ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

支倉凍砂「マグダラで眠れⅣ」感想

余りにもつまらないことだが、調べれば出てくる話なので、一応スタンスとして書いておく。

ネット世代の雑評論 2chの流出事件関係でライトノベル作家、杉井光先生の誹謗中傷がバレた件に付いて
の関係で、支倉先生も何らかの形で関わっていたのではという疑いが2ちゃんねるなどで出ている。私はその疑いの妥当性についてブログで書くつもりは全くないし、そもそも上の記事で示したように(例え何かしていたとしても)作品に関係の無い話である以上問題にせず、作者の作品は買い続ける。


ああそうそう、ネタバレは余裕であるからね。


ネット世代の雑評論 支倉凍砂「マグダラで眠れ」感想
ネット世代の雑評論 「キノの旅 ⅩⅥ巻」、「マグダラで眠れ Ⅱ巻」感想
ネット世代の雑評論 支倉凍砂「マグダラで眠れⅢ」感想



この巻に来て完全に作者前作である狼と香辛料から離れ、また狼と香辛料から続く作者の味というものが見えてきたのではないか。
そう思わせる進展があった。

私は展開の速い物語を好む。基本的にせっかちで短気なのだ。
マグダラは、まあ一巻で錬金術師として町に入って色々して、二巻で町から出るためにダマスカス鋼作って、三巻でニワトリ生き返らせるみたいな茶番したりして主要メンバーの肉付けをし、四巻でカザンに行ったと思いきや罠で脱出。
まあ1巻から3巻は特に展開が早いというほどではない(むしろ遅い?)が4巻のスピード感は凄い。まあ、そりゃ錬金術師として定住したら物語も書きにくいが、ここからは逃亡劇みたくなったりして?

主要メンバーの4人、クースラ、フェネシス、ウェランド、イリーネの関わり方、絡みが作品内の中できっちり基本の物となっているのが印象的だった。
ウェランドは女ったらしなのにフェネシスやイリーネから割と嫌われてないのに、クースラは割とボロクソに言われる辺りが笑える。
まあそこが今回の気付きなわけだが。クースラは人情を解さないのではなく、自分の「マグダラ」に近づくために人情を無視しているだけである。
まあそれとは関係なしに皮肉屋で露悪的で性格が悪い気もするが。

今回の錬金術は油、タールや瀝青について。まあ金属の品質とか地味にやってたけど、冶金がメインの錬金術師なのでそれはまあいいや。
火炎放射器。ギリシア火薬か。こういう古代のオーパーツ(正確には失われた技術とでもいうべきか)は心躍る。フェネシスの種族が教会に弾圧された古代の種族の名残、というのや、フェネシスの種族もまた侵略者であった、今またフェネシスも加害者にならざるを得ない、そういう皮肉な運命めいた繋がりを感じさせる設定はすごく好き。
キッチリ手を汚すヒロイン。世界観のシリアスさにも貢献する。

フェネシスと言えば、放浪体験では町の人間である錬金術師達より経験深いというのがパーティとして興味深いところ。
色々と弱いが、その経験が芯の強さとなっているのだろう。そしてそれを活かすシーンはフェネシスの活躍シーンとなりうる。守られるだけの姫というのもピーチ姫で間に合っているのでこれは好印象。

イリーネはかなり感情的な面が押し出されている印象。フェネシスが表情とかコロコロ変わるのはまだ幼いところがあるからだが、イリーネは人情的な職人である。
他三名がちょっと人間的ではないキャラばかりなので、これは助かる。

狼と香辛料では2人だったりたまに3人で旅してたが、マグダラは4人。
それに伴い関係や会話も複雑化し、味わい深いものとなった。
ホロは狼神だが、商売は素人、ロレンスは一般人で、歴戦の行商人。甘々な関係は虫歯になりそうなほどで、それでいて掛け合いは最後まで面白い。
マグダラの4人は、最初はクースラとフェネシスがホロとロレンスの裏返しかと思ったが、むしろ要素を再配分したと言うべきであり、そこにウェランドやイリーネが介入して甘くなり過ぎず、狼と香辛料とはやや違った良さがある。

キャラという面ならやはりクースラがいいキャラしている。
クッソ偉そうで、上司にはきっちりへりくだって、せこくて、意地悪で…… しかし純粋な、真面目なところがある。
ギャップというより、キャラクターがしっかりできている完成度を想わせる。目的のために手段は問わない。抜け目ない錬金術師。
そしてロレンスと同じように圧倒的な閃きで問題を解決するのはやはり強烈なカタルシスがある。この辺りは作者の味というか、基本戦略だろう。

ウェランドは一般的な錬金術師という感じはしないけど、芯の部分できっちり錬金術師だし、要領の良さは感動的でややヘイトが溜まるレベルである。
3巻で馬鹿してたが……

狼と香辛料では、ホロの生きていた時代の怪異、化け物、怪物に関しては、たまに出てきていたが真相に付いて事細かに書かれたわけではなく、謎が残った。
同一世界観かは微妙だが、今回はフェネシスの事もあるし、何か設定を基にした展開もあるのだろうか。


カザンからの逃亡劇。
逃げた先に安住の地はあるのか。
そこからまた更にどこかに行くことはあるのか。「マグダラ」にたどり着けるのか。オルハリコンは存在し得るのか。
狼と香辛料では最終巻では遂に店を持ち、子も出来たらしかったが、マグダラではどうなるのだろう。
物語のテンプレート、政治・錬金術・主要メンバーが完成した感のある4巻は楽しく読むことができた。
今後も期待して注目したい。



そういや一緒に買ったゲーム戦争6も結構良かった。特にCiv5のところ。ああいう外交計略はCivの醍醐味だよねえ。
FPSとかTPSはあんま詳しくないからわからんかったけど、《吹き抜ける風》とかいう敵部長が結構好き。なんだかんだいって実は本当に実力はある、という感じが。

電撃なら来月はキノの旅XVIIか。新聞連載分+8話というのは非常にうれしい。
値段から察する(標準価格)に440~456ページぐらい?最近は全体が高くなってるんだっけ?
キノは他の作品と比べて思い入れが違う。実際ラノベ的でもないし。いやまあマグダラもラノベ的かと言ったら微妙だが。
ラノベの定義論、ラノベの線引きは不毛なのでやめておくが、キノは、時雨沢先生の作品はやはり私の中で別格。それほど商品価値が違うから別格という話ではないけれども。もっと微妙な問題。やはり内容の何かが違う…… そりゃ同じ作品なんてないけどさ。ラノベに関しても十分に知っているわけでもないし。
なんにせよ私にとって特別な作品なので感想は書く。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2013/09/11(水) 02:46:50|
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