ネット世代の雑評論

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「絶深海のソラリス」読んだので感想

絶深海のソラリス | MF文庫J オフィシャルウェブサイト

このラノ2015で目ぼしいもの買って読んでるのでラノベ感想記事ばっか書いてる形。
非常に楽しく読めたので。この場合の楽しくとは広義での意味である。


ああ、ネタバレはあるぞ。



話としては、まず世界観は、大水害で色々沈没した地球で、ソラリスとかいう鉱物に適応した異能力者、水使いがいて、舞台として水使いの訓練施設みたいなものが太平洋上にあり、主人公はそこの新人教官である。

その中で訓練生の女子(水使いの素質は女が千人に一人で男だと万人に一人)達と異能学園ものをする話、と思いきや後半に入るにつれて雰囲気がおかしくなってくる。ソラリスを使った海底研究所からのSOS。アンダーと呼ばれる化け物。そこから話はパニックホラーになっていく。


この作品の何が良いかというと、ほとんどの主要登場人物をバシバシ、いろんな方法で殺していってるところ。

創作で主要登場人物を殺すというのは大きな意味がある。言うまでもなく、死というのは人間にとって大きなテーマで、それを描写することは人の感情を動かす。それは良いことなのかもしれない。しかし問題点も多い。

思い入れのあったキャラが死ぬと、実際悲しい。そりゃ、悲しさも創作としては必要なのかもだが、贔屓キャラ目当てで読んでいて死なれると、その作品自体の魅力が死ぬ、ということになりかねない。

バシバシ人が死んでいくと作品自体の雰囲気も変わる。陰鬱でやりきれない気分に。作品のテーマを変えねばならぬ事態が来るやもしれない。

そもそも、死んだキャラは今後、過去回想などじゃなければ使えない、というのもせっかく色々描写したキャラが失われる損失となる。

じゃあ生き返らせるか、となるとそれもまた世界観、死生観、作品のシビアさが無茶苦茶になり、読者はキャラが死んでもどうでもいいって感じになる。

また、どうでもいい様なキャラが死んでも実際どうでもいいので、そのキャラに読者が好意を持たせるなどの工夫も必要だ。


そういった事情も有り、概して長編ではキャラが死ににくく、短編ではキャラは死にやすい。
絶深海のソラリスは、続編を書くという噂もあるが、基本的には一巻完結となっている。しかし、一巻完結とは思えないほどの設定の濃密さ、キャラへの描写があった。

主人公のミナトはマイペースでクールな優男。図太い。能力は五感をすべてデータに置き換える感じで色々便利だが地味である。
ヒロイン役と思しき(生徒なんだからヒロインも何もないはずだが)ナツカは落ちこぼれで、天然系というかそんな感じだが、最後のアレは非常にやりきれない。ここまでして、死ぬとは。
もう一人のヒロイン役っぽいクロエはやたら優秀で凄まじい反骨精神をもつ跳ねっ返りのお嬢様。しかし、中盤にまで差し掛かるとなにやらMっぽいところが見え隠れ…… この作品のキャラでは一番好きだったが、一番哀れな死に方かもしれない。
リーの変な言葉遣いに達人っぽいところや、ミシェルのギャルっぽいが理系女子だったりする辺りなど、裏表に穿ってきっちり描写がある。

しっかり描写で魅せたところで、ばっちり殺すという、作者は中々の完璧主義者かもしれぬ。



やはり、楽しげな学園描写から深海の地獄でのサバイバルホラーという落差が面白さの一要因だよね。
作者は、キャラを殺すとはどういうことか、しっかりわかっている。

この世界観設定でまた別の話を書くというのは面白そう。
キャラ描写は上手いし、話の展開も鬼才である。らきるち先生を追っていくのもいいかもしれない。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2014/11/29(土) 22:54:22|
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