ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

黒子のバスケ、来週の226話が凄すぎたので感想、考察など

黒子のバスケ226話ネタバレ。
どうせ月曜になれば読めるだろうし、でもまあ気にする人は見ないでね。
このブログは基本容赦なくネタバレするけど。
一応間隔は開けておこう。




















あらすじから。

巻頭カラー。キセキの世代の面々が試合に勝利し喜んでいる写真。

医務室前。赤司は荻原の事をたまたま黒子に聞いていたらしい(黒子は昔の事を話したがらない)。
荻原は赤司にバスケやってて楽しいかと聞く。勝ち負け以上に大切なことだってあるだろうと。
赤司は歯牙にもかけない。眼中にない。荻原は赤司に黒子に絶対またやろうと伝えるように頼む

医務室。黒子は目が覚める。準決勝はもちろん勝った。決勝は5分後。
黒子はドクターストップ。黒子は赤司に本気でやってくれと頼む。手を抜かれた方がもっと嫌だと。
赤司は厳しい目をする。「わかった。思い知らせてやろう。帝光の力を」

帝光ベンチ。赤司が帰還する。キセキの世代は黒子のことを心配している。
キセキ達は点取りゲームも飽きてきたから…… などと話をしていた。新しい提案があったらしい。
赤司はそれを受け入れる。今からの相手にもうってつけだと。
決勝戦が始まる。

医務室で起きる黒子。桃井によると第4Qで帝光は大量にリードしている。
黒子は廊下のディスプレイに試合を見に行く。帝光が圧倒しているが明洸もがんばっている。
桃井はこの点差なら三連覇も目前というが、黒子はこの試合に違和感を感じる。

コート。黄瀬のダンクで帝光111-9明洸。あと15秒。
明洸はその差に諦めかけるが荻原が最後のゴールを取って2桁にしようと言う。
ディスプレイで見ていた黒子は何かに気づき走り出す。
荻原は青峰を抜いてシュート、しかし外れそう。

青峰「…ありゃ、せっかく抜かせたんだからちゃんと決めてくれよ。オーイ紫原ー」
紫原「あいよー」
紫原がボールをはじいて自殺点。そしてタイムアップ。
観客にはリバウンドに行った紫原がミスしたように見えたらしい。

荻原は狼狽しながら何故自殺点を故意にしたのか疑問に思う。
青峰「ったく最後に花持たせる形にしてやったのによー」
黄瀬「けどホラホラ揃ったじゃないっスか目標達成っス」

荻原、明洸選手は気付く。
帝光 111-11 明洸
キセキの世代は点数揃えゲームをしていたのだ。
黒子が荻原の名前を呼ぶ。荻原が絶望して泣いている。

帝光優勝。前人未到の三連覇。
泣き崩れる黒子。



いやもう最高である。
キセキの世代が三年の時の全中決勝で何かやらかして、それがきっかけで黒子は帝光バスケ部を辞め、キセキの世代たちを打倒しようと決意したのは示されてきた。
正直どんなことをやったのかわからなかったが、ここまでひどく、また納得できるものであったとは。
111-11。必死で2桁にしようとしたら故意の自殺点によってそれが為され、目押しされたスロットのように点数が揃う。
この試合における明洸の努力を全て無駄にする非常に無邪気で悪趣味な行為である。

帝光バスケ部には伝統的に舐めプをしていた。
地区のバスケ交流戦から一年縛りがあった。帝光バスケ部はそれでも勝つのが当たり前であった。
舐めプをしても勝てる、勝つことが前提、それが帝光。

それが、2年の全中には赤司によって20点のノルマ縛りになり、3年には点取りゲームになり、最後には点揃えゲームとなった。
点取りゲームにしても、黄瀬が黒子と2軍の補佐に行ったとき、提案したものである。
キセキの世代全体の傲慢さというか、弱い相手に対する敬意の無さ、無視が感じられる。

ちなみにその舐めプの伝統は洛山のIHでのキセキの世代が出ないというにも受け継がれているのかもしれない。
これは「誓い」と言う奴にも関係してくるかもしれないが、出ても面白くないから、どうせ勝つし出なかったという点で似ている。


そもそも連載初期、というか、出てきた当初、キセキの世代の登場時は全員ロクでもない、スポーツマンシップの無い、逸脱した、だが異常に強い敵であった。
黄瀬はアイドルと二足の草鞋で、いきなり黒子を海常に引き抜こうとする。
緑間は偏執的なまでの自己中心的であり、リアカーの後ろに乗りチームに我儘をきかせている。
青峰は練習にも参加しない、遅刻はする、火神のことを認めない、敬意と言うものが無い。
紫原はバスケに対する情熱が無く、精神的に子供であり、努力をする弱者を嫌悪している。
赤司に至っては命令を聞かない火神に鋏を突き付けてくるほどであった。

キセキの世代の面々は必ずしも悪の権化という訳ではなく、いいところも多い。
だが、それぞれに性格的欠点を持ち、それは高校時代にまで続いている。一貫してキセキの世代は迷惑をかけるほど強く、厄介な性格をしているのだ。
高校時代に黒子、誠凜に負けることによってその態度が軟化しているものの、根本的には変わらないキャラの性質なのだ。

そもそも、中学の帝光一強というか、百戦百勝、敗北の無い環境自体が不健全だったともいえる。
キセキの世代は一年時からレギュラーで優勝し、二年時には敗北が考えられない状況で、三年時はもはやゲームにもならないというレベルであった。
これではスポーツマンシップも何も育たない。
この作品には強者の悲哀というテーマも大きな位置を占める。


そして、帝光の勝利主義と荻原や黒子の勝利以上に大切なものがあるという考え。
勝利主義は正論で黒子達の考えは理想論というべきか。
勝つのが目標であるのは確かであるが、勝つのは楽しむための手段である。
勝つのが前提となり、その中で別の楽しみを求める帝光は悲劇である。もちろん相手にとっても。

赤司は勝利主義の中で勝利のために生きてきた。帝光主義そのものである。
であるからこそ、黒子と荻原の心を破り、「本気で」。「帝光の力を見せ」、その考えを破ったのだろう。
高校の黒子の戦いとは帝光主義との戦いなのである。


帝光編のキセキの世代は中学生である。
精神的にはまだまだ幼い。しかし肉体的技術的には異常な才覚がある。そのアンバランスさが精神を荒廃させたのだろう。
指導する大人や先輩も失われ、大人の都合もあり、雪だるま式に悲劇が積み重なる。
せめて試合相手にも同じぐらいの強さのライバルがいればよかったが、この作品は天才が5人同じ中学に集まった悲劇を描く物である。
高校に入って、火神が現れ、黒子と一緒にやってきて、試合をする。負けこそすれそれは救いなのだ。
誰が悪いという訳でもない。ただ悲劇があるのだ。


ここまで酷いことをされて、黒子がキセキの世代たちに対する感情が優しいという向きもあるが、帝光の中で2年以上同じところで戦ってきた仲間であることを忘れてはいけない。
悪気があって何かしたわけではない。ただ勝ち続けたことでその存在が迷惑で厄介なものとなったというだけである。
荻原も親友だが、キセキの世代は最大の友なのだ。
それが帝光編の前半で描かれていることが、さらなる衝撃を付け加える。幸福の山があるからこそ悲劇の谷は深くなる。

そもそもこの展開、過去編である帝光編を高校の決勝戦前にやったのが凄い。
連載初期の掲載順は必ずしも高くなかった。緑間が大暴れした時点でまあマシになったがそれでも平均では中堅やや下ぐらいであった。
キセキの世代は敵としては強く悪くと最高で、敗北した後は非常に良いキャラとなって盛り上げる。
アニメ化の影響で人気が出て、掲載順には苦労しなくなり、突然打ち切られるという恐怖におびえる必要も無くなった。
そしてキャラ人気、特にキセキの世代に対する人気が増えたところでの過去編、帝光編である。

謎の多いラスボスである赤司の秘密について、それも帝光編の重要な意義である。
しかし、やはり一番重要だったのは、帝光黄金時代を作ったキセキの世代がどのようであったのか、ということであろう。
それは本編、高校時代のキセキの世代につながるようなものでなくてはならない。
そうだとすると、登場段階の、第一印象最悪のキセキの世代にどのようになったのかを描かなければならないのだ。
それとも、そこを曖昧にするか、だが。

藤巻先生はやってのけた。悲劇に悲劇を重ね、設定を全うした。
細かい矛盾は無視しているところもあるが、設定の大黒柱を守り抜き、作品に一貫性のあるストーリーを与えたのだ。
一般受けするかどうかは別として、漫画作品としての価値は格段に上がった。傑作として語られる作品となっただろう。
これはアニメによる人気、単行本初版50万部越えやアニメ2期によるプロテクトがあってこそできる展開である。
人気があるからこそ自由な展開ができる。それを有効活用したと言えるだろう。




連載の初期の方から黒子のバスケは追ってきた。
人気の上下や紆余曲折も多かった。しかし前のめりな展開で限界まで行こうという気概、鮮烈な試合に私は魅せられた。
ここまでの作品となるとは感慨深い思いがある。
今後の展開としては、どうやって赤司を倒すか。洛山にはまだまだ謎がありそうだが。無冠だけじゃないだろう。5番も何かありそうだし、選手の層の厚さから帝光編に出たキャラが出る可能性も…
赤司を倒した後か倒された後か、まあいつでもいいが、帝光でキセキの世代が一年の頃の全中もいつか描いて欲しいとも思う。蛇足かもしれないが。
黒子のバスケは完成に向かいつつある。期待して注目したい。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2013/08/25(日) 02:58:41|
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  3. | コメント:4
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コメント

No title

最高でしたよね。赤司は約束を破ったとか、キセキを落として帝光編は誰得なのかとか、一体どこに目を付けて読んでいるんだろうと思うような感想ばかり目にしてうんざりしていたので、ブログ主様の感想には爽快感すら覚えました。
今回の赤司と荻原のやり取りで、荻原が投げかけた問いに対する赤司の試合の運び方を通しての答えは実に容赦ないものでしたが、だからこそ良かったし、
あの試合はただの舐めプ、だから悪、と片づけられるようなものではなかったと思います。
そもそも単純な舐めプとも思いません。
キセキは確かに相手の力量は舐めていますが、そのプレイ自体は試合の細部までコントロールされ尽くしたレベルの高い物だったと思うので。それこそがラスボス赤司の本気、本領だと思うので。
帝光主義=赤司は結局は負ける運命にあるのでしょうが、正直黒子達にはまだまだ赤司の覚悟に勝つだけの覚悟もその資格も足りないように思えます。
そこをどう藤巻先生が納得させるように今後書いていってくれるか楽しみにしながら、ここの感想も楽しみにしていこうと思います、ありがとうございました。
  1. 2013/08/26(月) 07:30:50 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> 最高でしたよね。赤司は約束を破ったとか、キセキを落として帝光編は誰得なのかとか、一体どこに目を付けて読んでいるんだろうと思うような感想ばかり目にしてうんざりしていたので、ブログ主様の感想には爽快感すら覚えました。
> 今回の赤司と荻原のやり取りで、荻原が投げかけた問いに対する赤司の試合の運び方を通しての答えは実に容赦ないものでしたが、だからこそ良かったし、
> あの試合はただの舐めプ、だから悪、と片づけられるようなものではなかったと思います。
> そもそも単純な舐めプとも思いません。
> キセキは確かに相手の力量は舐めていますが、そのプレイ自体は試合の細部までコントロールされ尽くしたレベルの高い物だったと思うので。それこそがラスボス赤司の本気、本領だと思うので。
> 帝光主義=赤司は結局は負ける運命にあるのでしょうが、正直黒子達にはまだまだ赤司の覚悟に勝つだけの覚悟もその資格も足りないように思えます。
> そこをどう藤巻先生が納得させるように今後書いていってくれるか楽しみにしながら、ここの感想も楽しみにしていこうと思います、ありがとうございました。


帝光編後半ではキセキの世代の罪を描き、その中で赤司の特別さが描かれてますね。
これは今後の展開の上でも重要です。
というか、まだ赤司については帝光編でも十分に描写されたとは言えないです。
決勝戦できっちり描かれるのか、それとも……

私の予想では決勝戦で誠凜が負ける=洛山、赤司が勝つ、と言う展開も十分あると思っています。
正直洛山の強さは底知れないですし、黒子に嫌な伏線が積もっているのも気になります。
もちろん、ただ負けたのではこの漫画は終れませんが、最終的には帝光主義を打ち破って終わってくれるものと信じています。
  1. 2013/08/26(月) 13:49:13 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

No title

最初にこちらの記事のタイトルを見たときから、それなりに期待はしていたのですが今週号は震えました。思わずねじまきカギューの理事長がエリザをタカイタカイするシーンが頭に浮かびました。
そしての記事を最後まで見て何度も唸ってしまいました。
はい、確かに凄いしやばいです。花宮とは違う意味で相手選手を壊しまくったあの五人が、高校では割とマシなプレイヤーになっているのが少し不気味に感じてしまいます。いや、赤司は今でも不気味だし青峰も昔みたいにはもう戻れないんでしょうが。
帝光編、あとは荻原と黒子の決別(?)ですかね。管理人様のジャンプ感想を毎週たのしみにしてるので、これからも今回のような単独記事ができる話が来ることを願っています。本当に素晴らしい感想をありがとうございました。
  1. 2013/08/27(火) 01:06:19 |
  2. URL |
  3. gr28 #-
  4. [ 編集 ]

Re: No title

> 最初にこちらの記事のタイトルを見たときから、それなりに期待はしていたのですが今週号は震えました。思わずねじまきカギューの理事長がエリザをタカイタカイするシーンが頭に浮かびました。
> そしての記事を最後まで見て何度も唸ってしまいました。
> はい、確かに凄いしやばいです。花宮とは違う意味で相手選手を壊しまくったあの五人が、高校では割とマシなプレイヤーになっているのが少し不気味に感じてしまいます。いや、赤司は今でも不気味だし青峰も昔みたいにはもう戻れないんでしょうが。
> 帝光編、あとは荻原と黒子の決別(?)ですかね。管理人様のジャンプ感想を毎週たのしみにしてるので、これからも今回のような単独記事ができる話が来ることを願っています。本当に素晴らしい感想をありがとうございました。


こちらこそコメントありがとうございます。ねじまきカギューの感想も読んでくれている人がいるのはうれしいですね。

黒子のバスケでは過去編、帝光中の話というのは連載初期の頃から伏線の張られた、非常に重要なポイントで、溜めに溜めたところでの帝光編、そしてそのクライマックスですからね。
作品にとって理想的な話を描ける漫画家は少ないですが、藤巻先生は流石でした。

花宮とは違うんですよね。卑怯なことはしない。ただバスケをするだけで人が絶望する。それがキセキの世代。ここまで「強い」キャラ群は中々いませんね。キャラのためにストーリーが、ストーリーのためにキャラが、ここまできっちりあてはまって印象的。キセキの世代という設定は良く考えられ、大事にされています。だからこその人気ですね。

荻原と黒子の決別についてはどこまで描かれるか不明ですが、黒子にもきっちり罪を描いて欲しいという思いもありますね。
帝光編始まる前の最初の話では黒子のせいでバスケを辞めた、という事ですから。
まあ流石に難しいかもですが、ここまで描かれると期待してしまいます。
  1. 2013/08/27(火) 03:10:41 |
  2. URL |
  3. たていと1 #-
  4. [ 編集 ]

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