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施川ユウキ「鬱ごはん 第1巻」「オンノジ」「バーナード嬢曰く。」感想

施川ユウキ - Wikipedia
鬱ごはん - Wikipedia


施川ユウキ。割と漫画読みには有名な作家だと思うが、一般的には有名というほどでもないだろうか。
基本的にはギャグ漫画家ということになるのだが、作品によってはかなり哲学的な内容も含む。
哲学的な、というよりも、精神的な、思考の残滓を追いかけるような、そういったところがある。心の奥底に潜っていくような味わいである。

もっとも、単純にギャグ一色な作品もあり、作品ごとのカラーが出ている。

『がんばれ酢めし疑獄!!』はギャグ50シリアス50ぐらい?作者の原点と言えるだろうか。
『サナギさん』はギャグ80シリアス20?作者の代表作といっていいのか。
『もずく、ウォーキング!』もギャグ80シリアス20ぐらいか。
『ツモっ子の森』はギャグ99シリアス1ぐらいかな?ギャグってか全編駄洒落だけど。
『12月生まれの少年』はギャグ65シリアス35ぐらい?内省的な少年が主人公である。
『森のテグー』はギャグ70シリアス30ぐらい?意外とアレな話も多い。
『ハナコ@ラバトリー』はギャグ15シリアス85ぐらいか。トイレの花子さん、幽霊は心理現象?

そして、4/19に発売された三作品をこの尺度で見ていくと、
『鬱ごはん』はギャグ30シリアス70。
『オンノジ』はギャグ75シリアス25。
『バーナード嬢曰く。』はギャグ95シリアス5。
といった具合か。
同時に連載されていた作品だが、なるほど中々住み分けが出来ている。



鬱ごはん
鬱ごはんはヤングチャンピオン烈という、まあコンビニに売っているかいないかという雑誌に連載している。
オンノジやバーナード嬢曰く。が一巻完結なのを考えると、割と人気なのかもしれない。

就職浪人の主人公、鬱野たけしが食に関することで悩み、失敗し、鬱になる漫画である。
一応食に関する漫画なので、グルメ漫画と言っていいかもしれないが、見てて物が食べたくなるのではなく食べたく無くなる辺り反グルメ漫画というべきかもしれない。
普通グルメ漫画というものは、何かして旨い物を食べて感動するといった具合だが、鬱ごはんだと何かしくじって不味い物を食べて鬱になるという具合である。

例えば、古い業務用ガムは粉っぽくてすぐに味が無くなり吐き出したらナメクジの交尾のようだ、とか叔父と一緒に餃子を食べて相手の咀嚼を見ながら食事とは排泄と同じように隠されるべき行為なのではとか思ったり、外食に行けば常に他人からどう見られるかを意識して注文から食べ方、席の選び方を考えたりとおおよそまともなグルメ漫画ではない。

しかしだからこそ真に迫っている。自意識過剰な若者の心理描写。どこまでも考えすぎな内面をうまく描き切っている。
マスコット的に登場する黒い猫の姿をした毒舌な妖精は唯一漫画的と言えばそうだが、ほとんど幻覚扱いされている辺り夢が無くて良い。
まだ第一巻だしオススメしておく。


オンノジ
人類や動物が消えた世界の中の少女とフラミンゴを描く。サナギさんなどと同じ4コマ漫画である。全一巻。ヤングチャンピオンで連載されていた。
非常に謎めいた世界観の中で結構明るい作風であると思う。

鬱ごはんと比べると現実感がほとんどなく、それが逆に心象的である。
非現実的であるからこそ現実を良く映すところもあるのだろう。

突然消えた人類。記憶の無い少女。フラミンゴになった少年、人間はいないのに電気は動いているし、奇妙なオブジェクトばかりある。
義務が無い世界の中で少女とフラミンゴは何をするのか。

施川ユウキ先生らしく最終回は中々考えさせる。


バーナード嬢曰く。
読書家に見られたい女の子の話。全一巻。確かネット配信してたっけ?電撃コミックジャパンで連載してたとの事。
まあギャグ。

実際、読書家に見られたいというのはあるよね。でも実際世の中にある本は多すぎて、何から読めばいいのかさっぱりで、全部読んでいたら時間も金もなくなってしまう。
そういう地味だがありがちな欲望を描いている。

上記二作品に比べるとキャラが多く、それぞれキャラが立っている。
特に好きなのは怒れる読書家神林しおり。割とコミュ障気味ですぐ暴力に走る。本の知識はキャラの中では圧倒的で、主人公たちを威圧する。

本の薀蓄も結構多く、単純に面白い作品となっている。
最終話のオチも嫌いじゃない。



施川ユウキはかなり前から追っている漫画家だが、中々特徴があり、成長も感じられて通して読む価値がある。
作者独特の感性が凄い。流行に乗る作家ではないが、後々まで残っていく作家だと思う。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2013/04/20(土) 07:47:43|
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