ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

「キノの旅 ⅩⅥ巻」、「マグダラで眠れ Ⅱ巻」感想

電撃文庫の10月発売の2冊。

どっちもローマ字な巻数。黒星紅白もあとがきで書いてるが(なんでイラスト担当もあとがき書いてるんだろう……)、ローマ数字も数字大きくなるとわかりにくくなるよね。
まあ16も続かないと見ていたのか知らんけど。でもかっこいいよね。


キノ。そういやキノは口絵が多いのよね。ついでに挿絵は基本タイトルページに見開きと統一してる。

表紙は鉄骨の螺旋階段を上るキノ。黒星先生やっぱこういうセンスあるよね。複雑な構造物とかいいよね。
「昼と夜がある国」
口絵でショートショートぐらいの長さの話。
師匠達、シズ、キノが昼夜逆転な国にきた時のそれぞれの反応。最近のキノの旅では恒例。
師匠が化け物である。シズとキノも"夜"に活動しているのに対照的に思えるのが面白い。

「転がっている国」
口絵小説。
キノが携帯食料のダンボールの山に未練を残す。エルメスはトラックに変形しない。
まあそれぞれの交通手段には利点欠点ある。適材適所だが旅の身では選択肢は限られる。

プロローグ「恋文の国・b」
キノの旅恒例の結末を最初に書いちゃって、他のエピソード挟んで忘れかけたところでどうしてこうなったのかを書く話。最初に抱いた印象を上手く利用するのよね。
心に訴えかける歌姫、しかし不思議な違和感……「a」を読まないと何がどうなってるのかかなり気になる。
歌姫がポケモンのアイリスっぽい容姿。まあスポットライトで影が濃いから髪の毛黒いしそう見えるってだけだけど。

ここで目次。目次も凝ってるよね。キノと綿の出た熊のぬいぐるみ?色々考えさせる。

で、なんか詩。虫食い穴が写っていない林檎の写真は示唆的。
キノの旅のテーマは風刺とか大きいもんね。

第一話「死人達の国」
キノの中編。ゾンビFPSなお話。ちなみに触られるだけで発狂。噛まれたら感染。
モトラドのエルメスはどこまで、何を知っているのか。話すモトラドを作った国はいまどうなっているのか。マスドライバーの技術も知ってたみたいだし、全方位視界とかあるし。キノの旅が終わるとしたらモトラドの謎の解明はあるだろうか。結構最近色々書かれてるよね。"この世界"とは何か。都市国家ばっかあるようだが。フォトがいる国は都市国家ってレベルじゃないんだっけ。
ゾンビは人気者。結構ホラーな感じで楽しかった。海からって辺りもなんかクトゥルフっぽい。そしてバシバシ撃たれるゾンビ達。

第二話「育てる国」
シズ短編。シズが行く国もロクなとこないな。移民って、結局最後には移民して終わるのかな?最後とかあるのかな?
映画スターの才能ありそうな子供を無理矢理養子にしようとする。
育てる、養子。色々考えさせる。

第三話「飲酒運転の国」
師匠達の短編。どちらかというと喜劇的。
飲酒運転がスポーツ。もちろん公道でやると重罪。
危険だから娯楽になると言うこと?娯楽にするからこそ認識が変わるということ?
まあ単純な方法では何も出来ないよね。

第四話「血液型の国」
キノ短編。占いって誰にでも当てはまる事しか行ってないよね。
その中でも血液型占いは疑似科学的でナンセンス。でもだからこそ人気が出るのか?
まあ実際問題型が違ってても結果は一緒だよね。

エピローグ「恋文の国・a」
キノ中編。a、つまりbの前。
キノも結構余計な事に首突っ込むが、かなりややこしい事になってた模様。
bの旅人とテオは関係ないのかな?状況的に死んだっぽいけど。
三角関係も大変である。だからこそ面白い。

フォトの日々「見えない真実」
フォト中短編。視覚障害の子供と親の話。
電撃文庫マガジンで読んだけど、フォトは成功してるなあ。やはりソウが良い保護者なのだろう。キノ達と会う話も次の巻辺りで無いかな?
フォトは無知で純粋。まあ何でも知ってて捻くれている人間よりも幸せな場合も多い。
フォトはやっぱ「運」があるのかな?

フォトの日々「残されたもの」
フォト中短編。雪国出張。
軽トラをポンと買えちゃうフォト。成功者である。安定している。ワーカホリックだけど。
人望や知名度も出てきてるし、どんだけ運がいいんだこいつ。写真が伝えるものは大きい。
キノの旅は作者の趣味が大きく反映されてるからね。銃とかバイクとかカメラとか。であればこそ描写は正確で興味深い。

あとがき
全部ひらがなで4ページ……とみせかけて6ページ。しかも編集部添削(フィクション)とかネタ満載。
流石あとがき作家。しかしクレー射撃の免許とか本格派過ぎである。
そういえば今年大怪我したんだったな。人生観変わった?そんなでもなさそうだけど。

黒星紅白先生のあとがき
なんで絵師まであとがき書いてるんだろう。絵は詩のページののパロディか。
ローマ数字は色々特殊な法則あるからねえ。10とか20ならまだ良いが……

全体としておとなしめな印象だが、中々読み応えがあった。
フォトも主人公の一人になった形?旅人じゃないけどね。
キノの旅は本として完成度が高い。割と長いシリーズだけど短編集だしどこから買い始めても問題ない仕様。文章的にも読みやすいし万人にオススメである。



マグダラで眠れ。フェネシス白いなあ。デザイン好み。

今回はダマスカス鋼の話。ダマスカス鋼の研究がステンレス合金の開発に繋がったんだっけ?全く別物だけど。
鉛から金を取り出したりとか錬金術、というか冶金薀蓄は結構面白い。

クースラ、ウェランド、フェネシスの掘り下げも良かった。
クースラは主人公だけど脅迫とかそういう技も得意。暗黒時代のヨーロッパな世界観だし、このぐらいの狡猾さは必要。錬金術師だし。
ウェランドも色々ろくでもない。でも有能。
そう考えるとフェネシスはそういうのとは真逆の、純粋な性格なのかね。超真面目だけどそれだけで生きられる世界ではない。でもやはり才能ではある。

で、次巻への繋がりにストーリー性を感じる。異教徒の鉱山の町カザンに行く。
狼と香辛料でも少し語られた異教徒。錬金術師だしそのあたり大きく扱うのかな?そして鉱山。
割とちょっとした神とか化け物みたいなのならいる世界観だからオルハリコンもあるかもね。

作品世界観を丁寧に書いたな、という印象。
狼と香辛料は行商人の話だから、町の描写はまた違う。
地に足着いた錬金術師の話、新しい分野かもしれない。
文章に癖がなく読みやすい。まだ2巻しか出てないし、追いつきやすいしオススメ。
薀蓄好きな方に。




ライトノベルにも色々ある。
この二冊は電撃文庫の中でも人気のある部類かもしれないが、主流とは違うかもしれない。
ライトノベルは何々だから~という偏見を捨てて、色々試して欲しい。
結局はライトノベルという言葉にたいした意味は無いのだ。定義が決まらない言葉は定義が重要ではないのかも。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2012/10/13(土) 12:25:39|
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