ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

木崎ちあき「博多豚骨ラーメンズ」第2巻、野崎まど「なにかのご縁」第2巻 感想

野﨑まど - Wikipedia
ネット世代の雑評論 「野崎まど劇場」感想
ネット世代の雑評論 野﨑まど「know」感想


ネタバレ注意って書かなくてもネタバレには注意。



9月のメディアワークス文庫の新刊の内、二冊について感想を書く。どちらも続きものである。
メディアワークス文庫は、いやもうラノベ界隈は大半がKADOKAWAな訳だが、メディアワークスという会社がまだあったとき、電撃文庫の上の世代、やや大人向けのライトノベル、というかライトノベルと一般小説の中間、橋渡し的な位置づけの文庫レーベルを作ろうとして作られたレーベルである。
まあ、電撃文庫側ではライトノベルというやや蔑称的な意味合いを持つ言葉を避けるところがあるのでアレだが、ライトノベルを読んで育った層が続けて読むような、やや大人向けにターゲットを定めた、というところだろう。

まあこれが受けた、というか、ニッチ狙いが成功したのか、少なくとも今まで順調に刊行が行われている。


木崎ちあき先生は、かなり新人だと言えるだろう。この「博多豚骨ラーメンズ」の第二巻で書かれた本は三巻目。
しかしまあ、宣伝に惹かれて第一巻を読んでハードボイルドなのに陽気というか能天気な雰囲気が気に入ったので第二巻も買って読んだが、やはり好みだし面白い。よく出来ているとまでは言わないが。

まず殺し屋がすげーたくさんいる世界観で、なおかつ福岡は人口の3%が殺し屋とまで言われる。
で、そこで殺し屋商売の話を書いて、その中のドラマがストーリーになってくる。一応、群像劇的なスタイルをとっている。
そういったストーリーなのだが、ところどころに野球、特に草野球の話やモチーフ、北九州の方言、名物なんかが入り混じっていて、読んでて楽しい。

登場人物も、まあ殺し屋で異常者だったりする場合もあるが、そことなく現実にいそうな、それでいて印象的な人物ばかり。女装殺し屋の林やにわか侍こと馬場、元マーダーインクの窓際社員斉藤なんかもいいが、今回出てくるサブマリン忍者こと猿渡のバトルジャンキーの割にプロっぽいあたりや、山本の薬中でクズの極みなあたりなど、読んでて次にどういう行動を起こすか楽しい。群像劇らしくキャラのバランスも良いと思う。所謂「最強」キャラ、単純に戦闘の意味でじゃなくて、すべてを掌握しているようなそういうのもいないし。

そのキャラと、ドライであるが滑稽なストーリーが噛み合って、カオスの中で一人一人の行動が意志あるものとなって見えてくる。そして最終的に、話がまとまっていく。
最初と最後が草野球の場面というのも、様式美というかなんというか、いいよね。
殺し屋が草野球のチームというのも恐ろしい話である。そりゃ多少身体能力はいいかも知らんが。

ナンセンスではなくドライだが楽しく読める。
私の好みであり、波長が合う方にはお勧めしたい。



もう一冊目。「なにかのご縁」第二巻。「なにかのご縁2 ゆかりくん、蒼い瞳と縁を追う」。
初代メディアワークス文庫賞受賞作でデビューし、期待のSF作家と呼ばれ、その作者名に十分なブランド化がなされつつある野崎まど先生の初の正式なシリーズというか、ナンバリング作品である。「2」は諸作品の続きと言えばそうだがシリーズというとなんか違うよね。電撃文庫MAGAZINで相変わらず野崎まど劇場書いてるらしいからそれも第2巻でるのかな?

このシリーズは、まど先生の作品にしては珍しくハートフルな感を受ける。ややファンタジックというか、そんな設定もそのためのものか?
一応エピソード集というか、第二巻も4話構成であり、読みやすい。

今回はかなり特殊な縁も結んだり切ったりする。
樹と花の縁、夢との縁、古代オリエントとの縁、この世との縁。
特に新キャラのローランが古代オリエントとの縁とかいう妄言を吐き出した辺りは馬鹿馬鹿しくてよかった。

そう。ローラン。かなりいいキャラしている。貴族の家の子ですげー傲慢で金髪青目長身の何かすげー奴で、嫌な奴だと思いきや、縁が見えない癖に縁結びやるとかいう辺りでポンコツ感が出てきて、それでもなんやかんやで色々やって結果、上手いこと言ってるあたりを見ると頼もしくも思えてきて、努力家であるところもあり読者も好感を持ってくる。
ギャップというかなんというか、ともかく上手い。

普通人には見えない縁をみる縁結び。
その世界を、大学生活のある大学生の中で書くというのは良く考えると野崎まど先生お得意の、現実を超越したモノを書く小説と実は似通ってくるのかもしれない。
シリーズはまだまだ続く雰囲気がある。
噂によると野崎まど先生は今年のなんかのSFの色んな作者のいっぱい短編が乗るような本に一作品のるらしいし、作者の今後も楽しみだ。



小説というものはどうしても読み始めが、例えばアニメや漫画、ゲーム、あるいは音楽よりもフックが弱い。
だからこそ良い作品を探すのは難しい。それ故、いろんなところで感想なんかを探る場合も多い。
私の記事を見て本を手に取ってくれる方がいれば嬉しい、というかこのブログネタバレありきだから基本は読んだ人の感想共有目的のものではあるのだが。
まあ何にせよ、良い小説、自分に合う小説を探すというのは重要なことである。
スポンサーサイト

テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2014/09/28(日) 20:05:26|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0
<<墨汁で満たされた意識。第六三回動画紹介回 | ホーム | 東方原作STG自機勢の霊夢との対照性について>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://tateito1.blog48.fc2.com/tb.php/1758-5d63e878
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)