ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

panpanya「蟹に誘われて」読んだので感想

SURMICLUSSER 作者のホームページ

panpanya先生の第二作目単行本。
まあ、漫画として一般的なものではなく、漫画家としても一般的なものではない。
昔風に言えば、ガロ的というか?サブカル風というと大いに語弊を産むので嫌いなのだが、その辺の週刊漫画誌に載っている漫画ではない。なにせ連載雑誌、楽園の刊行頻度はまさかの年三回刊である。季刊、年四回刊ならたまに聞くが、三回は珍しいどころではない。

「蟹に誘われて」は楽園、及びそのWeb増刊、同人誌発表作品に描き下ろしを加えて一冊の単行本としている。
前作の「足摺り水族館」も同様な感じ?あれはなんか紀行文なんかも載ってたが。
4月末に第三の単行本「枕魚」も刊行予定とのこと。


で、感想である。
panpanya先生の作風は上記にも書いたように一般的なものではなく、論理ではなく深層心理に語りかけるような、奇妙な話ばかりである。
ちょうど似ている作風の作家と言うと、まず思い浮かぶのが逆柱いみり先生だろう。完全にガロ系、実際にガロで描いていた作家である。
しかし、やはり違いがある。逆柱いみり先生は幻想の世界の奥に奥に進んでいくような、夢のまた夢を見るような作風であるのに対して、panpanya先生の作風はどちらかというと、現実と幻想の間をたゆたうような作風である。現実が存在することで幻想を際立たせる、というところである。

奇妙な話ばかりだが、夢をそのまま描いたような作品(ねこぢる先生はそういうのの達人であった)ではなく、作者の思念、思想、考えというものが見受けられる。
現実をそのまま描いても何も伝わらない、あるいはありきたりで効果が薄い。それ故、状況を変えて、物事を書くことでいいたいことの本質が見えてくる。SFなんかが社会性を持ったりしだすのと同じ原理である。
といっても全く説教くさいとかそういうのではなく、日々過ごす中で考えたこと、引っかかったことを漫画の中で幻想とともに表現している、という具合だろうか。

そう考えて読んでいくとパイナップルの植物としての形だの、オオサンショウウオが日本原産だの、夏休みの自由研究で自分だけが評価している研究だの、「完璧な日曜日」だの、単純な考えが積もり積もって結晶化したような作品、という風に感じる。
それ故、作品を見ることで作者の思考を読む、追う、考えることになっていく。

思考の中で幻想的な作風が出て、あたかも読者自身が現実から遊離しているような、そんな感覚が味わえる。



世の中には面白い作品がたくさんある。
しかし、こういった独特な感覚を味あわせてくれる作品はどれほどあるか。
そういった意味で、非常に価値ある単行本だと言える。とても楽しめた。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2015/02/21(土) 00:34:26|
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