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「キノの旅」に出てくる銃器のモデルの話

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時雨沢恵一 - Wikipedia
キノの旅 - Wikipedia

時雨沢恵一 - アンサイクロペディア
キノの旅 - アンサイクロペディア

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キノの旅とは (キノノタビとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

アニヲタWiki(仮) - キノの旅


キノの旅。時雨沢恵一先生の連作短編ライトノベル作品であり、電撃文庫でも中期からの古豪人気作品として今でも刊行が続いている。
タイトルの通り、主人公キノ、もしくは他の旅人が奇妙な国々を旅して、その国ごとの話を短編として、時系列をバラバラに書かれている。

国から国を旅するのに自衛のための武器は必要である。
キノの旅の中では武器、銃器が重要な小道具として登場している。ちなみに作中では一貫して銃器の事をパースエイダーと呼んでいる。説得するものと言う意味だが英俗語では銃器を表す。キノの旅では「説得する」と言う単語が銃撃戦の比喩として扱われることもしばしばある。

作者の時雨沢先生は、あとがきに定評があったりするが、銃器マニアであることも有名である。ペンネームの時雨沢というのも銃器ブランドのSIG Sauerから来ている。
ちなみにカメラマニアでバイクマニアで飛行機とかもマニアで軍事マニアで機関車とかもマニアだったかもしれない。当然というべきか漫画やアニメもゲームもマニアである。


そういうこともあってか、どうやら作中に登場する銃には元ネタとなる銃が存在するようだ。
一応作中世界は地球ではないと思われるが、あくまで元ネタで話のために細部を変えてたりもする。文章描写やイラストなどで特定できるらしい。

まとめているサイトなどを見つけたのでちょっと見ていこう。
MEDIAGUN DATABASE - MEDIAGUN DATABASE あらゆるメディアの登場銃器のデータをまとめているらしい。情報量がパない。
キノの旅 - MEDIAGUN DATABASE キノの項。
あとこんなのも。 キノの旅辞典

「カノン」
コルト M1851 - MEDIAGUN DATABASE
コルトM1851 - Wikipedia
キノの主力武器で師匠の武器でもある。というか師匠のとこから脱走するときに奪っていった。大口径のリボルバー。大口径だから大砲=カノン?
元ネタの銃は名が示す通り1851年に発売されたもの。Mはマリーン、海軍と言う意味だがアメリカ陸軍に採用された。
本当は36口径の銃だが、作中では44口径。どうやらスペインや南部アメリカでコピーされたものにはそういうものがあるらしい。
作中でも言及されている事だが、金属薬莢(銃弾と火薬とか雷管が一体化してる、よく見るアレ)が開発される前のパーカッション式。装填は現代の金属薬莢式と比べ非常に面倒で時間のかかるものだが、シリンダーごと交換することで素早く全弾装填する方法もあったとか。弾と火薬さえあれば撃てるわけだからキノのような世界では使いやすいというのもある。

Wikipediaによると幕末の江戸時代に持ち込まれて、それが水戸藩でコピーされたものが桜田門外の変の際、井伊直弼暗殺に用いられて、それが今でも残っているとか。


「森の人」
コルト ウッズマン - MEDIAGUN DATABASE
コルト・ウッズマン - Wikipedia
二番目に手に入れた銃。師匠の相棒が過去に使っていたものか。小口径の自動拳銃で補助武器として使っている。
元ネタの銃は元々競技用として開発された銃。ウッズマンだから森の人。基本設計はあのジョン・ブローニング。一応1915年に発売された銃だが、キノが使っているのは細かい描写から1947年から1977年の第二世代、第三世代と推定される。
22口径で威力は弱いが精度のよい銃で、アメリカやイギリスでは特殊部隊や情報機関で使われていたとか。簡単な狩猟にも。

キノが使っているものはかなり特殊で、全ての部品が左右逆に設計された左利き用。カノンと森の人で2丁拳銃することを想定しているのか?減音器にレーザーサイトまで付けられる。
カノンは西部劇のガンマンのような動きをするとき、森の人は情報機関や特殊部隊のスパイ・工作員のような動きをする時を考えて持たせているのか。
44口径は実際大袈裟だしなあ。しかもキノ、ホローポイント弾使うし。


「フルート」
小銃/東京砲兵工廠 九九式小銃 - MEDIAGUN DATABASE
二式小銃 - Wikipedia
三番目に手に入れた銃。ライフルである。前後分割可能な。ライフルは銃身が細長く、フルートも細長い楽器と言う発想か。
これもかなり特殊で、作者によると大日本帝国陸軍の二式小銃、いわゆる二式テラ銃をモデルにしていると言う話だが、そのままその性能の物が登場している訳ではない。
二式というのはまあゼロ戦とかと同じで皇紀2602年、西暦で言う所の1942年に開発された小銃と言う意味で、テラというのは空挺部隊が落下傘降下時に使う武器であるから挺身落下傘、イシンッカサン銃、テラ銃と言う事である。
当時陸軍で採用されていたのは九九式短小銃だが、まあライフルと言うのは長いので落下傘降下、パラシュートで地上に降りる際邪魔になるらしい。と言う訳で、ドイツのそういうための折り畳みライフルから機構を真似したけど複雑すぎて量産が当時の状況では無理だったので機構を簡略化して出来た銃らしい。

しかしキノのフルートはなんと連射可能である。ついでにスコープがついて狙撃もできる。
第二次大戦当時は連射できるいわゆるアサルトライフルは流行っておらず、当然九九式短小銃も二式テラ銃もボルトアクション式の、速射性は低いが威力が高い(=反動も大きい)銃である。
余談で蛇足だが初期型の九九式短小銃は現代のボルトアクションを超えさえする命中精度、威力、耐久性を誇り、欧米の評論家にはベストオブボルトアクションライフルと評価する人もいたとか。
まあ結局第二次大戦でボロクソになって、国力がズタズタになったのでその当時の九九式短小銃はかなりクオリティが低い。半自動小銃化も計画されたが、そうなると弾薬の消費量もあがるので、国力がアレなので見送られたとか。
二式テラ銃は分割式で簡略化された機構のせいもあり精度や強度の問題から命中率も悪く狙撃銃にはならない。

キノのフルートは元ネタをだいぶ無視して、前後分解できるし、連射できるし(ついでに9発撃てるし)、狙撃も可能である。
なんでこんなことになったのか、それはまあ難しい話では無かろう。主人公に都合のいい銃を持たせて色々なシーンで扱えるようにしたかったのだろう。
ただでさえキノは、旅の身で持ち物は最低限にすべきなのに色々持ちすぎである。ならばライフルは分割可能で取り扱いが便利であるべきである。
とはいっても、スナイパーとしての活躍も、近代軍隊的な市街地での銃撃戦も書きたかったので、アサルトライフルでありスナイパーライフルであるというやや矛盾した、都合のいい銃と相成ったのであろう。



他にも他のキャラが使ったりキノが借り受けたりした銃は多いが、長くなるのでこのくらいで。

上の方でも書いたように、時雨沢先生はかなり多様なマニアである。
書きたい話は多種多様にあるのだろう。それを満たしてキノの旅を書くために、最低限必要なのがカノン、森の人、フルートの3つの銃なのであろう。いや、ナイフ形の隠し銃もあるが。
キノはこれらの銃をもってどんな状況でも活躍できるキャラクターとなっている。
小道具が、ガジェットがストーリーを定義することもあるのだ。そういう小道具にはより深い関心を向けてもいい。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2014/01/03(金) 10:07:52|
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  1. 2014/10/23(木) 03:28:43 |
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  3. #
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Re: No title

> 紹介された銃のほかに、
> ナイフに内蔵されたパースエイダーが
> あるのですが、
> それは、何がネタですか?

鍵付のコメントですが、まあコメントにはコメントで返すことにしてます。

調べても詳しい情報がなかったのですが、中国最大の兵器製造企業、中国北方工業公司 (ノリンコ)の八十七式のナイフピストルがそれだ、という情報はあります。
ノリンコというとChina NORth INdustries COrp.でNORINCOとなる訳ですが、国営企業で、中国の兵器の製造を一手に引き受ける大企業も大企業で、民間向けのトラックなりバスなりも作ったり、発電所や鉄道まで作る、なんか凄い企業です。輸出もしているようで。
まあ凄いのは良いんですが、まあ銃器などでは(品質が悪かったりする)コピー品ばかり作っていて、中東のテロリストみたいなのが使ってるAKなんかもノリンコ製だったりするらしいです。

まあとはいっても、独自開発もいろいろしているらしく、サイレンサー付の銃器なんかが多く、そういう独自開発品の中にナイフピストルがあるらしいですね。22口径が4発となるとノリンコのそれ、となるらしいです。キノの旅作中のイラストは無かった気がしますが。


MEDIAGUN DATABASEのキノの旅のページ見てちょっとググっただけなので価値のある情報でもなんでもないですが、参考にしていただけるとありがたいです。
ちなみにググればそれらしき画像も出てました。こういう隠し武器を量産するのってどれほど効果があるんでしょうかねえ。まあそんな大量に目につくものでもないんでしょうが。
  1. 2014/10/23(木) 23:12:42 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

No title

 キノの旅最新刊(18)でフルートがヴィジュアル化されてましたよ。どうやら作者の妄想100%な感じで、テラ銃よりかM1カービン
に近いです。
  1. 2015/02/23(月) 22:30:43 |
  2. URL |
  3. まっし #-
  4. [ 編集 ]

Re: No title

>  キノの旅最新刊(18)でフルートがヴィジュアル化されてましたよ。どうやら作者の妄想100%な感じで、テラ銃よりかM1カービン
> に近いです。

はい。キノの旅は発売日に買ってるので把握しております。めんどくさかったので追記はしませんでしたが。
なんかすごいメカメカしいですよね。イメージではもっとシンプルなものかと。
テラ銃はあくまで発想だけ、ということですかね。
  1. 2015/02/23(月) 23:11:01 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

No title

キノのファンでぜひあのカノンを手に入れたいと思っていたので、とても参考になりました!ありがとうございます!
ちなみに下から4行目、「フルート」が「するート」になっていますよ!
と、細かいことをいちいちすみませんでした。
銃のことをパースウェイダー(説得者)と表現する時雨沢先生さすがですよね。。。大好きです!
長々と失礼しました。ではまた。
  1. 2015/03/13(金) 07:43:51 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> キノのファンでぜひあのカノンを手に入れたいと思っていたので、とても参考になりました!ありがとうございます!

お役になれて幸いです。私も欲しいです。

> ちなみに下から4行目、「フルート」が「するート」になっていますよ!
> と、細かいことをいちいちすみませんでした。

いえいえ、誤字脱字の指摘はありがたいです。修正させていただきました。

> 銃のことをパースウェイダー(説得者)と表現する時雨沢先生さすがですよね。。。大好きです!
> 長々と失礼しました。ではまた。

そういえばシステム英単語にもパースエイダーに銃という俗語の意味が載っていた気がします。
しかし、銃を絶えずパースエイダーと表現するのは世界観というか、作者の考え方、思想、あるいはキノという物語自体を象徴しているのでしょうね。単純に異世界感も出してますし。
キノにおける銃器はやはり重要な点でありますね。
  1. 2015/03/13(金) 23:42:05 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

カノンはM1848ではないですか?
M1851はM1848が軽量化されたものです
M1848なら44口径ですよ
  1. 2017/10/08(日) 20:46:15 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> カノンはM1848ではないですか?
> M1851はM1848が軽量化されたものです
> M1848なら44口径ですよ

たぶん微妙に違うんじゃないですか?
色々イラストとか見比べてみましたがなんとなく形的にはM1851っぽいようにも見えます。ほとんど変わらないですが照星の形うとか微妙に……
まあたぶん時雨沢先生の持ってるモデルガンがモデルなのでどっかのインタビューで描かれてたか知りませんが。
  1. 2017/10/09(月) 11:29:03 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

おそらくフルートはM14ライフルでフロントレシーバーをオリジナルですね。
  1. 2017/12/01(金) 01:56:45 |
  2. URL |
  3. ねこさん #2sQQXnjA
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

> おそらくフルートはM14ライフルでフロントレシーバーをオリジナルですね。

絵を見ると確かに似ているところもありますが、どうなんでしょうね。
  1. 2017/12/02(土) 18:06:55 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
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