ネット世代の雑評論

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ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨン、その演出の意味を考察する



『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』キャラクターデザイン今石洋之インタビュー 前編 かっこいい絵作りは「恥ずかしがらない」 アニメ!アニメ!
アニメ『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン 第1話』をホメる!? 黒道のホメノート~おすすめ小説・漫画・アニメ・映画~

まず、初見、ニコニコ生放送で初めて見た時の感想としては、衝撃的であったと言う他無い。いや、衝撃的という四角張った言葉でいうよりも驚いた、ぶったまげたというほうが適切だったと言えよう。
良し悪しの判断すら出来なかった。

その後、ニコニコ動画にアップされた冒頭の動画から改めて見て、何となく好感触を感じたが、まあそれは私個人の意見、感想なので重要ではない。
もし、滅茶苦茶動くかっこいいニンジャスレイヤーアニメが放送されていたらそれでも私は喜んでいただろう。より単純に楽しんでいただろう。

何故、こういった形のアニメになったのか。それを考えた。
考えても中々まとまらなかったので寝た。
寝て起きて、しばらくしてまた考えたら、なるほど、と自分の中で納得できる答えが浮かんできたので記事にしてまとめようと思う。


ああそうそう、前提として「ほんやくチーム」がニンジャスレイヤーの執筆陣そのものであるのは明らかで、ボンドとかモーゼスとかはメタ設定の冗談でしかないとしている。これに違うと言われてもどう考えてもそうだろとしか返すつもりはない。



まず、何故、Flashアニメ紛いのような演出にしたのか。
インタビューなどを見ると、ニンジャスレイヤーの文体からアニメ化するとこうなる、という発想がある。それもまた一つの真実で、ニンジャスレイヤーでない作品がこれをやったら賛否両論どころではなかったかもしれない。アニメ制作会社トリガーの処女作インフェルノコップもFlashアニメみたいなのだったらしい。しかし、ニンジャスレイヤーであえてその冒険をする理由としては不十分である。

ゴア表現なんかをそのままやるとクッソみたいな規制をしなければならないのでそれを避けた?あり得なくはない、が副次的なものだと思う。モザイク代わりに簡略化といった具合だ。

納期やなんやらの問題で低クオリティになったのか?それは無い。第一話である。しかし話としては近いと思う。
地上波放送を(今のところ)しない、15分アニメ、といった特殊性も含めて考える。
すなわち、これは低予算アニメであるということだ。


しかしここで考察を終わったら話にならない、問題は、何故低予算アニメにしたか、である。
ニンジャスレイヤーというコンテンツならば、キルラキル並みに動かせば十分に黒字を出せる公算はつくはずである。まあエログロ規制の問題は大きいが、円盤で解放すればいい話である。

低予算にしてローリスクローリターンを狙った?話としてはあり得るが、それは違うと思う。「ほんやくチーム」がいくつもの会社の企画から選んだ訳である。すなわち、「ほんやくチーム」の意図があったと考えなければならない。「ほんやくチーム」の考えに合った企画がニンジャスレイヤーアニメイシヨンだった、と言い換えてもいい。

私は前番組のニンジャスレイヤーの声優陣のラジオも聴いていた。
そこで、「ほんやくチーム」は、その特異な忍殺語の監修のためほぼ全てのアテレコに参加している、と言う話が合った。
「ほんやくチーム」はニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンに本気であると示している。では何故低予算なのか?

ここで思考のコペルニクス的転回をする。低予算だからこそ本気なのだ。
「ほんやくチーム」は、例えば漫画の三作品についても濃い監修を行っている。ツイッターなどで情報を流しているが、かなりの強権をもって描写に注文を付けているらしい。
物理書籍化にしても、挿絵のわらいなく氏に色々注文している話が聞こえてくるし、ただツイッターの連載を物理書籍に移すのではなく、多大な追記や物理書籍ならではのやり方など工夫が見られる。エンターブレインの編集部に任せるような真似をしていない。

これは「ほんやくチーム」が自身の作品のメディアミックスを進める一方で、自身のコントロール下に置いていることを示す。ニンジャスレイヤーを大事にしていることがわかる。
それがどう繋がるか?
言うまでもない。多大な金が動く高予算のアニメでは原作者が、その原作自体すら蔑ろにされうるということだ。それを「ほんやくチーム」は嫌って通常の、一般的なアニメ、地上波で流せるクオリティのアニメ企画を拒んだという訳である。

この構図は、このブログでよく取り上げる東方projectにも良く似ている。
同人出身でありながらあまりにも高い人気を誇る作品群である東方projectは、公式にはアニメ化されていない。企画をもってアニメ制作会社が原作者である神主ことZUNさんを訪ねるも普通の意味でのそれは断っているのだ。
商業誌に東方の漫画は連載されている。隔月誌と月刊誌の二作品でニンジャスレイヤーよりも少ないが、これは本体とは別個の話であり、「ほんやくチーム」は二人であるのでさしたる違いがあるとは言えない。
しかしアニメは断っている。それどころか、二次創作での会社レベルでの東方の同人アニメすら禁止している。

結局のところ同じ理由なのだろう。自分の作品をコントロールするのはあくまで自分である、そういったエゴを持っている訳だ。そういったエゴがあるからこそ成功したコンテンツとなっているのやもしれない。
あるいは、サンプルケースとして「ほんやくチーム」は東方を参考としている可能性すらある。


思い通りのアニメというのはなかなか作れない。原作者の提案がすべて却下されたという話も珍しくない。
オリジナルのアニメでさえ、スポンサーや上層部の意向でゆがめられるといった話は枚挙に堪えない。
ガンダムで有名な富野由悠季はVガンダムの際、バイクを出せとか言われてヤケクソになってバイク戦艦なんかが出たという話は有名か。
真の意味で自由にアニメが作れる人物となると宮崎駿や庵野秀明ぐらいであろうか?余りにも大きな金が動く故、自由には作らしてもらえない訳だ。富野監督はむしろその辺りの摺合せが上手い人物か。
面白ければ売れるというナイーブな感覚さえも非難され、商業主義に走った考えに支配される。下卑た流行モノを取り入れさせられたり、表現規制などで重要な要素を骨抜きにされるといった悪夢も。

不条理な権力への反抗をテーマとして持つニンジャスレイヤーがそういったものに支配されることを「ほんやくチーム」は許容しなかったのだろう。
そして結果的にはそれはコンテンツを長生きさせ、商売的にも成功し得るだろう。

アニメに限らず、ゲームでも、あるいは大友克洋が出現してからの漫画界でもハイクオリティを求めすぎることにより袋小路に陥った例は多い。
ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンはそういった袋小路を打破するための破壊的イノベーションを目指したところなのかもしれない。



うむ。そして出来上がったものがアレで良いのか、と言う話になってくるだろう。ハイクオリティなアニメがダメだからと言ってロークオリティではもっとダメではないかと。
私は必ずしも悪くない、ベストではないかもしれないがベターではあると考えている。もちろん第一話のみ見た上での感想なので覆る可能性はあるが。

ま各地で感想情報などを集めてみると、批判しているのはむしろコアなファンが多く、ニンジャスレイヤーについて深く知らない新規層は比較的好感、という風であった。
なるほど、ツイッターでの告知や前情報から言われていたように、アニメを見てニンジャスレイヤー本編を初めて読んだ時と同じような衝撃を与えられている。
既に先入観を持っている既存のファンには失望されたかもしれないが、ゼロベースの新規視聴者にとってはニンジャスレイヤー本編のトンチキ描写を見たのと同じようなもので、ここから同じような道をたどるのではということか。そういう意味ではインタビューで語られた理由が意味を成してくる。
そういう意味で言うと、更に本当にシリアスな展開になってくる話ではFlash紙芝居風ばかりではなく動き回る描写が多くなってくるのやもしれない。

では、既存のファンにとってはどうしようもないのかというと、実はそうでもない。
少なくとも第一話ではミョルミドンとの戦闘は、そりゃそこももっと凝れると言えばそうだが、凄まじさを感じた。そういうところに価値を見出していけばよいのだ。

逆に言えば既存のファンは年単位での期待を裏切られた反動が大きい訳だ。
それは「ほんやくチーム」側の罪ではある。しかし、低予算と言ってもアニメ、期待させて注目度を上げなければやっていけない。今回の衝撃的なデビューで大きな話題となったのは確かである。
ニンジャスレイヤー側の人物、例えば漫画の執筆者なども批判はしない。よっぽど特殊なマーケティングでなければ制作陣が制作物を批判はしない、できない。
罪であり、欺瞞であった。PVに紙芝居シーンの一つでもあれば十分誠実と言えただろうが、それをすれば今回の衝撃は無かったわけだ。
悪名もまた名とは一つの真理である。悪名だと言うつもりはないが、ともかく目立たねば埋没する創作界隈の事情を鑑みて情状酌量の余地はあるだろう。

原作ファンが失望したが新規のファンが産まれたというとアリソンとリリアを思い出す。
規制や諸々によって原作ファンは黒歴史としているが、元が良いからか既存のファンが解さない良さがあったのか、ある程度の人気を博したと聞く。
アニメという媒体はメディアミックスするうえでハードルが高く、原作ファンを満足させようとすると苦慮する場合も多い。原作ファンの先入観と過大な期待が視聴の上で毒となる場合は多い。


では、新規ファンを取り込むきっかけとして、ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンは成功なのか?
それはまだ何とも言えない。まだ第一話放送時点だからであり、なおかつ人の心の予測などあまりにも困難である。
しかし、大きな注目を集めるという事には成功している。最も困難な一つ目の障壁を突破したわけだ。
ここからはトリガー、及び「ほんやくチーム」の手腕に期待したい。

我々既存読者は、むしろニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンを楽しむ努力をしてもいい。
無論、したくないならしなくてもいい。BL風のグラキラだって読まなくていい訳だし。
しかし、まあ動く部分は動くわけだし、声優は「ほんやくチーム」の監修の元、高精度な仕事をしている。Flash紙芝居シーンだって、そういうものとして見れば中々楽しめる代物だと思う。
受動的な態度で口に合うモノだけ食べるのは人生もったいない、というとあまりに説教臭すぎるか。


「ほんやくチーム」の事を狂人か何かだと思っている人もいるかもしれないが、人は考える葦であり、やることなすことには理由があるのだ。
常識外れの行動の裏にある理こそが価値がある。
それこそが前衛の価値であり、創作芸術の価値、意味だといえるのだ。
ニンジャスレイヤーというコンテンツに今まで以上の注目をしていきたい。




※追記
この考察が正しいとすると、来年に地上波で放送する分は紙芝居部分がちゃんとしたアニメになっているのではという考えは期待薄な訳だ。
むしろ東方パターンだとすると、二次創作でハイクオリティなアニメを作ってしまえばいい訳である。二次創作でそれが出来るほど界隈規模が大きくなり得るか、それが東方のように規制されないかという問題もあるが。
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テーマ:雑記 - ジャンル:サブカル

  1. 2015/04/18(土) 01:19:57|
  2. アニメ
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コメント

No title

ニコニコのニンジャスレイヤー第1話のコメントで、「ニンジャスレイヤーという作品をコントロールしやすくするために敢えてこういう作風にした、という考察は実に興味深かった」という主旨のコメントが何ヵ月か前、エンディングのあたりであったのですが、確かにこれはなかなか興味深い考え方ですね(そのコメントの指す考察とやらがこのブログの考察なのか確証は持てませんが探してみた結果恐らくこれだと思います)
あの演出の意図はいろんなところで考察されていましたが、こういった種類の考察は初めてみました
こういう考え方も有るんですね…
いろんな考え方を知ることができてなかなか面白かったです
  1. 2015/10/19(月) 17:20:43 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> ニコニコのニンジャスレイヤー第1話のコメントで、「ニンジャスレイヤーという作品をコントロールしやすくするために敢えてこういう作風にした、という考察は実に興味深かった」という主旨のコメントが何ヵ月か前、エンディングのあたりであったのですが、確かにこれはなかなか興味深い考え方ですね(そのコメントの指す考察とやらがこのブログの考察なのか確証は持てませんが探してみた結果恐らくこれだと思います)

ここの考察を見てくれた人のコメントかもしれませんね。自分でもなかなかいいことを書いたなと思っていたので反響があって嬉しいです。

> あの演出の意図はいろんなところで考察されていましたが、こういった種類の考察は初めてみました
> こういう考え方も有るんですね…
> いろんな考え方を知ることができてなかなか面白かったです

他のサイトなんかの考察も見ましたがどうにもピンと来なかったんですよね。で、自分で納得できる考え方をしてみました。
「ほんやくチーム」を信頼した考え方ですが、今でも大まかには間違っていないと思ってます。「真面目」にアニメ化するということは下手を打つとアニメのためのニンジャスレイヤーになってしまいかねないですからね。あくまで原作ありきというエゴを見ています。
  1. 2015/10/19(月) 21:39:56 |
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  3. たていと1 #-
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