ネット世代の雑評論

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楽聖少女・一巻二巻感想

楽聖少女 - Wikipedia


良かった。
二巻出るらしいと聞いて一巻なんか好評だったっけなと思って公式発売日10日だけど7日に一巻と二巻かって読んだので感想。


ストーリーはまあググればある程度出るか知らんけど、ごく簡単に書くと、

21世紀の日本で高校生やってた「ユキ」がメフェストフェレスに200年前のドイツに連れ去られ、若返ったゲーテにされてしまう。
悪魔達の影響か色々歴史と違うドイツ。そこで少女と化したベートーヴェンに出会う。
様々な芸術家に会う中で、ユキはゲーテの求める魔術師、ファウストとなってゆく。


まあこんなあらすじを書いてもわかりにくいけど、SFとしても、歴史ものとしても、音楽薀蓄としても、ライトノベルとしてもハイクオリティな作品。

SFとして、悪魔メフィストフェレスが21世紀の高校生をタイムスリップさせる形になる訳だが、音楽の歴史に強い高校生でおまけに教科書の類やiPhoneまで持ってきてるので、未来人という強みがある。
そして人がいつ死ぬかも決まっている。歴史がある程度わかるので先が読めるがなるべく手を出さないようにするが……しかし、他人が移り変わり人がその人で無くなるような事をした場合その限りではない。つまり悪魔に魅入られた人物がいつ死ぬかはわからない。
やはりSFは良い設定が肝心である。緊張感を保ち尚且つ設定による法則を意識させる。

歴史ものとしてはそのSF設定も効いている。例えばナポレオンがどう進軍したとか誰がどう死んだとか、そこに悪魔の技が加わり変化が見られる。架空戦記的とでもいうか、そういった要素も面白い。あの歴史的人物は実はこうだったとかそういう基本も良いし、契約社会のヨーロッパの実情なども面白い。

音楽もの。タイトルの楽聖少女とはどこかの悪魔によって因果も記憶も含め完全に少女となった「楽聖」ベートーヴェンのことだが、交響曲第3番『英雄』の名前の逸話とか、その演奏がどうだとか非常に面白い。他にも音楽や芸術に関わる歴史上の人物がたくさん登場し、エピソードを描く。
その過程で歴史が若干変化し、曲も良い方向に変化するのがまた面白い。


そしてこの作品は電撃文庫レーベルで発売されているライトノベルでもある。非常にライトノベルな要素も多い。
少年と少女が出会うボーイミーツガールな展開、ボクっ娘で傲慢で我侭なベートーヴェン、ファウストとしての魔法描写。この作品を飾り立てる大切な役割を果たす。
なるほど21世紀の少年もその知識があれば未来人として魔術師ファウストであるかもしれない。更にゲーテの知識に文才詩才が合わさって、なるほど常人ではない。この時代のヨーロッパは料理もアレだしね。
バトル描写。ちょっと唐突な気がしないでもないが、音楽的要素にSF的要素が組み合わさったそれは中々トリックが効いて楽しい。
事実魔法があり悪魔が跋扈する世界なのだ。

ライトノベルであるしキャラクターも色濃く特徴付けられている。
主人公のユキはゲーテであり、まあ振り回される系の男主人公だが、ゲーテとしての感受性も強く、芸術関係の実物に触れると逆に振り回す立場になる。ベートーヴェンの音楽を聴くたびに時を止めて満足してメフェストフェレスに魂を持っていかれそうになる。
未来を知っている事がやはりタイムスリップものとして面白い話の軸になる。

ベートーヴェン、ルゥは今時ちょっと珍しいボクっ子で、傲慢で我侭で常識がないが音楽的才能に満ち溢れる少女。うむライトノベル的だ。ちゃんと機能している。
多少ツンデレ的なところもあり、なかなかかわいい。意志が強く、物語を引っ張る原動力である。

悪魔メフィストフェレス(女性)もゲーテのファウストのようにちょっと軽薄であり、エロくて、しかし悪魔であり万能であり、人間と完全に異なる。二巻では「魔弾の射手」に登場する悪魔、ザミエルが登場するが、これもまた面白い。

その他にも魔王ナポレオン、なんか格闘家になってるハイドン、なんか生きているモーツァルト、他にもパガニーニやゲーテの友人シラーなどそれそれわかりやすく特徴的な良いキャラクターである。



バランスよく面白いとかそういうことは言わない。
全ての要素が絡み合って面白いのだ。特にある程度音楽の歴史とかに詳しい人ほど面白いと思う。

ちょうど2巻の公式発売日が9/10だし、買ってない人はまだ巻数も少ないし買ってみたらどうだろうか。
まあ大体電撃文庫の公式発売日とか土日に被ったり近かったりするとその前に売ってるのだが。
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テーマ:読書 - ジャンル:サブカル

  1. 2012/09/08(土) 22:58:09|
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