ネット世代の雑評論

主にネット上に散らばる各々の事象についての紹介、及び評論

「キノの旅ⅩⅩⅡ」読んだので感想

キノの旅 - Wikipedia

ネタバレは当然あるので注意。



なんやかんやあって新刊が最近出て無かったキノ、ようやく22巻。新約の禁書に巻数で並ばれてしまった。いやまああっちが早すぎる説も濃厚だが。

キノは最近では漫画版も二種類出たりしてそれも中々具合が良い。
何故二種類出てるのかはしらんけども。

ライトノベルの中でもキノは結構特殊な部類だよね。というか小説的にも?
まあゼロ年代のライトノベルで典型例的なのは少ない気もするが。

ともかく、今回のキノの感想を書いていこう。


まず表紙。今回は蝶づくし。黒星先生こういうの好きだよね。大量に同じモチーフで詰め込むの。

口絵イラストノベル プロローグ「川の畔で・b」
いつもの結末を先に書く奴。カーペットのような鮭の大群は美しさもあるが……

口絵イラストノベル「知らない話」
シズ、オーロラ知らんのか。まあ皆が何でも知ってる訳でもない。

口絵イラストノベル「誕生日」
【祝】キノとエルメスの誕生日決定。
七月十日と十一月十一日。どっちがどっちかは不明。
ファンはこの日が来たらキノかエルメスの誕生日だということで祝うのだろうか。7/10はちょうどこの本の発売日だった訳だが。

で、いつもの白黒ページに入る前のポエム。
まあいつだって手遅れだよな。

第一話「仮面の国」
ああ、漫画版のどっちかで先行収録されとった奴。
そういうイラストはビビるからヤメロー!

第二話「退いた国」
バイク(リフター)関連の設定が掘り下げられている。
話自体はキノではよくあるアレだが、オチが中々秀逸。

第三話「取り替える国」
師匠コンビ。
貧富の差。これこそが現代の病だよねえ。それも大凡不治の病。
行くところまで行けばもはや上流階層にも住みにくくなりそうなものだが。
中年の警官まで同調し始めたシーンがなんとも。

第四話「議論の国」
拙速と巧遅。まあ議論してる場合ではないというのは往々にしてある話。

第五話「届ける国」
おお、シズオリジン、というか陸オリジンか。
一応今巻のメイン話?
相当な馬鹿犬だったようで。いやわざとなのか?

第六話「来年の予定」
フォトコンビ。
フォトの話は安心感があるというか。いやロクでもない話もあるにはあるが。
どこに才能が眠っているかは分かったものでもない。

第七話「餌の話」
キノ大暴れ回。今回は猛獣相手。いや闘羊の大群相手は前にやったけどね。
時系列的にはフルート手に入れてない時期だが、あったとしてそれで十分だったのかどうか。
フルートの銃弾がどの程度なのかは知らんが、いわゆるNATO弾でも狩猟には十分ではないと聞くし。ましてや巨大な虎かライオンか何かというのは。

エピローグ「川の畔で・a」
そらまあな。理不尽な不運というのは人を狂わせるのに十二分である。
というよりも、むしろ人を嘲笑うような幸運が、だろうか。

巻末特別短編「二十年目のボク達」
はい、あとがきね。
キノは不老説あるんだが、それはそれとして年を食った姿も見て見たいという感もある。まあキノなら32でもこんな感じだわな。
黒星先生が黒星先生のあとがきで20年後キノ、シズ、ティー・あと陸の子供達を描いてくれてるのも好印象。32歳キノえろいなー。



まあこんなところ。キノはまず短編集というだけで需要があるよね。
ちょっと読むのに最適。
話も落ち着いて読めるようになってるし、トレンド的ではないがやはり必要な作品である。
次回のキノも7月とかになるんかね?そういえば一つの大陸シリーズの新刊はないんかな?またGGOとか絵本みたいなシリーズとかやるんだろうか?学園キノは割とお腹いっぱいだし首絞めもやりきってる気もするが。新しいのまた出すとかあるんかね?
ともかく時雨沢先生の次回作にも注目したい。
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  1. 2019/07/15(月) 12:28:17|
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「堕天作戦」現行最新5巻まで読んだので感想

裏サンデー 堕天作戦
堕天作戦 - Wikipedia


ふたばにスレが立ってて気になって読んだら面白かったので全部読んだ。面白かった。

まあ簡単に作品紹介すると、ポストアポカリプスな世界観で、人間と魔人が戦争しあっている中で一人の不死者の人間「アンダー」が拷問や処刑を受ける中で精神的に死んでいた中で「星型の星」を見て世界の謎に魅せられて各地を転々とする内に様々な厄介ごとに巻き込まれる、といった具合の話。


なんといってもかなり出来上がっている設定が玄人好みである。
人間を超える知能を産み出した人類がそのために滅亡の危機に晒される。魔人も寿命が短く技術を蓄積することが出来ない。中々に詰んだ世界観の中で戦争ばかりしている。
不死者は血の一滴灰の一粒からも復活する。魔人の魔力による格差は酷い。人間は魔法も何もないのでその身で戦うのはかなり壮絶である。腐鉄菌により鉄などの金属性の道具は使えない。

非常に、非常にハードな世界観の中でキャラが死にまくる。名有キャラでも半分以上死ぬし幹部みたいな奴もあっけなく死ぬ。不死者も不死者だってのになんやかんやで死にまくる。モブはもう滅茶苦茶死ぬ。
死なないかと思えば重責を背負わされたり、味方を裏切る羽目になったり、もう中々に大変である。
五体満足なのはピロのような外道ぐらい?外道で小物のくせに異常に強い。ただ単純に強い炎使いというね。

救いの無い世界であればこそ、星型の星、超人機械の遺産、それらが指し示す未来への希望が尊く見える。



設定先行でちょっと読んだだけでは魅力に気づけない人もいるかもだが読めば読むほど本当にいい漫画である。
5巻が電子書籍のみとなっているのであんまり売れていない雰囲気もあるがまさに傑作と言うべき作品である。
こういう作品をこそ紹介したいしお勧めしたい。はっきりいって説明して魅力がわかる作品という感じでもないのでとにかく読んでもらいたい一品であった。

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  1. 2019/07/11(木) 01:07:44|
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「スズメバチの黄色」読んだので感想を書く

スズメバチの黄色 ブラッドレー・ボンド:ライトノベル | KADOKAWA

スズメバチの黄色。あえてタイトルには情報はないがニンジャスレイヤーの公式スピンオフであり、物理書籍版で最近終わった3部と今ツイッターやらでやってる4部との間の時間軸で描かれており、本編でも重要人物であったラオモト・チバが逃げ延びた龍256で地元のヤクザである火蛇とともにヤクザの抗争に巻き込まれていくといった具合の話だ。

ツイッターのニンジャスレイヤーの公式アカウントなんかを見ると、ニンジャスレイヤーを読んだことが無くても楽しめると言う事を強く強調している。
ニンジャスレイヤーは物理書籍にして平均約400ページの単行本が22冊の大シリーズ(ツイッター版から削られた話も少なくない)、しかも超独特な言語センスもあり初心者が入ってきにくい雰囲気になっているのは否めないところだろう。アニメも話題にはなったが逆にゲテモノ扱いされている感さえなくはない。

ここいらで新規ファン層を増やしたいという思いが強いのかもしれない。で在ればこそツイッターではなく物理書籍描き下ろしで、本編とは直接関係の無い一個の完結した話をやってみようという具合なのだろう。

まあニンジャスレイヤーと同一世界観を使っている以上やや奇天烈気味な専門用語は避けられないが、登場人物の漢字表記(ラオモト・チバ=老元千葉など)を多用したり、文章構成などもやや落ち着いた雰囲気を醸し出しており、専門用語の解説も穏やかで少なくとも試み自体は上手く構築されている。
確かにニンジャスレイヤー初心者が詠んでも中々に楽しめる代物であるといえよう。

しかして、やはりニンジャスレイヤーのファンであればあるほどより楽しめる作品であるという気もする。
3~4部の間のミッシングリンクは皆気になっていたところであるし、読めばすでにカタナ社などもネオサイタマ(というか日本)で跳梁跋扈している。なによりチバがどうやってソウカイヤを復活させたのか、その一部始終、最初の頃が語られている。
……むしろ、十分に語られていないところが想像をたくましくさせて面白いか。ネヴァーモアに何があったのか、4部時点のソウカイヤ=総会屋になるまでに火蛇やヤクザ組織<老頭>はどうなったのか。

チバが組織の力を失ったことでむしろその高い能力を発揮し続けているのも面白い。
なるほどこれはソンケイがある。
火蛇や大熊猫なども含めキャラクターの魅力もある。
チャイニーズマフィア風味の任侠ものとしても面白く読め、それがニンジャスレイヤーと繋がっていることがまた面白い。


そう考えると、これはニンジャスレイヤー初心者向けというより、むしろ入門用でありここからニンジャスレイヤーの世界に入ってきてほしいという願いが込められているか。
まあ初心者が何も知らずいきなりニンジャとか出てくるのを読んだら余計に衝撃的かもしれないが。
とはいえ、ファンならば何の問題も無く楽しめるという前提があるのが流石であった。良作である。

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  1. 2019/06/30(日) 18:02:45|
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詩野うら「有害無罪玩具」読んだのでちょっと感想

有害無罪玩具 KADOKAWA

ツイッターでフォローしてる人が薦めてたので読んだら面白かったので。


SF短編集、という具合になるが極限まで発達した科学は魔法と区別がつかないとも言うし結構ファンタジー的な、夢想的な雰囲気も漂う作品集である。科学だからSFって話でもない。まあ定義論はどうでもいいが。

表題作「有害無罪玩具」は実際的な大きな危険性こそないものの考えていくと恐ろしいと言うSFガジェットを取り扱っている。
そらまあ未来とか簡単に予知されても人間の自由意思というものがなんというか。まあ自由意思があるという幻想が人間の自意識を成り立たせているのやもしれない。
他のおもちゃもそうだが人間を成り立たせているのはいともたやすく壊れやすい偏見の類でしかないのかもしれない。

「虚数時間の遊び」は時が止まった中で永遠に遊び続けるしかない人を描いた作品。
永遠に止まった世界に閉じ込められるともなると希望も絶望も何もなくなるか。しかし何かはしてなければならない。なるほど。

「金魚の人魚は人魚の金魚」では、知性がないが完全に不老不死である金魚の人魚について。
まあSF、それも短編ともなると極限を描くことが上手いやり方の一つな訳だがこれもその典型例でその極北か。
永遠に生きても小石を口に含んで吐き出す事しかしない金魚の人魚。人間の人生の短さとの対比となっている?しかし別に哀れでも何でもない。奇妙な感覚。

「盆に復水、盆に返らず」も時間移動物でありながら霊的なモチーフを使っていたりいろいろ考えさせる。



SFは読者に何かを考えさせるというのが強い。そら読み物なんか全てそうではあるが、SFはこの世界、人生、未来、そういったことについて考えさせる。であればこそのサイエンスフィクション、科学創作であるのかもしれない。
科学、昔風に言うと自然哲学。
現実にあるモチーフを極限にまで押し進めるからこそ見えてくるものか。そういった意味でこの作品集は非常にSFらしいSFなのやもしれない。ハードSFとはまた違うが。

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  1. 2019/05/23(木) 05:28:31|
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ドリヤス工場「オモテナシ生徒会」感想など

ドリヤス工場 はてなキーワード

ドリヤス工場。
私は基本的に、記事で扱っている話について知らん人が読む場合に備えて前提的な知識が書かれてるURL、Wikipediaの項目とか、を冒頭でリンクとして置いておくことにしてるのだが、ドリヤス工場先生はWikipedia記事が無かった。
Wikipediaもどうでもいい記事ばっかり充実してるわりに肝心な記事が無かったり、重要なことは書かれてなかったりするものだが、そこそこ知名度はあるんじゃないかと思ってた私はちょっと驚いた。まあたまたま書く人がいなかったのだろう。

水木しげる風の絵柄(絵柄というか絵柄以上にトレースされている)で変なパロディ漫画ばかり描いている漫画家である。
代表作は「必修すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」だろうか。読んで字のごとくの作品だがまあ水木しげる絵でやってるあたりなにか原典の文学作品と違った印象があってメタ的な面白さもある作品であった。
他私が読んだことがあるのでは、「テアトル最終回」は最終回展開だけを何度も何度も描いた作品である。それぞれの最終回である架空の作品を想像すると妙な気分で過ごせた。

どうにも飛び道具ばかり使ってる印象だが、今回の主題である「オモテナシ生徒会」はより奇妙な感があった。
お嬢様学院に転校して来た赤羽かのこが人探しを目的として生徒会と命懸けのギャンブル勝負を挑む、というなんかどっかで聞いたことがある様なない様な、と言った具合の話である。
であるのだが、これを水木しげる絵でやる。パロディネタ満載で、例えば生徒会の監獄から脱出する辺りは露骨にキン肉マンの超人墓場のパロディが挟まれる。

なんとも話がグチャグチャにも思えるが、まあどの道ギャグ漫画であるしそれ自体が笑えもする。
基本的に、水木しげる絵である意味は無いんだよな。というか水木しげるみたいな雰囲気で、全然水木しげるじゃないパロディとか展開を繰り返すというギャップがあるというか?ドリヤス工場先生の職人芸な訳だが

何にせよ、不用意に水木しげる絵で典型的漫画生徒会???と成ってる内にいきなり麻雀勝負とかいう話が出た時点でもう負けてしまう。
ギャンブル漫画としては相手のイカサマを逆用するというアレである。
生徒会会長やってる経堂あゆみが変なツンデレみたいな感じで微妙にかわいい気もする。水木しげる絵だが。


全体的に、要素をぶち込み過ぎた結果、魔術的な楽しさが産まれてきてすらある。
楽しさ面白さというのも色々あるが、この作品はジェットコースターに乗ったりとか酒を何倍も飲んだりとかそういうベクトルに近い。
つまりサイコーであるという事だ。色々と許せる人にはお勧めしたい。

テーマ:雑記 - ジャンル:サブカル

  1. 2019/04/04(木) 01:49:51|
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