ネット世代の雑評論

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「宝石の国」における性別、というか、性別の無さ。それと金剛先生の正体の考察。

宝石の国とは (ホウセキノクニとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
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『宝石の国』2巻告知PV(30秒バージョン) - YouTube

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限定公開らしいからその内消えてるかもだが一応。


宝石の国、6度の隕石の襲来により人間が滅亡した世界に生きる「宝石」達の国を描いた話である。

宝石、様々な宝石や輝石を体の材料として、その中に棲む微小生物インクルージョンによって生命となっている。人型であり、光を栄養として排泄はせず、砕かれてバラバラになってもまた集まれば再生できる不死であり、不老でもある。
総勢28名しかおらず、月人に(装飾品として?)狙われており、不老不死ゆえに諦めが悪く物を大事にする性格がある。
宝石たちの国は、というかこの世界には小さな浜辺しかなく、他は全て海である。3000歳を超える者もおり、最年少である主人公フォスフォフィライトでさえ300歳。
2巻にて明らかにされた情報によると、人間が6度目に星が欠けた時に海に入り、魂と肉と骨に分かれた(進化した?)内の骨にあたるらしい。微小生物と共生して海を出て陸で生きることを選んだ。

魂と肉と骨に分かれた内の肉にあたるのは海で生きるアドミラビリス族。貝殻を持つ生物で、故郷に近づくと人間に近い(足がいっぱいあったりするが)形になる。生殖と死を細やかに繰り返しながら知を重ね紡ぐ特性を受け継いだ。
今ではほとんどが月人に捕らわれて思考を奪われて養殖されている。

魂と肉と骨に分かれた内の魂にあたるのは月人だと思われる。清らかな新天地を得、再興のために肉と骨を取り戻すためにさまよっている。月人はアドミラビリスを月で養殖し、宝石達を捕え持ち去っている。意思疎通は可能であるらしい。
天敵がいる訳でもないのに争いを好み満足すると言う事が無い。人間型、というか仏像のような姿である。


それぞれ人間から進化した知的生命体であり、この作品においてキャラクターとして重要な意味を持つ。
しかし、人間ではない。よくよく見て見ると、人間性、キャラクター性というか、一つの大事な点で人間と違うと気付く。
性別という概念である。

宝石達は、全員少年か少女のような姿で、女性語を使うこともあるが一人称は僕や俺が多い。服装は性別を感じさせないものが多いが、髪型や髪飾りは女性的なものが多い。お兄様とか呼ばれる宝石もあるが……
例外的に金剛先生は大人で僧衣を着ているが、それに関してはまた後述する。
アドミラビリスの王ウェントリコススがいうには「かわいこちゃんしかおらん」らしいが、女性的とも男性的とも言っていない。
中性的、とでもいうべきなのか。不老不死で生殖とかする必要ないもんね。まあ個別にやや女性的男性的に寄っているのはいるが。エッチだの付き合ってるだのそういう発言もあるが……

アドミラビリス族は、まだ二人しか出てきていないがウェントリコススは明確に胸がある。割とでかいおっぱいを持っている。ウェントリコスス曰く、特にありがたい貴重な部位だとか。
しかし、王(女王ではなく)と呼ばれてる(呼ばせている)し言葉は基本男性的、だが女性言葉も使っていたり、弟のアクレアツスには姉上と言われている。
アクレアツスは弟と呼ばれるだけにやや男らしい体つきに見える(少なくとも胸は無い)、しかしウェントリコススにも言えるが顔は男でも女でも通用する。
生殖と死を繰り返す。当然生殖器官はあるのだろう、性別が単純にあるというのも考えられるが、あるいは両性具有なのかもしれない。

月人は、仏像か仏のような姿形をしており、斬ると蓮根のような断片が見える。蓮は仏教の花である(ヒンドゥー教でも重要だったか)し考えさせられる。蓮は泥より出でて泥に染まらず……
仏像というか、天人というか?性別はあまり感じられない。というか仏ならば性別は必要ないのか?魂、精神が進化してできたもの、人のミーム、と考えると中性でさえなく無性ということなのかもしれない。倒すと霧散するらしいし。植物的なアレという考えも?まだまだわからない。


という訳で、少なくとも宝石と月人は進化により性別が失われているのがわかる。
物語的に大きな意味があるとは限らない(骨や魂に性別は無いという表現?)が、作品の独特の雰囲気、世界観の構築に大いに役立っている。
人間の失われた世界の人間では無い生物と読者が気付くことができる。



で、宝石達のリーダーの金剛先生だが、大きな謎が残っている。宝石の国という作品の中でも重要な謎だろう。
単純に、表面だけ考えれば、金剛先生と言うだけあって、金剛石、ダイヤモンド族の何かなのだろうと判断する。あるいは金剛石だから磨いていない原石を指すのかも、とも予想できる。

しかし、他の宝石達がカタカナの鉱石名であり、姿形も大きく違う事を考えると違和感は強い。禿頭なのも他の宝石が髪の毛の色で宝石の種類を示していることからも違和感。

まあ性別は、禿頭だが尼僧にも男の僧にも見える。服は袈裟。

怒るとピシピシという音が頭から鳴る。その辺は宝石っぽいかもしれない。

冬は日照が少なく光によって生きる宝石達は例外であるアンタークチサイトを除いて冬眠するのだが、金剛先生も特に眠らない。光の少ない夜に宝石達も眠る(夜の光を集められるシンシャは例外)が、金剛先生は瞑想と称して丸一日眠ったことがある。まあ医者のルチルも昼寝してたりしたが。

そして金剛先生が見た夢の描写があるのだが、月人たちに囲まれてまるで月人の主人のようだ。
袈裟、仏教徒の服というのも月人のそれに似ている?
金剛という名前も、仏教用語のそれとして大きな意味を持つ。

フォスがにんげんという言葉を口に出すと、驚いてか怒ってか何かわからないが目を見開き机を破壊してしまっている。

関係ないかもしれないが、無機物を溶かせるウェントリコススが金剛先生に触れて「削れないわ」とか言っている。


これらから想像出来る事として、金剛先生は月人のリーダーか何かで、肉と骨を何らかの方法で取り戻した生物なのではないか。
そう考えると金剛先生が月人から宝石達を護っているのは他の月人から宝石を独占している、とも考えられる。
人間の生き残りではとも思ったが、人間とは思えない描写も多いので。攻撃力とか。まあ海に移る前にある程度進化してたのかもだが。



まあ金剛先生の件については邪推も多いが、SFにおける世界観の謎を解くというのはミステリーのジャンルにも接近するものである。
その点で、宝石の国は謎が多く考えさせる、良いSFである。
今後、種明かしに大いに期待したい。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2014/01/25(土) 13:10:19|
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