除き完璧に同じであった、「ほんやくチーム」の言うところのシークエンス・ブレイクビーツ技法である。

前二作とは少し時期が離れており、読者が忘れかけたところで、シリアスな話にいきなりクソみたいなネタがぶっこまれて実況は大混乱の様相を示した。ニンジャスレイヤーはたまに意識してクソみたいな話を持ってくることがある。ロブスターとか。


で、結局シュギ・ジキのテンプレート戦闘は省略されてトレイラーの中にはタタミ部屋とニンジャの爆発四散跡が残っていただけだが、ここで最終的にデッカー(刑事みたいな)に殺された犯罪者イノウがニンジャ「ヘヴィレイン」として蘇ってしまう、という終わり方をした。



シュギ・ジキが無ければ、ただ単にネオサイタマの倫理無きサイバーパンク的退廃世界観とニンジャの理不尽を書いた話に過ぎなかったかもしれない。
しかしシュギ・ジキという極端に狂った、ある種メタレベルの要素をぶち込むことによってただの理不尽に巻き込まれたのではなく、異常な理不尽の嵐に吹き飛ばされたという読後感がある。それはまさに、科学が支配するはずのサイバーパンクの世界観にファンタジーとしての「ニンジャ」、RPGに出てくるようなフィクションとしての忍者が跋扈するニンジャスレイヤーの世界観を現しているようだ。
メタ的要素がニンジャスレイヤーの読者に、ネオサイタマ住民がニンジャを見て感ずるニンジャリアリティショックを与えられる時の追体験を与える、と言ってしまってもいいのかもしれない。
ただ、あのままシークエンス・ブレイクビーツ技法をやってしまうとまたかよという感じだが、それが作中の常識でもなく、完全にメタ要素でもなく、ただ作中の中で異常な事態として同じことが起きたという形だったのがまた読者の想像力を掻き立てて、精神を揺さぶる結果となったのだろう。
事が終わったのちもシリアスな空気の中でシュギ・ジキという単語だけが遊離して読者の精神を別の場所に連れて行ってしまう。
最後にイノウがシュギ・ジキ部屋の中で蘇るあたり、シークエンスによってまたシュギ・ジキが繰り返されるのかとまで想像させてしまう。

そもそも、翻訳されていないエピソードが無数にあるというメタ設定があるからこそのネタである。
色々趣向を凝らしているからこそできた芸当であり、興味深い構造と感じる。普通でない環境だからこそ普通でないやり方があるということか。



ニンジャスレイヤーは、ただ単純に異能バトルだとかサイバーパンクとして面白いだけではなく、普通でない小説技巧を挑戦的に幾度も試行錯誤している。
そういった一つがこれなのだろう。また一つ新しいモノを作ってしまったといえるだろう。
そこもニンジャスレイヤーの小説として、コンテンツとしての魅力なのだと思う。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2015/10/22(木) 01:27:03|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:4
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コメント

No title

シュギ・ジキが出てきたらもう読者は何があるかわかってるから全カットしてええやろという割り切りと、描写カットしてタイトな短編として仕上げても読者はシュギ・ジキでの駆け引きと決着を想像できるという情報を濃縮する工夫があって、すごい洗練された短編だったと思います。
  1. 2015/10/22(木) 23:22:51 |
  2. URL |
  3. hatikaduki #-
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> シュギ・ジキが出てきたらもう読者は何があるかわかってるから全カットしてええやろという割り切りと、描写カットしてタイトな短編として仕上げても読者はシュギ・ジキでの駆け引きと決着を想像できるという情報を濃縮する工夫があって、すごい洗練された短編だったと思います。

あの裏ではシュギ・ジキ部屋テンプレ戦闘が行われていると考えるとどうにも文面のシリアスさが逆に笑いになってしまいますね。短編ですがその短編の文章だけで構成されてないというか。まあそれは何でもそうな気もしますが。
  1. 2015/10/23(金) 00:16:29 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

No title

ぶっちゃけたはなし最近書いた作品なんじゃないかと思うんですが、ヨタ話で培った技術を用いて作品世界を補強する技巧派の好短編だと思います。湾岸警備隊に触れてるのは近いうちにヴァレイオブセンジンで湾岸警備隊について語られる前触れなのかもしれませんね。
  1. 2015/10/23(金) 00:37:52 |
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  3. hatikaduki #-
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> ぶっちゃけたはなし最近書いた作品なんじゃないかと思うんですが、ヨタ話で培った技術を用いて作品世界を補強する技巧派の好短編だと思います。湾岸警備隊に触れてるのは近いうちにヴァレイオブセンジンで湾岸警備隊について語られる前触れなのかもしれませんね。

湾岸警備隊関連も謎が多いですね。湾岸警備隊で攻めると見せかけて裏でやってるスパルタカス戦でシュギ・ジキ部屋が出てくるなんてオチ、は流石になさそうですが。
  1. 2015/10/23(金) 01:35:46 |
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  3. たていと1 #-
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