ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

支倉凍砂「マグダラで眠れⅤ」感想

ネット世代の雑評論 支倉凍砂「マグダラで眠れ」感想
ネット世代の雑評論 「キノの旅 ⅩⅥ巻」、「マグダラで眠れ Ⅱ巻」感想
ネット世代の雑評論 支倉凍砂「マグダラで眠れⅢ」感想
ネット世代の雑評論 支倉凍砂「マグダラで眠れⅣ」感想

電撃関連のあの不祥事に対するスタンスは一応Ⅳの記事とか前に書いたこの記事とかで書いたので参照ね。面白くもなんともない話だから気にしないなら読まなくていい。


ネタバレは全開ね。このブログはネタバレとか気にしないから。
改行もあまり入れる気になれない。



今回はクースラ大して活躍してなかったが、それでもまあ設定周りや今後の指針、役割と言ったものが見えてきたのは良かった。

とはいえ、派手で見栄えのいい、心躍るシーンもあった。カザンからの脱出行、火を噴く竜と戦乙女フェネシスが軍勢を破るシーンは見ていて興奮させられた。
錬金術による火炎放射器と宗教的ハッタリを駆使して状況をひっくり返す。ピンチもまたチャンスとなる。あそこでフェネシスが笑っていたというのが、フェネシスの守られるだけの姫ではない、奥深いキャラ描写を与える。

錬金術薀蓄とか中世オカルト薀蓄などもこの小説の味。それがトリックとなってミステリー風の構成にもなっている。
本の暗号、氷酢酸、そして人身御供の代わりに人形を使う話。
今回やや物足りなく感じたのはクースラが特にこの辺を頑張ってたわけではない辺りか。人形に関してはフェネシスの提案(プリンセステンコー張りのイリュージョン)だし、本の暗号を見つけたのもフェネシスがきっかけである。
氷酢酸についても安っぽい手品、というか科学実験レベルで、錬金術師ならだれでもできる類のもの(ウェランドは思いついてなかったみたいだが)である。それで大衆を騙せて、なおかつその結果窮地に陥るというのは面白い展開と言えばそうだが。

しかし、人間関係を4巻から更に濃く描いたことは素晴らしい。
クースラ、利子のように冷酷な錬金術師という触れ込みだが、どうにもこうにも甘いところも多い。フェネシスを最大の宝物、何物にも替えがたいものとして扱い、興味のないことにはズボラだったりする。人当たりの悪さもその辺だろう。毒舌が心地よい。
工房よりも書籍が好き。錬金術師としてのウェランドとの差が描かれた?まあ前々から描かれてはいたか?
錬金術師としての地位、自身のマグダラ、フェネシスの三つを守ることに成功した。その欲深いグッドエンドは狼と香辛料から続く流れか。冷酷な「捨てられる」人間から欲深い「捨てられない」人間になったという話?

フェネシスは幼く純真であるようにみえる。しかしクースラ達錬金術師、あるいは状況に揉まれる内に、中々侮れないところを持つようになった。
クースラのマグダラの中の守られる姫ではなく、確固たる自我を持った人間である。歩んできた人生も厳しいもので、その中で得たものも大きい。
クースラに対して対等な立場になったという表れか。ホロとロレンスのように?

ウェランド。クースラよりも人当たりがよく、書籍よりも工房が好き。頭の回転でいうと、コミュニケーション周りではウェランドが強くて、トリック周りではクースラか。
まあ今回特に大したことやってない説もあるが、まあサブキャラなので。
こんなちゃらい男でも、錬金術師としての冷酷さがある。そういうのが楽しい。

イリーネ。今回は竜の量産のため、他の事は薄い。
でもまあ、役割として職人というのがあるのは大きいか。錬金術師では見えないところが見える。女性だというのも大きい?

あとアイルゼン。すっかりメインキャラクターになった印象。上役らしい丸投げもあるが、どこか人間らしいところもある。そしてその地位に驕ることのないマグダラ、夢を持つ人物。
狼と香辛料は平和な時の商人の話だが、マグダラは前線で「闘う」戦時下の錬金術師の話。軍隊もそれに付いてくるわけだ。もっとも、狼と香辛料でも戦争の話はあったが。


キャラクターと関連して世界観が動く。
今後の道筋、ストーリーの流れが示された。今回の巻はこれが大きいだろう。
錬金術師の、火を噴く竜の力等を利用して北に戦線を進める。そうしてフェネシスのルーツ、そしてクースラのマグダラであるオルハリコンの情報をコレド・アブレアの道標を辿って探し求める

そこで待ち受けるのは何があるのか、どんな戦争、厄介ごとに巻き込まれるのか。
ともかく楽しみである。落ち着いて物語も作りやすい舞台になったのではないか?



ファンタジー要素はあるにはあるが希薄な中世錬金術師物語。
隠されたファンタジー、あるいはミステリー、あるいはSF的なオーパーツを探し求めるのはまさに冒険であり探究であり、面白いものである。
それを抜けるには、肉体的には頼りない4人。しかし錬金術師のハッタリを利用して頑張ってもらいたいものである。
今後には一層期待して注目したい。
スポンサーサイト



テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2014/02/08(土) 22:02:05|
  2. | トラックバック:0
  3. | コメント:0
<<Wikipedia探訪「中国の不思議な役人」 | ホーム | 2ちゃんねる探訪「内定辞退難易度ランキング」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://tateito1.blog48.fc2.com/tb.php/1567-7db116b9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)